親の行動や感覚過敏が影響? 汚れるのを嫌がりすぎる子どもの対処法

藤平公平
2026.04.03 13:04 2026.04.25 12:00

砂遊びする3歳の園児

小さな子どもといえば、元気いっぱい泥んこになって遊ぶというイメージも強いはず。しかし「汚れるのが嫌で遊ばない」という子も意外と多いようで、「うちの子は汚れるのが嫌で積極的に外遊びしない」「手が汚れるから絵具やクレヨンで遊ぶのあまり好きじゃないみたい」と悩んでいる親もいるようです。今回は保育士の菊地奈津美さんにお話をうかがいながら、汚れる遊びを嫌がる子どもの原因や対処法についてご紹介します。

汚れに対する嫌悪感は親の行動が影響していることも!?

タオルドライをする女の子

子どもが汚れるのが嫌で遊ばない原因のひとつが、「親が汚れるのを嫌がっている」こと。たとえば、抱っこしようとした子どもの手にご飯がたくさんついていた時に「汚い」という反応をしてしまったり、泥や砂を触ることを親が過剰に避けている姿を見たりするなど。子どもがそれを見て、「汚れるのはよくない」と思いすぎてしまうことがあります。

また手が汚れるだけでなく、服の汚れに対して親が過敏に反応してしまう様子から、子どもが汚れる遊びをすることに萎縮してしまうケースも。「こんなに汚して」や「洗うのが大変」といった反応をしてしまうと、「汚すと怒られる」と感じてしまい、子どもが汚れる遊びに消極的になってしまうこともあるようです。

菊地さん「小さい子が親のマネをするのはよく見られる行動ですが、子どもたちは想像以上に親や周囲の大人の姿・行動をしっかり観察しています。親御さんの中にも、『子どもがマネをすると嫌だから、汚い言葉遣いはしないようにしよう』など心掛けている人も多いはず。同じように、親が嫌がっているものや避けているものは、子どもも嫌がってしまうという可能性があります。

泥だらけの服を洗うのはかなり面倒ですし、つい避けたくなる気持ちも分かります。しかし、子どもが自分の行動を見ているのだという意識だけは忘れないようにしたいですね。」

大人が率先して「汚れる遊び」を一緒に楽しんで

深呼吸する家族

子どもが汚れることが苦手であれば、大人が率先して汚れる遊びを楽しむことが効果的。手の感触が苦手な子には「泥を手で触ると気持ちいいんだよ」「砂の感触面白いよ」というように声をかけ、一緒に楽しみながらやって見せることが大切です。

また、「洗えばしっかり汚れが落ちる」ことを教えてあげるのも重要。実際に汚れた手を水で洗い流す様子を見せてあげると、安心して触れるようになるかもしれません。服を汚してしまっても「いっぱい遊んだんだね」「汚れるくらい遊べてよかったね」などと、肯定的な声かけをすることが大切です。

どうしても服の汚れが気になってしまう場合には、気にせず思いっきり遊べるように、汚してもよい服、撥水加工の服、洗濯が簡単な服を外遊び用に用意するのも方法のひとつです。

菊地さん「大人が楽しんでいる姿を見せたり、一緒に遊びを楽しんだりするのは、子どもにとっては非常に嬉しいことです。遊びに限らず、子どもに経験してほしいことは親が率先して楽しんでいる姿を見せるようにするとよいでしょう。

また、泥汚れについては『プレイウェア』と呼ばれる服を着せて外遊びをさせる親御さんも多くいます。これは通常の服の上に着せるオーバーオールのようなデザインの服で、はっ水加工などで汚れが落ちやすいようになっているもの。小さいお子さんがいる家庭では、ひとつ用意しておくとかなり便利ですよ。」

感覚が過敏な場合は無理しないで

砂遊びする親子

子どもの感覚が過敏な場合は、無理に体験させようとするとトラウマになり、拒否反応が強くなることもあります。そういう場合は強要せずに、汚れることが苦手であることを受け入れましょう。

可能な範囲で、柔らかい布を触る、お水を触る、ビニール袋で音をたてるなど、できることから少しずつ取り入れてみるのも効果的。感触の違いを感じることでも触覚は少しずつ育まれます。

菊地さん「子どもたちにはそれぞれ個性や向き・不向きがあります。子どもに対しては『自然の中で泥んこになって遊びまわる』というイメージをどうしても持ってしまいますが、中にはこういった遊びが苦手な子も少なくありません。無理をさせずに、その子の個性に合った遊びをさせてあげましょう。

自然の中で様々なものを触ることは、もちろん子どもの成長にとってはプラスになります。しかし、泥んこになって遊ばないと子どもが成長しないというわけでは決してありません。代わりになるような活動や遊びはいくらでもあるので、今回紹介された『柔らかい布を触る、お水を触る』などの感触遊びを色々と取り入れてみてください。もしもお子さんがどうしても汚れや泥遊びを嫌ってしまうという場合は、保育園や幼稚園の先生にもその情報を共有しておくとよいでしょう。」

子どもが苦手なことも受け入れながら、健やかな成長を見守っていけたらいいですね。

菊地奈津美

菊地奈津美

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大学を卒業後、さいたま市および板橋区の公立保育園で7年間保育士として勤務。その後、東京学芸大学・学芸の森保育園にて主任保育士を務め、2017年4月よりこどもの王国保育園を開園し園長に就任。2011年に保育士向けのワークショップを開催する団体『Child+』を設立し共同代表を務める。子どもの育ちの大切さを社会に発信するため、保育者が自分の夢を発表する場『保育ドリームプラン・プレゼンテーション』を2014年に立ち上げ、代表に就任する。著書に『言葉かけから見直す「不適切な保育」脱却のススメ:保育者の意識改革と園としての取り組み』他3冊がある。