ASDの子どもの「強いこだわり」 親はどう向き合うべき? わが子が納得して行動できる”流れ”の作り方

星野歩
2026.04.15 14:36 2026.04.24 11:50

ソファーに突っ伏す女の子

ASDの子どもに見られる強いこだわりに、どう対応すればいいのか悩む親は少なくありません。叱ったり無理にやめさせようとすれば、かえって子どもの不安や抵抗を強めてしまうこともあります。

大切なのは、こだわりを否定するのではなく、子どもが納得して次の行動に移れる「流れ」をつくること。本記事では、ASDの子どもの特性を踏まえた具体的な関わり方とその実践について、医師の星野歩先生の解説を紹介します。

※本稿は、星野歩著『3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD (自閉スペクトラム症) ・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋、編集したものです。

こだわりの強さにどう向き合うか

うつむく男の子

ASD の子どもたちは、一般的な子どもよりも圧倒的に強いこだわりがあります。「絶対に〇〇がしたい!」「絶対に△△をしたくない!」というこだわりです。

私はそう理解したとき、今までの出来事の背景が理解でき、自分もつらかったけれど、息子はもっとつらかったのだと思い至りました。そこで初めて、ロジカルに考えられるようになったのです。

つまり、「絶対に〇〇したい、絶対に△△したくない」――そんなこだわりがあるASDの子には、どのように接すればいいのか?

強いこだわりを持ったわが子が納得して行動できるような流れをつくるため、次のように考えを変えたのです。

例… 登校時刻が迫っているのに、ゲームがやめられない場合

ゲームをする子ども

対策1 「あと5分だけ待ってあげる。5分遊んだら、学校に行こう!」と声をかける

 この5分の間に急かしてはいけません。きっちり待ってあげましょう。目に見えてわかるように、砂時計やタイマーを使ってもいいですね。もちろん、5分たっても聞き分けないことは十分ありえます。その場合、次の「対策2」を取りましょう。

対策2 「 学校から帰ってきたらおやつを食べて、30分ゲームO Kにしよう。約束する!だから今は登校しようね」

↓ ここで大切なのは約束を必ず守ること! 親は得てして、子どもと交わした約束を忘れがちですが、「約束」はASDの子どもにとって、きわめて大切な概念です。

この約束を守ることで子どもとの信頼関係ができ、次回「約束」をする際にも、子どもが耳を傾けてくれるようになります。

ちなみに、私は息子を安心させるために「誓約書」をつくっていました。「学校から帰ってきたら、30分ゲームをOK とする」ということをわざわざ書面にすることで、こだわりの強い息子も納得してくれました。

対策3 時間の余裕を持って早く準備を進めて、声をかける

→ これは簡単で効果的な方法です。毎朝、子どもが出がけにゲームをしたいとぐずるなら、遊ぶ時間・ぐずる時間を逆算して声をかけましょう。親自身も心に余裕を持って対応できます。

先述したように、ASD の子どもは急な変化が苦手です。「いつものルーティンどおり」にこだわります。

「臨機応変」や「柔軟」に対応することを人一倍嫌がるため、前もって行動の流れをスケジュール表にして、持ち物リストとともに壁に貼っておくのがおすすめです。

こうすると急な変化ではなく、「あらかじめ」理解できるため、彼らは安心して行動できます。それが習慣化して「いつものルーティン」になれば、登校や持ち物の準備もスムーズになります。

私の息子は、「宿題のプリントが1枚見つからない」「寝坊して毎朝8時に家を出発する予定が3分ずれた」というだけでもパニックになり、学校に行けないということもありました。

親からすれば大したことなくても、こだわりの強い彼らにとっては大ごとなのです。

POINT:子どもが何かを嫌がる場合、その理由を一緒に探してみましょう。理由がわかれば、解決策が見えてきます。

星野歩

医師。地方病院の小児科にて、主に発達障害児・者の診断、治療、リハビリテーションに携わり、20年間でのべ3000人以上の診療に従事。
プライベートでは2児の母親。長男は小学生の時に知的な遅れのない自閉スペクトラム症と診断されるが、周囲との違いに悩みながらも、現在は成人し、某病院で働く勤務医となる。
自身の子育てと、医師として多くの発達障害児やその家族と向き合ってきた経験から、子も親も「ラク」になる子育てであってほしいという想いから、初の著書となる『ASD ・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を執筆。

3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD (自閉スペクトラム症) ・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法

星野歩著『3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD (自閉スペクトラム症) ・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

いま、ASD(自閉スペクトラム症)と診断される子どもは約100人に3人にのぼるといわれています。グレーゾーンの子どもも含めると、もっと多いでしょう。
わが子の個性をどう受け止め、どう伸ばしていけばいいのか。
多くの方が、正解のない問いに対して一人で悩み、疲弊しています。

本書の著者は、20年以上にわたり、のべ3000人の発達障害児の診療に携わってきた医師・星野歩さん。
著者自身もかつては、幼少期にASD(自閉スペクトラム症)と診断された長男の子育てに悩み、葛藤した一人の母親でした。

医師としての診察と、母としての苦悩。
その両方を経験した著者だからこそたどり着いたのは、「親のマインドセット(捉え方)を変えれば、子どもは特性を伸ばし、親子ともにラクに生きられるようになる」ということ。
本書では、著者が大切にしてきた、ありのままの特性を活かすための具体的な接し方を、医師の視点でわかりやすく解説します。