園や学校から配られる「大量の書類」で詰む前に 発達障害のママがたどり着いた毎日の失敗を防ぐ4つのルール
出かける時間、大量の書類、家族全員分のスケジュール……。
子育てをしていると、管理しなければならないものがたくさんあります。
自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の特性を持ち、女の子2人のママでもある中村郁さんは、そうした管理が悩みの種だったそうですが、工夫したり、お子さんたちの協力を得て、特性由来の苦手をカバーしているそうです。
中村さんの著書より、発達障害当事者ママが実践している、「苦手な管理をカバーするアイデア」を4つご紹介します。
※本稿は中村郁(著)『発達障害・グレーゾーンかもしれない親の子育て』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
※発達障害の特性や子育てのあり方には個人差があります。本記事の内容がすべての方に当てはまるものではありませんが、ひとつのヒントとしてご覧ください。
子どもとの外出では、「お守り時間」を設定する
時間管理が非常に苦手な私は、独身時代、外出のときは、いつも時間ギリギリに慌てふためいて出ていく……というのがお決まりのパターンでした。
1人のお出かけでもそんな状態だったのに、子どもが生まれてからは、時間どおりに出かけるのは至難のワザです。なにしろ赤ちゃんとのお出かけには、おむつ、おしりふき、着替え、ミルク、哺乳瓶、水筒、授乳ケープ、おもちゃ、タオルなど、持っていかなければならないものが多く、出発するまでにやらなければならないことも、わんさかあります。
そこで私は、自分の用意にかかっていた約1時間を倍にして、外出用意に2時間を見積もるようにしました。
その結果、少し心に余裕が生まれたのもつかの間。今度は、子どもの「外出前う〇ち問題」に悩まされることに!(赤ちゃんはなぜか、外出直前にう〇ちがしたくなるのです)。さあ、でかけよう! と靴をはいた瞬間、なんだか香ばしい(?)匂いが……ということが、我が家では何度もありました。
そこで、さらに目標出発時刻を、本当の出発時刻の30分前に設定することにしました。
次に襲ってきた問題は、出かける直前に泣きわめきはじめたり、あれがいやだ、これがいやだと顔を真っ赤にして怒ったり、抱っこしても大暴れする「イヤイヤ期」でした。
これは非常にたいへんで、結局、出発時刻に出ることができないこともありました。
「それじゃ30分猶予の意味ないやん!」と思われたあなた。でもいいんです。30分の猶予の本当の目的は、時間に間に合うためのものというより、「心に余裕が生まれること」なのです。
心に余裕がないと、モタモタする子どもに「急ぎなさい!」なんて、きつい口調で言ってしまうもの。たかだか30分の猶予でそれがなくなり、ニコニコママでいられるのなら、それだけで素晴らしい効果なのです。
子どもの書類は「写メ+コルクボード」と「大袋保管」で管理
育児をするうえで、私にとっていちばんたいへんなのが、子どもの園や学校から配られる書類の整理です。これは私だけでなく、発達障害を持つ親御さんの多くにとって、「悩みの種」。書類を見るだけで頭が痛くなる、という方も少なくないと思います
デジタル社会の現代でも、園や学校からは、いまたに大量の書類が毎日のように届きます。しかも、その重要度はてんでバラバラ。
そこで私は次のような対処をしています。
■重要な書類は、その場で写メし、コルクボードに貼る
とくに、「こちらから提出が必要な書類」や「行事スケジュール」などは、必ず見た瞬間に写メし、実物はすぐにコルクボードに貼り付けます。
この写メは、書類をなくしたときのバックアップになるので、必ず見た瞬間にやるようにしましょう。
私は以前、学校から支給されているiPadのパスワードが書かれた書類をなくしたことがあり、この写メのおかげで命拾いしたことがあります。
■重要度の低い書類は、なんでもかんでも大袋に入れる
内容を読んで、「さほど重要ではないけれど、すぐに捨てるのも憚られる書類」は、すべて、大きくて丈夫な素材の紙袋に入れて、ひとまとめにしています。
そして、年に4回、つまり3カ月に1度、中身をチェックして、不必要なものはどんどん捨てています。3カ月間、まったく不要だったものは「要らない」という判断ですね。
捨てるか捨てないかに頭を使うことは、私たちにとって大きなストレスになります。
そんなストレスは、紙袋にすべて預けてしまいましょう。
スケジュールは大きなカレンダーにまとめて家族全員で管理
あなたは、スケジュール管理をどのようにされていますか?
今どきは、スマホが一般的でしょうか。私も自分の仕事に関しては、所属事務所と連携している電子スケジュール帳で管理しています。
しかし、私の場合、人一倍、スマホを紛失する可能性が高いので、予定は必ず手書きの手帳にも書き込むようにしています。
このスマホと手書きの手帳のダブルチェックでのタスク管理は、子どもが生まれるまではうまくいっていました。
しかし、母になってからは、自分のスケジュールだけではなく、参観日や運動会などの学校行事はもちろん、習い事など、子どもたちのスケジュール管理もしなくてはならなくなり、抜け落ちも目立ってきました。
これは良くない流れです。そこで私が考えた工夫は……「大きなカレンダーを壁に貼って、家族全員でスケジュール管理する」です。
カレンダーは、「1日ごとに書き込みできるスペースがしっかりある」タイプのもの。そこに家族で共有すべき予定をすべて書き込み、家族全員で共有するのです。
何か予定が入ったら、すぐに夫と共有し、気がついたほうがカレンダーに書き込んでいきます。子どもたちにもカレンダーを常に確認してもらうように伝えました。
記憶力は子どものほうが確実に良いので、こうして家族全員で一丸となってスケジュール管理をするようになってからは、抜け落ちが格段に減りました。
苦手なことは家族にも話して、手伝ってもらいましょう。
そのための手段として、大きなカレンダーの導入はおススメです。
日々の予定を家族みんなで確認し合うことで、家族の絆も深まりますよ。
「ママの苦手」を正直に伝えて、子どもに協力してもらう
先日、長女と遊園地に行ったときのこと。ジェットコースターに乗って、すっかりエキサイトし、ご満悦でジェットコースターから降りた私に、娘がひと言。
「ママ‼ カバン忘れてるで‼」
私はジェットコースター横の荷物置きに荷物を忘れ、手ぶらで行こうとしていたのです。
「まったくもう、ママったらー!」
このセリフ、いったい、今までに何度、娘から言われたことでしょう。
あるときは、神戸に娘と一緒に行った帰りに、良い子にしていたご褒美で、大枚をはたいて買ったレゴブロックを駅のトイレに忘れたこともありました。このときも、「ママ、たぶん駅のトイレだよ」と、娘の名推理でレゴは無事に戻り、「まったくもう、ママったらー!」とのお言葉を頂戴しました(笑)。
そんなことばかりで、子どもたちはもう、「ママは忘れるもの」だと思っています。
発達障害の親の工夫の4つ目は、「『ママは基本、忘れる』ということを子どもに伝えておく」です。
あなたがもし、忘れっぽいところがあったとしたら、「ママは忘れっぽい」ということを、正直に子どもに伝えましょう。
人間ですから、誰でも得意不得意はあって当然です。それを、身をもって子どもに伝えることができるのは、発達障害の親なればこそ。
できない自分を認め、苦手を正直に相手に伝えることはとても大切です。
子どもはあなたの姿を見て、「弱さを認める強さ」を学んでくれるはずです。

中村郁(著)『発達障害・グレーゾーンかもしれない親の子育て』(かんき出版)
「子育てがしんどいのは、私の努力が足りないから?」
「どうして、他のお母さん・お父さんと同じようにできないんだろう……」
そんなふうに、自分を責め続けてきた発達障害のあるお母さん・お父さんへ。
本書は、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を併発する発達障害当事者のママが書いた、「発達障害・グレーゾーンの親」が、無理せず、楽しく子育てをするための一冊です。
忘れ物、時間管理、マルチタスク、感情のコントロール――著者は「できないこと」が多く、社会の中で何度もつまずいてきました。だからこそ、子どもが生まれる前は、
「子育てなんてしたくない」
「自分には向いていない」
そう思っていた一人でもあります。
それでも今、ふたりの子どもたちを不器用なりに、試行錯誤を重ねながら育て、子どもたちとまっすぐ向き合って生きています。
本書では、
・発達障害と診断されるまでの生きづらさ
・「社会不適合者」と言われた過去
・発達障害の特性を抱えたままの子育ての現実
・できないことを「根性」で克服しようとしない考え方
・環境調整と工夫で、子育てを回していく方法
・親自身の心を守るための視点
を、当事者の目線で正直に綴っています。
発達障害があると、子育ては「人一倍大変」に感じることがあります。音、予定変更、泣き声、マルチタスク、周囲の目――普通なら流せることが、心と脳をすり減らしていく。
でも、だからこそ伝えたいのです。
発達障害があっても、子育てはできます。完璧じゃなくても、子どもは育ちます。
お片付けが苦手でもいい。
うっかりしてもいい。
毎日ニコニコできなくてもいい。
疲れたら、休んでいい。
子どもにとって必要なのは、「完璧な親」ではなく、自分を大切にしながら生きている親です。
本書は、「発達障害の自分には無理だ」と思い込んでしまったあなたの心に、そっと寄り添う一冊です。