「もう喧嘩しない」は逆効果?夫婦ゲンカ後に親がすべき”誠実な謝罪”とは
元公立学校教員として多くの子どもたちと向き合い、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事を務める熱海康太氏は、「子どもにとって両親のケンカは、内容よりも『ここが安全でないかもしれない』という感覚として体に残る」と語ります。
両親のケンカのたびに部屋に閉じこもるようになった小3の娘に、父親が翌朝選んだのは説明でも約束でもなく、シンプルな謝罪の言葉でした。(写真はすべてイメージです)
子どもにとってのケンカの意味
夫婦のケンカは、二人だけの問題ではなかった。小学3年生のユイナ(仮名)は、両親が大きな声で言い合いをするたびに、自分の部屋に入ってドアを閉めるようになっていた。父親の慎一さん(仮名)は最初、「子どもだから気にしないだろう」と思っていた。
ある日、ケンカが終わった後にユイナの部屋に行くと、ユイナが布団をかぶって小さくなっていた。「大丈夫?」と聞くと「うん」と言ったが、布団から出てこなかった。その声は、いつものユイナの声ではなかった。どこか遠くから聞こえてくるような、薄い声だった。
廊下に出てから、慎一さんは立ちすくんだ。布団の中で小さくなっているユイナの姿が、頭から離れなかった。その夜、「子どもが聞いていた」という事実の重さを、はじめてちゃんと考えた。
大人は言い合いの後、冷静になってから整理できる。でも子どもにはその整理ができない。聞こえてくるのは声のトーンと激しさだけだ。「ここが安全ではないかもしれない」という感覚だけが、子どもの体に残る。布団をかぶって小さくなることは、その恐怖から身を守ろうとする子どもの反応だった。
慎一さんが選んだ「謝り方」
翌日の朝、慎一さんはユイナに