人一倍疲れやすい発達障害の親が、子育てでダウンしないための7つの“事前準備”
自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の特性を持ちながらも、2人の女の子を育てる中村郁さん。その特性ゆえか、人より疲れ方が大きいと感じているそうです。待ったなしの子育て中、「今日は疲れて動けない」と倒れてしまうことは避けたいものですね。
そこで中村さんは、「疲れの事前対策」を意識して、日々の生活を送っているとのこと。
中村さんの著書より、今日からできる7つの「疲れ対策」をご紹介します。
※本稿は中村郁(著)『発達障害・グレーゾーンかもしれない親の子育て』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
※発達障害の特性や子育てのあり方には個人差があります。本記事の内容がすべての方に当てはまるものではありませんが、ひとつのヒントとしてご覧ください。
“疲れ”には事前対策をしよう
私は発達障害の特性があって、普通の家事や育児でも脳の疲れ方が人より大きいと感じています。子育てはとても楽しくて幸せですが、同時に「疲れとの戦い」でもあります。
知らず知らずのうちに頑張りすぎていると、突然動けなくなってしまう日が出てくるので、疲れに対する事前の対策が必要です。
ここでは、私は“実際に毎日やっている工夫”を紹介します。どれも私を救ってくれたものばかりです。
テレビの音がしんどいので「必要なときだけ」つける
私は音にすごく疲れやすいタイプです。テレビがついているだけで、あっという間に疲れてしまうので、本当に見たいものがあるとき以外、テレビはつけていません。家事をしているときも、テレビの音が聞こえていると、ものすごく疲れてしまいますし、マルチタスクができないため、テレビの内容が気になり出したら家事が進まなくなるのです。
もちろん子どもたちはテレビを見たがりますので、食後のゆっくりした時間などは、子どもが見たい番組を見せてあげるようにしていますが、それ以外はできる限り静けさを保つことを心がけています。
静かな「1人の時間」を必ず作る
発達障害を持つ私たちは、音や光、人との会話など、あらゆる刺激を普通の人より強く受けるため、エネルギーを消耗しやすいです。
そのため、私は少しでもいいからスマホを見ない。誰とも話さない。ただ静かに座る。
このようにして、静けさの時間を必ず作るようにしています。
独身時代から1人の時間がないと駄目なタイプで、当時付き合っていた夫が毎日家に遊びに来ることに対して、「お願いだから1人の時間をちょうだい‼」とブチギレたことがあるほどです(笑)。
結婚して家族ができると、1人になれる時間はさらに少なくなりますが、ほんの10分でもいいので、ゆっくりと自分と向き合う静かな時間を持つようにしています。
公園では「省エネ育児」をしている
子どもたちにとってとても楽しい公園は、実は親がいちばん疲れる場所でもあります。
私は、子どもたちと公園に行くときには「省エネ」を心がけています。全力で追いかけっこはしないで比較的省エネできるかくれんぼや、だるまさんが転んだ、を提案したり、抱っこや高い高いの連発は避けたり。またベンチに座って子どもたちを見守る時間を作るようにしたりして、「体力を守る遊び方」をしています。それでも子どもは満足してくれます。
母が1日にこなさなければならないタスクは多岐にわたります。力を抜けるところは、抜いていきましょう!
「何も予定を入れない日」を作る
発達障害の親は、予定が重なると一気に疲れが爆発します。だから私は、意図的に「完全オフの日」を作るようにしています。
家事も最低限。誰にも会わない。ひたすら体力をためる日。何もしない日を作ると、そのあとの子育てが本当に楽になります。
「休める日」を前もってスケジュールに入れておく
私は、月に何日かは「休む日」として先にスケジュール帳に予定を入れています。
これはめちゃくちゃ大事なことです。
私たちみたいに疲れやすいタイプは、「予定が空いた日に休む」では遅すぎます。頑張りすぎていることに気づかないことも多く、突然体力の電源が落ちてしまうので、先回りして、休む予定を組み込まなければなりません。
特に大きな仕事や子どもの行事などがある場合は、その前後に完全に休める日を組み込んでいます。前もって休みを確保しておくことで、体力の限界を回避することができます。
心身を守るために、短い筋トレを続けている
発達障害の親にとって、体力は「生活を支える土台」です。
私はスクワット、腹筋、ヒップリフトなどの筋トレを、毎日少しずつ続けています。体力をつけるために始めた筋トレですが、凝り性なため、どんどん筋トレにハマって、ダンベルやトレーニングベンチなどまで、購入してしまいました。筋肉がついてくると、階段を上り下りするだけで息切れしていたのが噓のように、さっそうと昇り降りできるようになりました。
また筋トレをしていると心が整い、メンタルが安定し、気力の落ち方もゆるやかになっています。
トレーニングベンチやダンベルは、自分を守るための投資ですね。
発達障害を持つ私の友人も、奥さんが妊娠しているとわかった瞬間から、筋トレをしまくっていました。今、彼はとても素敵なお父さんになりました。
自分を責めない
発達障害を持つ親は、「みんな普通にやってるのに、私はなんでこんなに疲れるの?」と罪悪感を持ちがちです。
私自身も、すぐにソファに寝っ転がったり、横になりたくなってしまうので、自分は怠け者なのではないかと思ってしまうことがあります。
でも、そんなとき、こう考えるようにしています。
「疲れやすいのは、『怠け者だから』ではなく脳の特性なのだ! しゃあない、しゃあない‼」
なんとか工夫すればいいのです。
人と比べるのではなく、自分のやりやすい形に整えていけば、育児も生活も、ちゃんと回っていくと確信しています。

中村郁(著)『発達障害・グレーゾーンかもしれない親の子育て』(かんき出版)
「子育てがしんどいのは、私の努力が足りないから?」
「どうして、他のお母さん・お父さんと同じようにできないんだろう……」
そんなふうに、自分を責め続けてきた発達障害のあるお母さん・お父さんへ。
本書は、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を併発する発達障害当事者のママが書いた、「発達障害・グレーゾーンの親」が、無理せず、楽しく子育てをするための一冊です。
忘れ物、時間管理、マルチタスク、感情のコントロール――著者は「できないこと」が多く、社会の中で何度もつまずいてきました。だからこそ、子どもが生まれる前は、
「子育てなんてしたくない」
「自分には向いていない」
そう思っていた一人でもあります。
それでも今、ふたりの子どもたちを不器用なりに、試行錯誤を重ねながら育て、子どもたちとまっすぐ向き合って生きています。
本書では、
・発達障害と診断されるまでの生きづらさ
・「社会不適合者」と言われた過去
・発達障害の特性を抱えたままの子育ての現実
・できないことを「根性」で克服しようとしない考え方
・環境調整と工夫で、子育てを回していく方法
・親自身の心を守るための視点
を、当事者の目線で正直に綴っています。
発達障害があると、子育ては「人一倍大変」に感じることがあります。音、予定変更、泣き声、マルチタスク、周囲の目――普通なら流せることが、心と脳をすり減らしていく。
でも、だからこそ伝えたいのです。
発達障害があっても、子育てはできます。完璧じゃなくても、子どもは育ちます。
お片付けが苦手でもいい。
うっかりしてもいい。
毎日ニコニコできなくてもいい。
疲れたら、休んでいい。
子どもにとって必要なのは、「完璧な親」ではなく、自分を大切にしながら生きている親です。
本書は、「発達障害の自分には無理だ」と思い込んでしまったあなたの心に、そっと寄り添う一冊です。