子どもの走り方ががらりと変わる「6つのコツ」は?大学教授×陸上選手のかけっこ教室レポ

nobico(のびこ)編集部

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運動会で「かけっこで1番になりたい」「リレーの選手に選ばれたからには、少しでも速く走りたい」などの思いを抱くお子さんも多いのではないでしょうか。

3月20日に「小学生『学年別』コーナー走選手権 第11回 瞬足チャレンジ」イベントの特別プログラムとして実施された『かけっこ教室』。

ランニングのバイオメカニクス(生体力学)が専門の順天堂大学大学院教授・柳谷登志雄先生が、同大学陸上競技部の高見選手(100m走専門)らとともに、速く走るコツや練習方法を楽しく伝授しました。

低学年(小学1~3年生)向け、高学年(小学4~6年生)向けに分けて開催されたかけっこ教室。熱く楽しいレッスンの様子をくレポートします。(取材・撮影/nobico編集部・プケコ)

【基礎編】正しいフォームの土台を作る「リズム」と「イメージ」

低学年のクラスでまず大切にされたのは、「走ることは楽しい!」と感じること。

理屈に加えて「擬音」や「イメージ」を使って、感覚的に「速く走るための形」を身につけることです。

ポイント1: スタートでライバルに差をつける「視線」

スタートの合図が鳴った瞬間、多くの子どもたちがすぐに顔を上げて前を見てしまいがちですが、柳谷先生は「これはNG」と言います。

合図の「パン!」で、まず見るべきは、前ではなく「自分の足元」。次に出す一歩目の足をしっかり見ることが重要です。

すぐに顔を上げると重心が後ろに残ってしまいますが、あえて足元を見ることで「前傾姿勢」が維持されます。

人は前に倒れそうになると、転ばないように足が自然と素早く前に出ます。この力を利用することで、スタートダッシュをきることが可能になるのです。

ポイント2: 腕振りは「1・2、1・2」のリズムで

 

走るときは、どうしても足の動きばかりに意識が向きがちですが、「腕」の振りも大事。

教室では、まず肩を支点にして腕を大きく振る練習からスタートしました。「1・2、1・2」と声に出しながら、まずは30回。

このとき、「肘を後ろに力強く引く」のがポイントです。

高見選手のデモンストレーションでは、腕を振るたびに体が浮き上がるような推進力が生まれていました。

腕がリズム良く振れるようになると、その反動で自然と足も前に出るようになります。

ポイント3: 「空き缶つぶし」で地面の反発を味方に!

スピードをさらに上げる秘訣は、足の着き方にあります。「空き缶をふみつぶす」イメージをしましょう。

足を前に投げ出すのではなく、自分の体の真下に「ドスン!」と素早く振り下ろします。

地面にある空き缶を力いっぱい踏みつぶすように足を下ろすと、地面から「反発力」が返ってきます。この力を受けることで、自分の筋力以上のパワーで体が前へ押し出されるのです。

【応用編】効率と戦略で勝つ「アスリートの理論」

高学年クラスになると、より専門的な知識と、戦略的な走り方のコツが伝授されました。実際にどの足の部分に力を入れるべきなのか、他の人と差をつるコーナーの走り方とは?より速く走りたいと意気込む子どもたちへの一歩踏み込んだアドバイスです。

1. 足の親指の付け根に力を集中させる

走るとき、足の裏のどこに力を入れていますか?

走るときに意識したい「空き缶をつぶす」イメージですが、具体的にどこの足の裏部分でつぶすようイメージすればよいのでしょう。

その答えは、足の親指の付け根です。

親指の付け根付近にあるスパイクで力強く地面を踏むことが大事なので、親指の付け根部分に意識を集中させましょう。

2. コーナーで差をつけよう!

運動会の徒競走やリレーで、勝敗を分けるのが「コーナー(カーブ)」です。遠心力に負けて外側に膨らんでしまうと、走る距離が長くなり大きなタイムロスになります。

柳谷先生は3つのポイントを挙げました。

1)外側の腕を大きく振る
コーナーの外側の腕を、内側(コーナーの中心)に向けて大きく振ります。これで遠心力を打ち消し、スムーズに曲がることができます。

2)視線は常に「出口の先」へ
足元ではなく、カーブの出口やその先を見ることで、自然と体が最適な傾きを保ちます。

3)最短距離を突く
内側のラインギリギリを走る意識を持つことで、物理的な走行距離を短縮します。

3. ブレーキをかけない「つま先」の意識

走っているときに足をつく動作がブレーキになるのを防ぐために「つま先を上げる」ことを意識しましょう。

つま先を上げることで、体が浮く感覚をつかめればOK。

質問コーナー:心と体を支えるアスリートの日常

練習後の質問タイムでは、陸上競技部の高見選手から、技術面だけでなく、メンタルや生活習慣についてもアドバイスがありました。

低学年からの質問

Q:何年くらい陸上をやっているんですか?
高見選手:「僕は小学1年生から始めました。ここまで続けてこられたのは、何より陸上競技が『大好き』で、『楽しく』やってきたから。好きだからこそ、辛い練習も乗り越えられました」

Q:他にもスポーツをやっていましたか?
高見選手:「今は陸上一筋ですが、小学校のときは水泳とフットサルもやっていました。いろいろなスポーツで様々な体の動かし方を経験することは、将来の運動能力にとって非常に大切です」

高学年からの質問

Q:どうやったらもっと速くなれますか?
高見選手:「日々の練習の意識を変えることです。歩く動きやリズムトレーニングをするときに、『この動きは走るときのどこで使うのか?』を常に考えてみてください。1日1日の小さな意識の積み重ねが、大きな成長に繋がります」

Q:緊張や辛いときのメンタルケアはどうしていますか?
高見選手:「練習はしんどいときもあります。だからこそ、陸上以外の好きなことにも全力を尽くしてほしい。趣味や遊びにメリハリをつけて取り組むことで、頭と体をリフレッシュさせることができます。オンとオフの切り替えが、強い心を作ります」

食べて、寝て、体をケアすることが大事

柳谷先生と高見選手が共通して強調したのは、日々のコンディショニングの大切さです。

まず食事。 「たくさん動いたら、それ以上に栄養をとらないと体は育ちません。好き嫌いせずいっぱい食べてください。間食はほどほどに、頑張ったときのご褒美にしましょう」

睡眠とストレッチも重要。 「寝る前にはできるだけストレッチをして、体を柔らかくしましょう。そうするとリラックスして質の良い睡眠がとれます。しっかり寝ることも立派なトレーニングの一部です」

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これらのポイントは、どれも特別な道具が必要なものではありません。

「スタートで足元を見る」
「腕をリズムよく振る」
「足の親指の付け根で地面を捉える」
こうした小さな意識の積み重ねが、走りを大きく変えていきます。

これらを今日から意識し、毎日少しでも練習するだけで、運動会当日の景色は全く違うものになるはずです。さぁ、お子さんと一緒に実践してみましょう!