「発達障害かも?」は伸びしろかもしれない 自分のトリセツを手に入れて、生きづらさを“強み”に変える戦略

津村柾広
2026.04.30 13:48 2026.05.13 11:50

悩む女子学生

「自分は発達障害ではないか?」そんな不安を抱えていたとしたら、知ってほしいこと。実はクラスの1割近くは、同じような悩みを持つグレーゾーンだと言われています。そしてそれは、まだ使い道が見つかっていないだけの「強い武器」かもしれません。

甲子園出場経験のある弘前学院聖愛高校野球部のメンタルコーチ・津村柾広さんが、自分の特性を理解し、周囲にサポートを頼むことで、弱みを強みへとひっくり返した野球部員たちの物語を紹介します。

※本稿は、津村柾広著『10代のメンタルを強くする50のルーティン』(秀和システム)から一部抜粋・編集したものです。

解決のヒント:特徴は使い方によって強みに変わる

落ち込む男子高生

自分の特性や他者との違いで悩む人はとても多いですね。

まずは発達障害について理解を深めてみましょう。発達障害は大きく3つの特性に分けられています。

(1)ASD
対人関係やコミュニケーションが苦手なタイプです。マニアックでこだわりが強く、特定の分野に執着する特性があります。

(2)ADHD
注意力散漫で多動なタイプです。三日坊主で忘れ物が多く、計画や時間管理が苦手な特性があります。

(3)LD
読み書きや計算などの特定の学習分野に苦手があるタイプです。他の分野では問題がないので、誤解される場合もあります。

そして、これらの傾向はあるけれど、日常生活をなんとかこなせる人たちをグレーゾーンと言います。

たとえば、30人のクラスなら、3~5人くらいはグレーゾーンの人がいると言われています。

グレーゾーンは「障害」ではなく「特徴」の範囲に入ります。特徴は使い方によって、強みに変えることができます。

ADHD傾向がある高校野球の選手がいました。遅刻や忘れ物が多くて、チームの規律を守れなくて、とても苦労していました。

ところが3年生になると、少しずつ自分をコントロールできるようになりました。周囲のメンバーも彼のことを理解しサポートしてくれました。その結果、彼はメキメキと頭角を現し始めました。

彼の強みは、どんなに緊張する場面でもフルスイングできることでした。絶対に負けられない試合で、彼が決勝のホームランを打ちました。あのときの彼のフルスイングを私は忘れることができません。

グレーゾーンは障害ではなく、使い方によっては強みに変わります。

ひとりでルーティン:「自分の取扱説明書」を作ってみよう

自分の特徴を強みに変えるために、自分のことを深く理解する必要があります。そのために、次のような「自分の取扱説明書」をつくってみましょう。

(1)まず、呼んでほしい名前を決めます。ニックネームや下の名前など、呼ばれて心地いい名前がおすすめです。ちなみに私は「つむちゃん」と呼ばれています。

(2)次に、性格や特徴について、「内向的で人見知り」とか、「活発で情熱的」など、ひとことで言うと、どんなタイプか書き出します。

(3)好きなことや趣味について、「Kポップが好き」とか、「ラブコメ系アニメが好き」など、できるだけ具体的に書き出します。

(4)得意なこと不得意なこと、「運動は得意だけど、算数が苦手」とか、「読書が好きで、牛乳が嫌い」とか、いくつか書き出します。

(5)最後に、取扱注意事項について、「朝は元気ないけど不機嫌なわけじゃない」とか、「読書中は声をかけないでほしい」など、リクエストも記載します。

みんなでルーティン:恥ずかしがらず周囲に「サポート」を頼もう

自分の取扱説明書ができたら、仲のいい友だちにサポートをお願いしましょう。

発達障害グレーゾーンの人は、できることと、できないことがはっきりしています。できないことを隠してごまかそうとしても、長期的なメリットはありません。正直に話してサポートしてもらった方が得策です。

どうしても日誌が書けない、高校野球の選手がいました。サボっているわけではなくて、書こうと思ってもうまく書けず、気がつくと締切になってしまい、毎回提出できずにいたのです。

その悩みを正直に話したところ、手伝ってくれる仲間が現れました。時間管理が苦手な彼の代わりに、毎日決まった時間に声がけをして、締切前には必ずチェックしてくれました。

そのおかげで、彼は日誌提出が習慣になり、他のメンバーからも信頼されるようになりました。結果、彼は野球でも活躍するようになりました。

苦手なことは人の力を借りることで乗り越えられます。

津村柾広

2011年 東日本大震災をきっかけにプロコーチ養成スクールで学び、翌年プロコーチとして本格的な活動を開始。2013年 メンタルコーチとして指導した弘前学院聖愛高校が甲子園出場を果たす。

津村柾広著『10代のメンタルを強くする50のルーティン』(秀和システム新社)

10代の9割が抱える「心の弱さ」を力に変える方法とは? 

本書の著者である津村柾広は2012年から弘前学院聖愛高校野球部のメンタルコーチを務めており、2013年夏、同野球部は初めて甲子園へ出場します。

「緊張しすぎて本番になると力を発揮できません。緊張しない方法を教えてください」
「よく集中力がないと言われます。どうしたら集中力がつきますか?」
「やりたいことが見つかりません。どうしたら見つかりますか?」
など、甲子園へ導いたコーチが教える 、悩みをお守に変える50の簡単ルーティン!