「子どもにとってスマホは包丁」軽い気持ちで与える親が知らない予期せぬトラブル

今や「スマホは1人1台」の時代。
子どもにスマホを持たせないという選択肢は、現実的ではなくなりつつあります。
以前よりも、軽い気持ちで子どもにスマホを買い与える親御さんも増えているのではないでしょうか。
しかし、スマホにはトラブルにつながりやすい側面があるのも事実。そのうえ、子ども達は驚くべきスピードで、大人以上にスマホを使いこなすようになっていきます。
「まずは親がスマホについて『知る』必要がある」と語るのは、子育て共育アドバイザーであり、学習塾の塾長も務める野本一真先生。
今回は、子どもにスマホを与える前にぜひ考えてほしい大切なポイントについて、野本先生の著書から抜粋してご紹介します。
※本稿は、野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)より一部抜粋、編集したものです。
これからの時代「スマホを持たない」選択肢はない
内閣府「消費動向調査」によると、2014年の2人以上世帯あたりのスマホ普及率は54.7%、保有台数は1.02台でした。これが意味するのは、スマホを所有する世帯は半数強、さらに、1家に1台だけ、ということです。
たった10年前の調査結果ですが、スマホは1人1台が当たり前となった現在から考えると、ずいぶん大昔の話のように感じますね。
また、当時はスマホ本体もアプリも、今とは比べものにならないくらい性能が低く、できることも限られていました。そのため、子どものスマホ利用で悩むご家庭はないに等しいほどでした。
その後、「高校進学のご褒美がスマホ」といった時期を経て、2024年現在、大人にも子どもにもなくてはならない道具になりました。
今や、「子どもにスマホを与えない」という選択肢はなくなり、むしろ「いつ与えるか?」、「どのように与えるか?」が問題視されるようになりました。
安易な与え方がトラブルを招く

スマホは便利な反面、トラブルの種にもなりやすいもの。スマホを手にする子どもの低年齢化と比例するように、さまざまな問題も急増しています。
スマホでできることは多岐にわたり、メリットもデメリットもあります。しかし、そうしたメリット・デメリットを深く考慮することなく、次のような理由で安易に与えてしまっていませんか?
「機種変したから、お古を子どもに譲ろうかな」
「家族割にすると安いし」
「一緒に買うと、端末代金がこんなに割引される! それなら一緒に買っちゃおうか」
子育て同様、「子どものスマホの与え方」を習う機会はありません。同時に、親であるあなたも、スマホのメリット・デメリット、子どもがスマホでやっていることを理解していますか?
「友達も持っているから」、「友達との連絡手段で必要だから」と、子どもから懇願され、「ほかの家庭でもそうしているなら」と、与えていませんか?
このように安易に与えてしまうと、後に子どものスマホ利用で悩みを抱えることに
なりかねません。
・長時間利用による睡眠不足・生活習慣の乱れ
・視力減退
・運動不足
・自律神経の不調などの体調不良
・通知機能などによる集中力の欠如
・学習時間減少による成績低下
・スマホ依存による不登校
・ゲーム・YouTube・SNS 依存
・ゲームなどへの高額課金
・SNS・無料通話アプリなどによる悪口・仲間外れ(ネットいじめ)
・出会い系サイトなどをきっかけとした性犯罪被害
・個人情報の漏ろう洩えい
こうしたトラブルや悩みは、特別な話ではありません。でも、これは決して親であるあなただけの問題ではなく、「誰も教えてくれない」という現状が問題なのです。
子どものスマホ利用を相談できる相手がいない

子どもにスマホを与えようとするとき、誰に相談しますか? もしくは、実際に誰かに相談してみたら何と言われましたか?
多くの場合、相談窓口として頼りにするのは学校です。でも、学校に相談しても、こういった答えが返ってくることはありませんか。
「ご家庭で判断してください」
「ご家庭でルールを決めてください」
「ご家庭でよく話し合ってください」
判断の仕方がわからないのに、ルールの決め方がわからないのに、いったい何を話し合えばよいのだろう……と頭を抱えてしまいそうですよね。
スマホやゲームは学校が提供しているサービスではありません。各家庭での考え方も違うので、学校や先生が「こうしてください」と一律に決めるのは、なかなか難しいものです。当の先生も「どう対応すればよいものか……」、「こっちが聞きたいよ」というのが本音でしょう。
それもそのはず。先生方が子どもだった頃はスマホはなく、教員免許を取得した際も、スマホの取り扱いについて問われることはなかったはずだからです。
それに、デジタルネイティブである子どもたちは飲み込みが早く、大人以上にスマホを使いこなします。そうなると、子どもの方がスマホの扱いに長けている以上、「ルールづくり」も、子ども主導で、子どもの言いなりに進んでしまう可能性もあります。だからこそ、親が「知る」必要があるのです。
スマホは本来、包丁と同様の扱いが必要

ここであなたに、1つお尋ねします。
「包丁」という言葉から、何を連想しますか?
多くの方は、料理に欠かせない調理用具を思い浮かべたことでしょう。そう、包丁がなければ、魚も肉も野菜も切れませんからね。
逆に包丁があれば、食材をそのままの形で調理するのではなく、火が通りやすいように小さく刻んだり、食べやすいように皮をむいたり、味が染みやすいように切り込みを入れたり、華やかな飾りを工夫したりすることもできます。
要するに、包丁は生活を豊かにするための必需品。正しい使い方をすれば、とても便利な道具――それが包丁です。
一方で、「〇〇容疑者が包丁で刺殺」といったニュースを耳にすることもあります。便利な道具も、使い方を間違えれば人を殺あやめる凶器となるのです。
スマホも同じです。スマホは生活を豊かにする便利な道具であり、現代の生活と切っても切れない必需品となりました。しかし、使い方次第では、自分に害を与えたり、他人を傷つけたりする凶器となり得ます。
つまり、与え方次第で、スマホは子どもを伸ばすこともあれば、ダメにすることもあるのです。
あなたは、初めて包丁を手にする子どもに、何と言って渡しますか。
「包丁は便利な道具だから使ってみてね」と言って与えますか?
おそらく、そんな安易な言い方をして渡す親はいませんよね。
なぜでしょう? それは、親が、包丁は使い方によっては凶器になると「知っている」からです。
危ないからこそ、まずは持ち方の練習から始め、今度は親が手を添えながら切る練習をする。「左手は猫の手にするのよ」などとアドバイスを与えつつ、親であるあなたは、包丁を握る子どもから片時も目を離さないはずです。
スマホも包丁と同じで、便利な道具であるとともに、使い方を間違えば命の危険すら脅かす道具になります。ですが、包丁のように慎重に扱われることはありません。
なぜなら、親自身がスマホのことをよく「知らない」からです。スマホはシンプルな包丁と違って構造も使い道も多岐にわたり、自分の知識を飛び越えた使い方をされることがあるとは想像しにくいものです。
だからこそ、子どもにスマホを持たせる際は、親自身がスマホのメリット・デメリットを
知る必要があります。知ることができれば、大人はそのアプリはどういったことに使うものなのか?を理解することができ、ネットトラブルから回避することもできます。
すなわち「わが子に合った与え方・使い方」を考えるときには、先ず「親自身がそのアプリの使用意図を知る(ネットで調べる)」ことが大切です。
野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)
<あなたは子どもにスマホを安易に渡していませんか?>
子どものスマホ保有率は、この10年間で急上昇しました。それに伴い、子育ての新たな悩みとなったのが「スマホ問題」です。
小学校高学年、中学生、高校生のお子さんをお持ちの方、こんな悩みはありませんか?
「スマホのルールをつくりたいけれど、どうやって決めればいいのだろう?」
「ルールはつくったけれど、子どもが抜け道を探り、守られていない」
スマホは便利な道具です。しかし、親が正しい知識を持つことなく与えてしまうと、SNSトラブル、ゲーム依存、高額課金、睡眠不足、過剰な推し活・投げ銭など、大切な子どもの安全を脅かすものになってしまいます。
本書では、「子育て共育アドバイザー/学習塾塾長」である著者が、インターネットのしくみ、スマホが与える子どもへの影響、具体的なスマホルールのつくり方、ルールを守るために必須の親子関係構築のための「子育て共育7つの法則」をお届けします。






























