「明日の準備した?」が過干渉に。子どもの自立を阻む親のNG行動

野本一真

「明日の荷物、ちゃんと準備したの?」 子どもの日々の生活や勉強に対して、つい先回りして声をかけてしまうのは、親として自然な姿かもしれません。

しかし、子どもが助けを求める前に、親が先回りして障害を取り除き続けてしまうことは、子どもから自立の機会を奪う原因にもなってしまいます。

いつか終わりがくる子育ての中で、親が今子どもにしてあげられる「本当に大事なこと」とは?

子育て共育アドバイザーで、学習塾の塾長を務める野本一真先生の著書から抜粋してご紹介します。

※本稿は、野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)より一部抜粋、編集したものです。

子育ての目的は子どもの自立

あなたが考える子育ての目的は、どういったものですか。

私は、子育ての最終目的は「子どもの自立」を促すことにあると考えています。なぜなら、先にこの世を去るのは我々親だからです。また、子どもはいずれ大人になり、自らの生活をしていきます。

ここで、あなたが子どもに対して思う一番の不安は何でしょう。それは「将来に対する不安」ではないでしょうか。

「この成績で行ける高校・大学はあるの?」、「あなたの将来が心配だから言っているのに、なぜわかってくれないの!」――真剣に子供のことを考えているはずなのに、なぜかうまくいかない。

反抗期もその1つです。「反抗期」とは、自分とは違う考え・価値観を持つ、親からの脱却を図っている時期だといえます。親は、子どものことを思っているからこそ、「こうやればいいじゃない」と、つい口を出してしまいます。

しかし、あなたも私も、最初から効率的な行動がとれたわけではありませんよね。非効率なことをしたから、困ることがあったから、効率よく行動することの大切さを学び、実践・改善を繰り返し、今に至っているのではないでしょうか。子どもも、まさにその経験を積んでいる真っ最中です。

自分が経験した苦労はさせたくない、同じ後悔をしてほしくないというのが親心です。しかし、口を出しすぎた結果、かえって親子関係が悪化してしまうわけですから、とても残念なことです。

また、親に対する不満の多さから、現実世界から離れることを可能にしてくれるスマホに依存、そして加速させている生徒も見てきました。

ここで知っていただきたいのは、「おせっかい」と「面倒見がよい」は、違うということです。その差は、子ども自身が助けを必要としているかどうかにあります。

助けを求める言葉やサインを出しているときこそ、親の出番。でも、子どもが助けを求めていないにもかかわらず、つい先回りして手を出してしまうのは「おせっかい」なのです。

サポートは本人が必要としているときに行う。親の役割は、まさに「アドバイザー」です。

例えば、あなたは「明日の荷物、ちゃんと準備したの?」、「明日の荷物なら、私が準備しておいたよ」といった声掛けをしていませんか? もしそうであるならば、これからは「荷物の準備で何か手伝うこと、ある?」、「最後のチェックを一緒にやろうか?」といった声掛けに変えてみるのはどうでしょう。

また、子どもが準備をし始めるのが遅くてイライラするときは、「夜に準備をすると、足りないものがあったときに買いに行けないから、今からやってもらえると私が助かるな」という声掛けもよいかもしれません。

これからの未来をつくる子どもに、その都度、気づきを与え続け、「自ら考え、行動する機会」を与え続ける。あなたが一生子どものそばにいて、障害を取り除き続けることができない以上、失敗のない人生なんて存在しません。

であれば、親の目が届くうちに起こる失敗は、むしろ大歓迎。失敗したら考えさせて、必要であれば手を差しのべ、あなたの経験・知恵を授ける。子ども自身も失敗し困っているわけですから、あなたの意見を素直に受け入れやすいでしょう。

「子どもに苦労してほしくないから」という親の「過干渉」、つまり、歩きやすい道を歩いてきた子どもが、あなたの手を離れたときに、本人が幸せと思う人生を自分の足で歩めるでしょうか? それ以前に、こうしたケースでは、子どもの反抗期に悩む場合もあります。

「過干渉」は、子どもから成長の機会を奪います。だからといって「あなたを信じている」、「あなたの人生だから」という名目で放置・放任をするには、子どもは未熟すぎます。

つまり、親が子どもの自立に向けて求められるのは、「見守る」こと。親が子どもを見守る姿勢については、本書の各所で伝えていることが参考になるでしょう。

・自己効力感・自己肯定感はそぐのではなく育むこと
・子どもは未熟な大人と考え、対等に接する
・感情的に話さず、リフレーミングを適度に活用し、捉え方と伝え方を変える
・他人との比較ではなく、その子自身の成長を見る
・親はあくまでもアドバイザー。自分のことは「自分で決定させる」訓練をする
・助けを求めてきたときに対応できるよう、手を離し、決して目と心は離さない

子育ては、期間限定です。親子関係は一生続きますが、子育て期間は一生ではありません。あなたの子どもが、あなたの手から離れ自立したときに、幸せと思える生活ができている姿を思い浮かべながら、今の子育てに目を向けてみませんか?

スマホの与え方・使い方の教科書

野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)

<あなたは子どもにスマホを安易に渡していませんか?>

子どものスマホ保有率は、この10年間で急上昇しました。それに伴い、子育ての新たな悩みとなったのが「スマホ問題」です。
小学校高学年、中学生、高校生のお子さんをお持ちの方、こんな悩みはありませんか?

「スマホのルールをつくりたいけれど、どうやって決めればいいのだろう?」
「ルールはつくったけれど、子どもが抜け道を探り、守られていない」

スマホは便利な道具です。しかし、親が正しい知識を持つことなく与えてしまうと、SNSトラブル、ゲーム依存、高額課金、睡眠不足、過剰な推し活・投げ銭など、大切な子どもの安全を脅かすものになってしまいます。
本書では、「子育て共育アドバイザー/学習塾塾長」である著者が、インターネットのしくみ、スマホが与える子どもへの影響、具体的なスマホルールのつくり方、ルールを守るために必須の親子関係構築のための「子育て共育7つの法則」をお届けします。