思春期の息子が親に「彼女の存在」を隠さなかった理由 4人育てたシンママが伝え続けた言葉

吉澤恵理
2026.09.19 02:33 2026.09.21 19:00

学校の屋上の男子と女子(中学生.高校生)

中高生になると、彼氏・彼女ができる子どもが少しずつ増えてきます。親としては「まだ早いのでは?」「勉強に影響しないだろうか」と不安や心配を抱くのも自然な反応です。しかし、恋愛は成長の証でもあり、否定するのではなく受け止めることが大切かもしれません。

本記事では、医療ジャーナリストの吉澤恵理さんが、シングルマザーとして4人の子どもを育てた経験から、中高生の恋愛とどう向き合ったかを綴ります。(文・吉澤恵理)

中高生の恋愛は珍しいことではない

挙手をする中学生

子どもの成長は、親にとって何よりも嬉しいものです。部活動に励み、勉強に打ち込み、将来の夢を語るようになり、少しずつ自我が確立されていく姿は頼もしく感じられます。やがて「心」の成長も進み、子どもたちの中には「人を好きになる」という新しい感情が芽生えてきます。

ただ、親としては「まだ早いのでは?」「勉強に影響しないだろうか」と不安や心配を抱くのも自然な反応だと思います。

ベネッセ教育総合研究所が行った調査によると、大学生150人を対象にした回顧的調査で、4人に1人が「中学時代に初めての恋人ができた」と回答しました。この割合は過去10年間で緩やかに増加しており、恋愛が中学生にとってごく自然なライフイベントとなりつつあることを示しています。

一方で、同調査では6割以上の中高生が「恋人がいることを親に伝えていない」と回答しており、その理由で最も多かったのは「しつこく聞かれるのがイヤ」という声でした。親の心配や関心は、時として子どもにとって干渉に感じられてしまうようです。

親として子どもの恋愛をどう受け止め、どのように向き合えばよいのか──それが悩みどころではないでしょうか。私は、子どもの恋愛を否定するのではなく、できるだけ認めるスタンスでオープンに話せるよう心がけてきました。もちろん、すべてのご家庭に当てはまるわけではありませんが、私が子どもの恋愛にどう向き合ったのかをお話したいと思います。

恋愛を隠すのは「反抗」ではなく成長の証

雨の中傘をさす高校生

心理学の視点から見ると、子どもが恋愛を親に隠すのは単なる反抗ではありません。発達心理学者エリクソンの理論では、中学生はちょうど「自分はどんな人間か」を模索する時期にあります。

恋愛は「自分で選んだ大切な体験」として意味を持ち、親に言わないのは「自分で考えたい」「自分でコントロールしたい」という心の表れだといわれます。親に恋愛について隠すことは、健全な成長の一歩だととらえることができます。

とはいえ、親として不安を感じるのは当然です。「勉強に影響するのでは?」「トラブルに巻き込まれないか?」と心配する気持ちは、多くの保護者が抱く自然な感情です。特に現代は、SNSやマッチングアプリを通じた出会いが身近になりつつあります。

匿名性の高い出会いは、相手の素性がわからず危険を伴うことも少なくありません。だからこそ、親が「同年代での健全な交流」を認め、親子で恋愛について話せる信頼関係を作ることは重要だと感じています。

否定せず認めたことで子どもたちが安心した

屋上にいる高校生

私は3人の息子と1人の娘を育ててきましたが、小学校高学年のころから繰り返しこう伝えていました。

「中学・高校になって好きな人ができたら、家に連れてきていいよ。相手の親御さんにも”うちに行く”と伝えてね。悪いことをしているわけでもないのに、街でうろうろして補導されたりするとかわいそうだから、ちゃんとお母さんに話してね」

同時に、人を好きになることは自然なことであるということも繰り返し伝えました。この声かけを続けたことで、子どもたちは友達だけでなく、恋人ができたときにも私に紹介してくれるようになりました。家に遊びに来て一緒に勉強することもあれば、その逆もありました。私は相手の子に「親御さんへ連絡して承諾を得てね」と伝え、私からも挨拶をしました。こうしたやり取りができたのは、学校での友人関係を土台に信頼が築けていたからこそだと思います。

結果として、子どもたちは「隠さなくてもいい」「親に認めてもらえる」という安心感を持ち、学生らしい健全な付き合いを続けられたのだと思います。あくまで我が家のケースですが、私が「子どもが誰かを好きになる気持ち」を否定しなかったことで、子どもたちは「自分の気持ちは尊重されている」と感じていたようです。

もちろん、4人すべてが同じではなく、子どもとはいえそれぞれに恋愛に対する考え方は異なりました。友人関係を壊したくないから恋愛しないというスタンス、今は勉強に集中したいから恋愛はしないなど、恋愛に関しても個性があるのだと感じました。

恋愛は勉強の妨げ? それとも力になる?

「恋愛をすると勉強に集中できなくなるのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。

わが家の子どもたちのケースで言えば、恋愛は勉強にマイナスにはなりませんでした。勉強を一緒にしたり、得意なところを教え合ったり、総じて勉強にはプラスだった気がします。また、受験シーズンになると話し合って勉強を優先しているようでした。

心理学では「ピア効果(仲間効果)」と呼ばれる現象があり、大切な人の存在が努力を続ける動機づけになることが知られています。恋愛もその一つであり、良い関係であれば「一緒に頑張ろう」という支えになるのです。

恋愛とともに考えたい「性教育」

高校生の男子

恋愛を語るときに避けて通れないのが性教育です。近年は学校でも以前に比べてしっかりと取り組まれるようになりました。赤ちゃんがどうやって生まれるのかといった基本的な知識は、中高生であれば多くの子が理解しています。しかし、知識として「知っている」ことと、「自分ごととして考える」ことは別です。

性教育の話題をどう切り出すか迷う親御さんも多いと思います。私の場合は、日常のきっかけを利用するようにしました。たとえば、子どもたちが中学生のころに一緒に見ていたドラマ『コウノドリ』では、中学生が妊娠するストーリーがありました。そのとき、私は子どもたちにこう話しました。

「どんな問題が起きてもママは味方だし、一緒に解決していく覚悟もあるよ。だけど、もし未成年で子どもができることになれば、相手やその家族にとっても大きな問題になるし、これからの人生を大きく変える出来事になるのは間違いない。だから、適切かというとそうではないよね」

この対話を通じて、「親はいつでも味方である」という安心感と、「行動には責任が伴う」という現実的な理解の両方を伝えることができたと感じています。

性や恋愛について話すときには、親にとっても勇気が必要です。次の3つを意識すると、子どもに届きやすくなります。

責めない:「なんでそんなこと考えるの!」と頭ごなしに否定せず、落ち着いて話す

一緒に考える:「もしこうなったらどうする?」と問いかけて親子で答えを探す

受け止める:子どもの気持ちを遮らずに聞き、「そう思うんだね」と受けとめる

こうした姿勢で会話を続けることで、子どもは「親に話しても大丈夫」と感じ、信頼関係の中で安心して恋愛や性について考えられるようになります。

子どもが恋愛を通じて学ぶことは、将来の人間関係や生き方に大きな影響を与えます。だからこそ、親は「否定する存在」ではなく「信頼できる相談相手」として寄り添うことが、子どもの成長を支える何よりの力になるのではないでしょうか。

吉澤恵理

吉澤恵理

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1969年生まれ、1992年東北薬科大学卒業。薬剤師として長年医療に携わった経験から医療領域、また教育領域を得意とするジャーナリスト。メディアでの執筆、連載やTV出演など多数。プライベートでは、結婚、妊娠、出産、離婚、介護と様々な経験を経て、現在4人の子を育てるシングルマザー。