「気に入らないとたたく子」はなぜ?その行動の裏にある5つのしんどさ

友だちに笑われた、思い通りにならなかった…そんな「ちょっとしたこと」をきっかけに、突然たたいたり、強い言葉をぶつけたりする子がいます。
「どうして、そんなことで?」と思ってしまいがちですが、実はその行動は、本人なりのSOSの表れかもしれません。子どもの他害や暴言に隠れた5つの「しんどさ」について、元小学校教員のそうくる先生の著書よりご紹介します。
※本稿は、そうくる先生 (著) 『発達特性 グレーゾーンの子の心のもやもやを軽くして「できた!」が増える本』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
ちょっとしたことで友だちに暴言、たたく
【親・先生のもやもや】
■注意しても他害を繰り返すのはなぜ?
■衝動的になるのは特性があるから?
■友だちにケガをさせると対応が大変…。
学校で他の子に強い言葉で当たる、たたく、物を隠す・壊すなど他害を繰り返す子の親や先生は、深く悩んでいるのではないでしょうか。相手にケガをさせる、物を壊すなど大きなトラブルが起きた後は対応がとても大変なので、〝予防〞をしていきましょう。日頃のかかわりで信頼関係を築くこと、「もやもやの器」の考え方で困り感を1つひとつ減らすことで心の余裕ができ、気持ちに折り合いをつけられるようになっていきます。
友だちから笑われた、遊びで負けたなどちょっとしたことで暴言やたたく行動が出る場合、「もやもやの器」に困り感がたくさん溜まり、限界ギリギリの状態かも。食事、睡眠など生理的欲求が満たされているかにも注目。また、音、光、暑さなどの負荷の多さ、自己肯定感が下がり不安が強くなることで暴言が出やすくなることもあります。
「もやもやの器」の中身が限界ギリギリ
生理的欲求にも着目

■「もやもやの器」の安心の「土台」の下にあるのが、健康の「地面」(食事・睡眠など生理的欲求が満たされた状態)。栄養・睡眠不足の生活、家庭環境に困難を抱えることで安心の土台が不安定になり暴言が出ることも。保護者と面談のうえ、生活習慣を整えたり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーにつなげたりしてできることを考える。
■ 子どもの行動を見たり、話を聞いたりして「もやもやの器」の中身を考え、信頼関係の土台を築く。困り感を1つでも減らして心の余裕をつくる。そのうえで、友だちと仲良くするにはどうすればいいか本人とルールを話し合う。
大人、友だちに否定、注意されてばかり
周りが敵になって、自分を守るために反発

■日常の声かけは最低「肯定3:否定1」を意識。本人がイヤがることは無理強いせず、新しい負荷を極力減らす。本人の小さながんばりを認める声かけをする。
■「先生(お母さん)はあなたの味方だよ」「困ったことがあったらいつでも話を聞くよ」と味方であることを伝える。
■心に余裕ができてから「やってみる?」「どっちがいい?」など質問や選択肢を与える。
■クラスメイトに正義感から注意をするタイプの子に、「先生が言うから大丈夫だよ」とお願いしておく。
解決のヒント:友だちに注目して欲しくてたたく場合は…
友だちに「自分を見て欲しい」「仲良くしたい」という思いから、たたく、蹴る行動をしている場合もあります。「本当は仲良くしたいのかな」と本人に気持ちを確認したうえで、「後ろからたたくのではなくて、友だちの前に行って『何しているの?』と話しかければいいんだよ」「〇〇くんが好きなゲームの話をしたらどうかな」と仲良くなる話し方を教える方法も。
友だちにイヤなことをされて傷ついたけれど言葉で気持ちを伝えられない
失敗を笑われた、否定されたことでイラッ!

■「友だちにチクチク言葉を言われたら、『ねぇ先生』って話しかけてね」などヘルプの出し方を伝える。話を聞くときは「それはイヤだったね」と共感する。
■「友だちにイヤなことをされたら、やめて、イヤって言おう」「たたくのではなくて、その場から離れよう」「相手を否定するのではなくて、何がイヤだったのかを言えばいいんだよ」など、友だち関係でイラッとしたときにどうすればいいのかを伝えて予防につなげる。
■ 子どもと1対1でもやもやを聞く時間をつくる。「体育のとき跳び箱を失敗して友だちに笑われた。ムカついたから蹴った」「まだプリントをやっているのに、遅いって言われてイライラした」など暴言・暴力のきっかけを把握して、予防法を考える。
■クラスで友だちの失敗・間違いを笑わない、否定しない、チクチク言葉を使わないルールを話し合う。
音、光、暑さなどでイライラ
不快感から暴言に

■イヤーマフ、耳栓を活用。音の刺激が少ない席、部屋に移動するなど逃げ場を確保。
■光に敏感な場合は、体育や外遊びのときにサングラス、帽子、長袖のカーディガンを着て刺激をガードする方法も。
■暑さでイライラしやすい場合、水筒のお茶を飲む、濡らしたタオルで首を冷やすなど涼み方を伝える。
■不安だと感覚が過敏になることがあるので、授業内容を伝えて見通しを持たせる、安心できる友だちの隣の席に。
不安だから暴言で強さを示したい
構ってくれると誤学習

■小さながんばりを認める声かけの回数を増やす。「集中して先生の話を聞いてくれてうれしいな」など。
■友だちと仲良く遊べたとき、下級生にやさしくできたときに行動を認める。「〇〇さんと楽しそうに遊んでいたね」「1年生に掃除を教えてくれてありがとう」など。
■少し強い言葉が出たとき、近づいたり目を合わせたりして注意して構いすぎないようにする。ただし、他の子を傷つける言葉が出たときは1対1で話して注意する。
そうくる先生 (著) 『発達特性 グレーゾーンの子の心のもやもやを軽くして「できた!」が増える本』(Gakken)
困り感が多い子どものために、最優先にすることは励ましたりほめたりする“足し算のかかわり方”以前に、もやもやを減らす“引き算のかかわり方”で、子どもの心に余裕を持たせてあげること。
本書では、家庭や学校で起こりやすい行動例をあげながら、子どものもやもやをキャッチし、減らすことでトラブルを防ぐ実践的な具体策や、子どもの意欲やがんばる気持ちを育てる、親子の関係づくりまで詳しく解説します。
































