親の焦りが不登校を悪化させる? 解決の鍵は「親も子も自律神経を休めること」

吉田美智子

子どもが不登校になると、つい親は焦りや不安でいっぱいになってしまうもの。しかし、その焦りがかえって子どもを追い詰めてしまうことも少なくありません。

子どもが少しずつ「学校に行きたい」という気持ちを取り戻すには、まずは親自身が気持ちを整え、子どもにとっての「安全基地」となることが大切です。
親子で自律神経を休める具体的な道すじを、臨床心理士・吉田美智子先生の著書よりご紹介します。

※本稿は、吉田 美智子 (著)『すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する』(高橋書店)より一部抜粋、編集したものです。

まずは親が安心できる場を確保して、親子の自律神経を休める

小学生の不登校の原因には、勉強の遅れや友人関係のトラブルだけでなく、長く続く緊張や疲労による自律神経の乱れが深く関わっています。

文部科学省の統計(2024)でも、不登校の理由の約3分の2には自律神経の不調が関係していると考えられます(注)。

学校生活では人との関わりや評価のなかで過ごし、交感神経が高ぶった状態が続きます。こころも身体も疲れ切ってしまうと、朝起きられない、腹痛や頭痛などの身体症状、動けない、学校の話をするだけで涙がでるといった状態になります。子どもも「行かなきゃ」とわかっているため、自分を責めたり、自信を失ったりして、さらに自律神経のバランスを崩していきます。このため、行きしぶりの改善のためには、子どもの自律神経を休めることが最優先になってきます。

こうしたときに何より有効なのは、家庭が安全基地になることです。

子どもの自律神経を休めるには、「もうがんばらなくていい」「ここでは安心して休んいい」と感じられる環境が必要です。親が落ち着いていると、それが子どもに伝わり、交感神経の高ぶりを鎮めます。反対に、親の不安やあせりは、子どもの不安をさらに強めてしまいます。

そのためにも、親が安心して話せる相手や場を持ちましょう。

信頼できる友人、カウンセラー、支援機関など、親がひとりで抱え込まないことが子どもを支える力になります。さらに、Chapter6の「親の自律神経を整えるヒント」も参考にして、不安やあせりを落ち着かせてください。

次に大切なのは、子どもへの言葉がけです。

「大丈夫」「ここまでよくがんばったね」「早く気づけなくてごめんね」といった声かけを通して、子どもに「きっと大丈夫」という感覚を取り戻させてあげましょう。

これは単なる励ましではなく、親が子どもに寄り添いながら一緒に気持ちを落ち着かせる共同調整です。一緒にお茶を飲む、少し散歩をするなど、親子が心地よく過ごせる活動を取り入れてみてください。

食事・睡眠・生活リズムを整えることはもちろん大切ですが、無理に正しさを押しつけると、それが新たなストレスになります。「どうしたら少し元気になれそう?」「今できそうなことはある?」と、子どもと一緒に考える姿勢が重要です。

また、学校へ行かないので、デジタル機器で遊ぶ時間が増えることに悩む保護者も多いかもしれません。デジタル機器については、ただ禁止するのではなく「疲れているからデジタルの世界で休もうとしている」と理解して、安心を取り戻す代替行動を一緒に探していきましょう。

このような関わりを通じて、子どもの自律神経が落ち着き始めると、少しずつ自分で気持ちを整える自己調整の力が戻ってきます。 ひとり時間を持てるようになったり、生活リズムや学習、運動など何か努力が必要なことに取り組もうとしたりする意欲がでてきます。

それから、学校に行かないことで、子どもは友だちとの関係を続けにくくなることがあります。放課後の遊びや習いごとなど、社会と関われる場があれば、行ける範囲でそれらを大切にしてください。教室以外に安心して行ける居場所や支援先は、積極的に活用しましょう。

子どもの自律神経が整うと、少しずつ「学校に行きたい」という気持ちが戻ってきます。そのときには学校とも相談して、無理のない復帰を検討してください。

注)令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要より

イラスト/細川貂々
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すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する

吉田 美智子 (著)『すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する』(高橋書店)

「すぐ泣いて手がつけられない」「何度叱っても効果なし」「落ち着きがない」、じつは、これらは子どもの「わがまま」や「性格」が原因ではありません。
自律神経が未発達なため、脳が危険モードに入っているだけなのです。

【本書は、こんなお悩みのある保護者におすすめです】
・子どものかんしゃくが頻繁で困っている
・イライラ怒りっぽい子どもの反応にびくびくしながら接している
・落ち着きがなく、うちの子だけウロウロしている
・学校、保育園、幼稚園に行きしぶる
・引っ込み思案で挑戦できない
・人前に立って発表するのが苦手

臨床心理士・公認心理師の著者は、18年間で2000組以上の親子のお悩みに向きってきました。
そして、上記のようなお悩みの解決方法として行き着いたのが、自律神経を育む子育てです。
本書は、自律神経の最新理論である「ポリヴェーガル理論」をベースに、子育てのお悩みを解きほぐしていきます。