娘はパパと入りたがるけど…子どもと一緒にお風呂、何歳までOK?【親子のための性教育(3)】

おさだしずこ
2026.04.28 11:44 2026.04.28 11:50

おさだしずこ親子の性教育

親子やきょうだいで一緒にお風呂に入るのは、どの家庭でもよくあること。
でも、子どもが異性の家族とお風呂に入っていいのは何歳までなのか、迷ってしまうこともありますよね。

「こんな時どうすれば?」という切実な悩みについて、看護師であり性教育講師として活躍されているおさだしずこ先生に、専門家の立場からお答えいただきます。

(イラスト:おがたちえ)

異性の家族とお風呂に入っていいのはいつまで?

「小学生の娘がパパと一緒にお風呂に入りたがります。微笑ましい反面、何歳まで一緒に入っていいのか悩ましい所です。年齢の目安などはありますか?」

10歳前後がひとつの目安

性教育講演をしていると、必ずと言っていいほどいただくのが、お風呂についての質問・お悩みです。

父と娘、母と息子、兄と妹、姉と弟…
様々なパターンがありますが、「異性の家族とお風呂はいつまで一緒に入ってよいのか?」「いつから分けるべきか?」という悩みは、多くの保護者が抱える問題です。

特に多い悩みが「一緒に入っていいのはいつまで?」という具体的な時期や年齢についてです。その質問にお答えするなら、「10歳前後をひとつの目安に」とお伝えしています。
10歳という年齢は、心も体も大きく成長・変化する時期でもあるからです。

女の子の場合は、胸が膨らみ始めたり、脇の下や性器のまわりに毛が生えてきたり、身長がぐんと伸びたり、初潮を迎えたりします。

男の子の場合は、陰茎・陰嚢が大きくなり始めたり、声変わりが始まったり、脇の下や性器のまわりに毛が生えてきたり、精通を迎えたり、身長がぐんと伸びたりします。

まだまだかわいい我が子ではありますが、確実に日々成長しているのも事実です。

体が大人へと変化し始める時期を、異性の家族とのお風呂をわけるタイミングとするのが良いと思います。

ですが、体の成長については、個人差が大きいという特徴もあります。繰り返しになりますが、これはあくまで1つの目安です。

日本では「一緒に入る」が自然なこと

日本では、小さい子どもが保護者やきょうだいと一緒にお風呂に入ることが一般的で、自然な環境となっています。

そのため、異性の家族とお風呂に入ることについて、親子ともに「特に何も意識していない」ということが多いと思います。

日々の生活の流れでみんなで一緒にお風呂に入ることもあれば、お風呂がゆっくりと話せる場としての意味を持つこともあります。

それを急に「同じ家族なのに別々にお風呂に入る」となると、違和感を感じる方もいるかもしれませんし、お子さん自身が戸惑うこともあるかもしれません。

本来、人は誰でも自分の体について自由に決める権利があります。

家族であっても、異性や同性に関わらず、誰とお風呂に入るか、1人で入るかなどは、子どもであっても自分で決める権利があります。

小さな頃は、1人で体を洗えなかったり、サポートなしではお風呂に入れないため、保護者の助けが必要で、一緒に入ることが自然なことになります。

しかし、子どもが成長するにつれて、自立への一歩として、お風呂の入り方や関わり方を変えていくことも大切です。

子どもの自立に向けたお風呂の入り方は?

毎日のお風呂のときに、お子さんの自立に向けて、体を清潔にすることの気持ち良さや、体の洗い方、拭き方などを意識しながら声をかけたり、教えていくことはとてもオススメです。

「まだ小さいから」「まだ子どもだから」といって、すべてを保護者が一方的に決めるのではなく、また一方的に突き放すことでもなく、お子さんと話しながら決めていくことが大切です。

話してみると、実はお子さんが「1人で入りたい」と思っている場合もあるかもしれません。

その場合は、その時が最適なタイミングだと思います。突然訪れるかもしれないその日のために、心の準備をしておくことも、保護者にとっては必要なことだと思います。

また、「本当は1人で入りたいと思ってるけど、言えない」という場合や、子どもの方からは何も言わない、そもそも何とも思っていない、という場合もあるかもしれません。

体が1人で洗えるようになったり、1人でお風呂に入れそうだと保護者の方が判断したときに、少しずつお子さんと話してみるのも良いと思います。

子どもが一人で入りたがらない場合は?

お子さんが1人で入ることを嫌がる場合もあるかもしれません。その場合は、お子さん本人が納得してからで良いと思います。

体の成長と気持ちの成長が追いつかないことも、10歳前後の子どもにはありがちなことです。

お子さんが1人で入ることを嫌がる一方で、保護者の方が、「もう1人で入った方が良さそう」と思う場合もあるかもしれません。

こういった場合も、保護者が一方的に、無理矢理決めることは禁物です。

お子さんの気持ち、保護者の方の気持ちを、お互いに話してみることで、歩み寄りや妥協点が見つかるかもしれません。

参考までにですが、例えば、お子さんと話した上で、保護者の方が服を着たままお風呂のお手伝いをしたり、一緒には入らずに脱衣所で待っていてあげる、ということで解決する場合もあります。

お風呂で「プライベートゾーン」をおしえるのもおすすめ

お風呂はプライベートゾーンの知識を伝えやすい場でもあります。

プライベートゾーンは、
「水着でかくれる部分(胸・おしり・性器)と口」
「自分だけのたいせつな場所」
として子どもたちにも伝えています。

・自分のプライベートゾーンは、必要もないのに見せない・触らせない。
・他人のプライベートゾーンは、勝手に見ない・触らない。

たいせつな場所だからこそ、たとえ家族であっても、お互いのプライベートゾーンを勝手には触らない・勝手に見ないということを、小さな頃からお子さんへ伝えてあげてほしいと思います。

1番身近な大人である保護者の方から、自分の体を大切にされることで、自分の体を自分で大切にする感覚が身についていきます。

一度伝えたからそれで終わり、というものではなく、普段から日常の生活の中で、繰り返し繰り返し伝え続けることで身につき、芽生える感覚です。

家のお風呂や温泉でプライベートゾーンを見せるのは?

「プライベートゾーンを大切にする」ということと、お風呂の問題は、なかなか結びつかない方もいるかもしれません。

学校で子どもたちにプライベートゾーンの授業をしていると、

・家でお風呂に入る時に、家族にプライベートゾーンを見せて良いのか、見られて良いのか?
・温泉では良いのか?

と、主に低学年の子どもたちから質問が出ます。

本当は子どもたちとディスカッションをしながら、その子がどう感じているか、という部分を大切に、それぞれの答えを見つけるのが理想だと思うのですが、授業の限られた時間の中だと難しいため、例として私が以下のように答えています。

「お風呂は、体を洗うために裸になる必要があるね。1人で洗うことができない時や1人で入れない時は、おうちの人に手伝ってもらうことが必要だね。必要があって、プライベートゾーンを見せること・見られることは、悪いことではないよ。でも、おうちの人でもあなたがいやな場合はいやと言っていいし、おうちの人に伝えていいよ。」

「温泉も、温泉に入るために裸になる必要があるけど、温泉は家族以外の知らない人もいるね。あなたが温泉で知らない人にプライベートゾーンを見られたくないと思ったら、無理に温泉に入らなくてもいいよ。」

本来は、年に一回の授業だけではなく、身近な大人が繰り返し伝えることで、少しずつ、確実に身についていく感覚だと思います。

わからない時は一緒に調べたりしつつ、ぜひ子どもの素朴な疑問に向き合ってあげてください。もしも間違えたとしても、後から素直に訂正すれば大丈夫です。

夫婦で意見が分かれる時は?

「お子さんのお風呂について、夫婦で意見が違う」というお悩みも寄せられます。そんな時はまず、お子さん本人に気持ちを聞いてみてください。その上で、ご夫婦で落ち着いて、話しをしてみてほしいと思います。

異性の家族とのお風呂については、「10歳前後という年齢を目安に、保護者が決めれば良い」ということではなく、その子にあった方法を家族で話し、試していくことがおすすめです。実際にやってみることで、わかることやできることが見えてくると思います。

「子どもであっても個人を尊重する」という性教育の大前提の元に、その子にあった方法で、異性の家族とのお風呂の悩みが解決に向かい、そして、お風呂の自立に繋がると良いと思います。

※参考文献:
1.『【改訂版】国際セクシュアリティ教育ガイダンス 科学的根拠に基づいたアプローチ』ユネスコ=編 浅井春夫、艮香織、田代美江子、福田和子、渡辺大輔=訳 (明石書店)

2. 『おしえて!くもくん プライベートゾーンってなあに?』小笠原 和美=監修 サトウミユキ=制作 masumi=企画(東山書房)

3. 『わたしの心と体を守る本 マンガでわかる!性と体の大切なこと』 遠見才希子 アベナオミ=漫画 碇優子=イラスト(KADOKAWA)

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看護師・性教育講師
思春期学会性教育認定講師。現役婦人科看護師。慢性期・急性期混合病棟臨床経験あり。現在は、「こころとからだが幸せになるための性教育」をテーマに、学校での性教育授業、PTA講演会、地域での絵本を活用した性教育など、幅広い活動を展開している。5児の母。