どこまでが“必要な武器”?防衛費・武器輸出のニュースで考える、子どもに伝えたい憲法9条の役割

木村草太(監修)

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防衛費の増額や、武器輸出のルール見直しのニュースを見て、「どこまでが必要な武器なんだろう?」と感じたことはありませんか。
もし明確なルールがなければ、「自衛のため」という言葉のもとで、際限なく軍備が拡大してしまうかもしれません。

日本国憲法は、そうした行きすぎを防ぐために、あらかじめ国の力にブレーキをかけています。
子どもにも伝えたい、憲法9条が果たしている大切な役割を、『ピンチを救うぼくらの憲法』よりご紹介します。

※本稿は、木村草太(監修)『12歳までに知っておきたい ピンチを救うぼくらの憲法』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。

【憲法がないとピンチ】何もルールがないことで みんなが好き勝手に!

ルールがないので、みんなが好きな物をもってきた

Aさんの小学校では、修学旅行のときに配られるしおりに「おもちゃをもってきてはいけない」というルールが書かれていませんでした。そこでAさんは、トランプをもっていきました。夜、部屋の中でみんなをトランプに誘うと、Bさんは「僕はボードゲームをもってきた」と言うし、Cさんは「テレビゲームをもってきたから、格闘ゲームができるよ」と言うのです。遊び道具の決まりがないことで、みんな好き勝手なものをもってきていました。

自衛のためだからといってどんな武器をもってもいい?

ルールがなければ際限がなくなってしまうというのは、国が保持する武器も同じです。憲法第9条1項では「実際に日本は戦争をしません」と示し戦争の放棄を定めていますが、他国からの攻撃に反撃できるように、自衛隊をもっています(104〜105ページ)。

でも、どの範囲の戦力をもっていいかのルールがないと、自衛のためといいつつ、いつの間にか強大な軍隊と大量の武器を所持することになりかねません。その結果、他の国から「日本は戦争をしないと言っているけど、強い軍隊と大量の武器をもっている。いつかどこかの国を攻撃するための準備かもしれない」と疑いをもたれることが予想されます。

【憲法があれば解決】憲法ではきちんとルールが決まっている!

憲法第9条2項では、不必要な量の武器を保持しないためのルールが示されている

日本国憲法第9条2項では「陸軍・海軍・空軍・その他の戦力は、もたない。国の交戦権は、認めない」ということが明記されています。確かに、この条文は「日本が他の国から攻められたときも、武力を使って防ぐことは認められず、自分たちを守るための武力ももってはいけない」という解釈をすることもできます。

しかし、国民の生命と財産を守ることが政府の役割であることから、「自衛のための必要最小限度の実力」をもつことは禁⽌されていないと解釈されています。その解釈に基づいて、日本は自衛隊をもっているのです。

自衛隊の役割は、日本の平和と独立を守ることで、災害時の人命救助などにも出動します。他の国を攻めることを目的とはしていないため、自衛隊は必要最小限度の武力だけを備えています。

攻撃をするためではなく、自衛のための武器

この条文があることで、日本は武力を用いることに慎重になり、新しい武器をもつときには、それが本当に必要最小限度のものなのか考えなければなりません。

このように憲法であらかじめルールを定めておくことで、必要以上の武器をもつことがないよう、制限されているのです。

【ぼくらの憲法 第9条2項 軍備及び交戦権の否認】
国家のもつ軍事力を必要最小限度に制限することができる。
 
 
 

12歳までに知っておきたい ピンチを救うぼくらの憲法

木村草太(監修)『12歳までに知っておきたい ピンチを救うぼくらの憲法』(Gakken)

いじめや理不尽なルール、戦争と平和――。
子どもたちのまわりに潜むたくさんの「ピンチ」を救う味方、それが「憲法」である。

「憲法」と聞くと、むずかしい言葉が並ぶ、自分とは関係のない遠い世界のものだと思うかもしれない。憲法は、みんなが毎日を楽しく、自分らしく過ごすために欠かせない、もっとも身近で大切な「約束」なのだ。

本書は、テレビでもおなじみの憲法学者・木村草太先生が監修。
「もしもこの世に憲法がなかったら、どんなピンチが起きるのか?」
という視点から、憲法の役割をやさしく解き明かす。