バスの「とまります」ボタンを押したがる子の頭の中は? 京大教授が2つの心理を解説
バスに乗ると、なぜか子どもが押したがる「とまります」ボタン。実はその行動には、子どもの心や発達に関わる2つの理由があるのだそうです。
小学生の素朴な疑問に、京大の先生が発達心理学の視点からこたえる ふしぎなこころの世界 より、「とまります」ボタンを押したくなる理由を紹介します。
※本稿は、森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
Q.バスの「とまります」ボタンを、むしょうにおしたくなるのはなぜ?
A. 自分と世界の関係についての二つの理由がある!
バスの中で「とまります」ボタンを見ると、「おしてみたい!」って思ったこと、ないかな?
このことにはいろいろな理由が考えられるんだけど、ここでは二つの理由を心のしくみから考えてみよう。
自分でバスを止められる!
一つは、自分の行動が周りに影響をあたえていると感じられるから。
たとえば、バスのボタンを「ピンポン」とおすと、運転手さんが気づいて、本当にバスが止まるよね。
このとき、きみは「わたしがおしたら止まった!」と感じる。つまり、自分の行動が周りに影響をあたえられるという気持ちになるんだ。
これはバスを止めることにかぎらない。自分が何かすることで、周りの世界を変化させること、全てに当てはまるんだ。
たとえば、エレベーターで三階のボタンをおしたり、「閉」ボタンをおしたりすることもそうだし、植物に水をあげると、芽が出てきたりするときもそう感じるよね。
この気持ちは、「自分は何かできる!」という自信にもつながるよ。バスを止めるなんて大きなことを自分ができると感じたら、それはすごくうれしい体験になるよね。
ボタンは「実験道具」?
もう一つは、世界のしくみをわかりたいという気持ちが関係する。
きみは、自分が知らないことに出あうと、「どうして?」「なんで?」と世界のしくみを知りたくなるよね。バスのボタンをおすことには、「おす→バスが止まる」という、はっきりした原因と結果がある。こうした関係を因果関係とよぶよ。バスのボタンは、この因果関係がすぐにかくにんできる、いわばわかりやすい「実験」なんだ。
「ほんとに止まるの?」「何回もおしたらどうなるの?」そんなふうに試したくなる気持ちは、考える力を育てる大切なものなんだ。
科学者がやっている実験も、こういうものの延長なんだよ。もっとふくざつだけどね。
このような実験をくりかえすことで、きみはだんだんと、「こうしたら、こうなるんだ!」という考え方や、「こういう順番で起きるんだ!」などの順番も学んでいくんだ。
ボタンをおすにも理由がある
バスのボタンをおしたくなる気持ちには、いろいろな理由があることがわかったかな? おりないバス停でボタンをおすと、いろいろな人にめいわくがかかるからおしてはだめだけど、自分がおりるバス停だったら、全力でおしてね!
森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)
小学生100人に聞いた 心の「なぜ?」に 京大の先生がこたえる本!!
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小学生100人へのアンケートで集めたリアルな「心のなぜ?」に、京都大学大学院・森口佑介先生が発達心理学の見地からこたえます。
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