親の励ましはなぜ「圧」になる?落ち込む子が本当に望む寄り添い方

成田奈緒子

子どもが落ち込んでいるとき、「元気になってほしい」と思うあまり、あれこれ声をかけてしまう親御さんは多いのではないでしょうか。実はその熱心な励ましが、かえって子どもにとって負担になってしまうことがあります。落ち込んだ子どもが、親に本当に求めている「寄り添い方」とは?

小児科医・成田奈緒子先生の著書より抜粋してご紹介します。

※本稿は、成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)より一部抜粋、編集したものです。

励ましが負担になる場合もある

子どもが元気をなくしているように見えると、多くの親御さんは何とかして励ましてあげたくなるのではないでしょうか。「次はうまくいくよ」「気にしなくていいよ」と声をかけたくなります。

これらは、沈んだ空気を変えたい、少しでも気持ちを軽くしてあげたいという思いから出てくる言葉です。黙って様子を見ているよりも、積極的に関わって言葉をかけるほうが親にとっては安心できます。

しかし、子どもの脳が疲れている状態では、その励まし自体がかなりの負担になります。親が熱心に語るほど、子どもはうなずいたり返事をしたりしながら、それに応じようと脳を働かせ続けます。「元気にならなければ」「心配させないようにしなければ」と、どこか追い詰められたように感じ、休むタイミングがどんどん遠のいてしまうのです。

とくに親が、「こう考えればいい」「前向きに捉えよう」と説明を重ねると、子どもは自分の感じている現実と、求められている解釈との間で揺れ動きます。本当はまだ整理できていない気持ちがあるのに、それをいったん横に置いて理屈を受け取らなければならなくなるのです。気持ちが追いつかないまま、考えることだけが増えていき、かえって混乱してしまいます。

声はかけすぎず、そばにいてあげる

この状態からの回復に必要なのは、気持ちを無理に持ち上げることではありません。まずは外からの刺激を減らし、子どもが落ち着ける時間を確保することが先決です。あまり親が関わらないほうが、子どもは自分なりのペースで気持ちを整理できます。外から「こうしようね」といわれるよりも、自らの力で少しずつ感情を整理するほうが、立ち直りは安定します。

どうしても気になる場合は、言葉を重ねるのではなく、そばにいる時間を増やしてみてください。同じ部屋で、それぞれのことをしながら過ごすだけでもかまいません。親が落ち着いた様子を保ち、普段通りに過ごしていることが、子どもの安心感につながります。

もちろん、まったく言葉をかけないというのもよくありません。肝心なのは量とタイミングです。短い一言を伝えたら、あとはそっとしておきます。そして子どもが話しはじめたときにだけ応じ、途中で遮らずに耳を傾けます。すると、子どもは自分の思いを言葉にしやすくなります。

イラスト:しゅんぶん
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子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった

成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)

「子どもはいつでも元気」はもう通用しない!?
不機嫌・だらだら・集中切れは、「子ども脳疲労」が原因だった!


「うちの子、集中力がないのでは?」「すぐにシャットダウンしてしまうのは体力不足?」
そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません。

しかし、その原因は性格でも、やる気の問題でもありません。
実は――子どもの「脳の疲れ」が関係している可能性があります。

かつては「子どもはいつでも元気」という考え方が一般的でした。
けれど現代の子どもたちは、情報量の増加、忙しいスケジュールによる睡眠不足、親の過干渉など、
目に見えない負荷を日常的に受けています。
元気そうに見えても、脳が十分に休めていない――
それが「子ども脳疲労」という状態です。

本書では、子どもの脳と発達を長年研究してきた専門家が、
「なぜ今の子どもは疲れやすいのか」
「脳が疲れると、行動や感情に何が起こるのか」 を、わかりやすく解説します。

さらに、家庭でできる環境の整え方や、
子どもが本来持っている回復力を引き出すための関わり方を紹介。
無理にがんばらせるのではなく、脳を休ませることで、子どもは自分から動き出す――
そのためのヒントが詰まった一冊です。