子どものスマホ利用は一日5時間超え?幼児期の「だらだら動画」が招く依存
どんどん長時間化する、子ども達のスマホ利用時間。内閣府の最新調査により、想像以上の現実が明らかになりました。
「このスマホ依存の土台は、実は未就学児の段階から築かれている」と指摘するのは、子育て共育アドバイザーであり、学習塾の塾長も務める野本一真先生。おとなしくさせるためについスマホを与えてしまう…そんな何気ない日常が、将来の依存の始まりになっているのだそうです。
ただ頭ごなしに「スマホを禁止する」だけでは解決しないこの問題に、親はどう向き合えばいいのでしょうか。今知るべき子ども達の現状を、先生の著書から抜粋してご紹介します。
※本稿は、野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)より一部抜粋、編集したものです。
小学生の9割がインターネットを使っている
2020年より少し前までは、「ネットは危ない」、「子どもに使わせるには早い」と警鐘を鳴らすメッセージが多数を占めていました。しかし、子どものスマホ保有率が急上昇するとともに、こうした考え方は時代にそぐわなくなってきました。
現在では、「子どももネットは使うもの」を前提に、「どうしたら安心・安全に使うことができるか」という視点になってきています。
内閣府がまとめた「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2022年度)によると、10歳以上の小学生の97.5%がインターネットを利用し、64.0%が子ども専用のスマホを所持しているという結果が出ました。低学年に目を向けると、6歳から9歳の小学生の90.9%がインターネットを利用し、29.4%が子ども専用のスマホを持っていると回答しています。
2023 年7月、文部科学省が前述の調査をもとに「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」をまとめました。それによると、2013年のスマホ所持率は、小学生6.0%、中学生25.8% でした。しかし、2022年になると、小学生64.0%、中学生91.0%にまで拡大しています。
10年前くらいまでは、高校の入学祝いにスマホを与える家庭が多かったものですが、今となっては、そんな時代が懐かしいですね。
スマホ依存の土台は未就学児の段階から築かれる
2019年4月、WHO(世界保健機関)は子どもの過度なスマホの使用に関するガイドラインを提示しました。そこには、「2歳未満の幼児に対してはスマホ使用をさせないことを推奨し、2歳から5歳までの子どもに対しても、1日あたり1時間未満に制限するべき」と書かれています。
これは、子どもの健康と発達を促進するための基準として提供されたものです。あなたのお子さんが未就学児だった頃の子育てを振り返ってみてください。いかがでしょうか。
未就学児に積極的にスマホを与えるご家庭は、ほとんどないと思います。WHOに指摘されるまでもなく、スマホ使用が未就学児の健康や発達に良いとは思っていないものの、日々の生活の中で、子どもを静かにさせるために仕方なくスマホを渡してしまうケースもあったのではないでしょうか。
特に公共の場では、幼児・未就学児をおとなしくさせるために、動画などを見せる姿をよく目にします。私が営む学習塾でも、入塾説明会の際に下のお子さんが騒がないようにスマホを与えている姿を見ることがあります。
一方、当の幼い子どもにとって、スマホは魔法の箱のようなものです。好きなキャラクターの動画や音楽が流れ、楽しいゲームだってできるのですから。
最初は「外で静かにさせるため」だったスマホですが、子どもは楽しい体験の続きをしたくなり、次第に家でも使いたくなります。親も、家事などで忙しいときに静かに遊んでくれると作業がはかどるので、あまり好ましくないとは自覚しつつ、つい与えてしまう……、こんなケースがたくさんあります。
そして、一度与えてしまうと、今度はやめさせるのに一苦労。「もう終わりね」と言って、親が一方的に取り上げると、大泣きされたり、癇癪を起こされたりの大騒ぎになることもあります。これを子どもの立場に立って考察すると、大人の考えを一方的に押しつけられて納得できず、問題行動を起こしているともいえます。
理想的なのは、子どもにスマホを渡す前に時計を指し示し、「長い針が〇のところに来たら終わりにしようね」と、最初にルールを伝えることです。時間感覚も養えますし、決めたルール・約束を守ることも伝えられます。そして、そのルールを守れたら、思い切り褒めてあげましょう。そうすると、子どもはルール・約束を守ることは良いことなのだと認知するようになります。
とはいえ、大人だって、最初の一度でできることは多くありません。1回で身につくとは思わず、何度も繰り返し、根気強く伝えていくことが大事です。
こうした幼い頃の約束事に向き合う姿勢が、その後に大きな影響を与えます。逆に言えば、幼い頃からルールを雑に取り扱うと、成長とともにスマホ依存の土台をつくっていくことにもなります。
「中学生の平日の平均スマホ利用時間は4時間半」という事実
あなたは、自分の子どもが、1日にどれくらいスマホを使っているのか把握してい
ますか? 私が見てきた中には、1日に10時間を超えてスマホを使っている生徒もいました。一度、お子さんのスマホの「スクリーンタイム」をチェックしてみることをおすすめします。どのアプリに、どれくらい時間を費やしているのかを確認することができます。
「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(内閣府)によると、高校生の平日1日の平均利用時間は、約5時間45分。中学生は、約4時間37分。小学生(10歳以上)は、約3時間34分でした。これは日中、学校や部活動などをして過ごしている平日の利用時間ですから、驚きです。
利用時間で最も多いのは、小学生(10歳以上)「2時間以上3時間未満」(19.9%)、中学生「3時間以上4時間未満」(18.2%)、高校生「7時間以上」(28.2%)であり、年齢が上がるにつれ1日の利用時間も長くなることがわかります。
なんとなく「うちの子はスマホを使いすぎなのでは?」と思っていたとしても、実際に数字を目の当たりにすると、ハッとするのではないでしょうか。
「インターネット(スマホ)の長時間利用は好ましくない」と多くの親が思っている中、こういった現実がある。それはつまり、「ルールがない」、「ルールはあっても、甘く曖昧である」、もしくは「子どもがルールを破っているのに親が気づかない」といった背景が考えられます。
著者付記
本記事の抜粋元の書籍では「令和4年度」の調査結果をご紹介していますが、令和7年3月に最新の「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」が発表されました。
これによると、中学生の平日のスマホ平均利用時間は5時間を超える結果となっており、さらに長時間化が進んでいます。
最新のデータに関する詳細や分析については、著者の公式ホームページ【親と子が共に育つ「子育て共育」】でも詳しく解説していますので、参考になさってください。
野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)
<あなたは子どもにスマホを安易に渡していませんか?>
子どものスマホ保有率は、この10年間で急上昇しました。それに伴い、子育ての新たな悩みとなったのが「スマホ問題」です。
小学校高学年、中学生、高校生のお子さんをお持ちの方、こんな悩みはありませんか?
「スマホのルールをつくりたいけれど、どうやって決めればいいのだろう?」
「ルールはつくったけれど、子どもが抜け道を探り、守られていない」
スマホは便利な道具です。しかし、親が正しい知識を持つことなく与えてしまうと、SNSトラブル、ゲーム依存、高額課金、睡眠不足、過剰な推し活・投げ銭など、大切な子どもの安全を脅かすものになってしまいます。
本書では、「子育て共育アドバイザー/学習塾塾長」である著者が、インターネットのしくみ、スマホが与える子どもへの影響、具体的なスマホルールのつくり方、ルールを守るために必須の親子関係構築のための「子育て共育7つの法則」をお届けします。
