楽しいお出かけが逆効果に? 週末に予定を詰め込む親が見落とす「子どもの脳疲労」

成田奈緒子
2026.06.05 11:32 2026.06.12 11:50

電車に乗る子ども

「平日は忙しいから、休みの日は子どもが喜ぶ予定を入れたい!」 そんな思いから、休日のお出かけを張り切って企画している親御さんは多いはず。

しかし、良かれと思って週末に予定を詰め込むことが、かえって子どもの疲れを加速させているかもしれません。

脳の疲れを回復させる「休息」について、小児科医・脳科学者である成田奈緒子先生の著書より解説を紹介します。

※本稿は、成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)より一部抜粋、編集したものです。

回復はまとめて行えるものではない

疲れを回復するというと、週末にゆっくり休めば取り戻せるものだと考えがちです。平日は忙しいのだから、休日にまとめて休めばいい、という発想はよくあります。しかし実際には、回復はまとめて行えるものではありません。脳は、日々の生活のなかで少しずつ回復し、整っていくものです。週末だけ特別に休もうとしても、十分な回復にはつながりにくいといえます。

ここで注目したいのが、平日と週末の生活リズムの差です。平日、子どもは決まった時間に起き、学校や習い事に向かい、時間に追われながら過ごします。起床、登校、授業、帰宅と、一定のリズムのなかで一日が進んでいきます。一方で週末は、起きる時刻も寝る時刻もズレ、予定が入ったり入らなかったりと、流れが大きく変わります。この差が大きいほど、脳はどこで休めばよいのかわからなくなり、落ち着きどころを失いやすくなるのです。

一見すると、週末は自由で楽な期間のように思えます。時間に縛られず、好きなことができるため、気分転換にもなりそうです。しかし、平日とはまったく違うリズムで過ごすこと自体が、体と脳にとっては大きな負担になりかねません。

毎日ほぼ同じ時刻に起き、同じような流れで一日を終えるという生活が続くことで、脳は「この時間になれば力を抜いていいんだ」と学習していきます。ところが平日と週末で生活リズムが大きく異なると、つくり上げた流れが毎週のように途切れ、また最初から整え直すことになってしまいます。

とくに注意したいのは、週末に生活リズムが大きく後ろへズレ込む場合です。明日は土曜日で休みだからと夜更かしをして朝遅く起きれば、体内のリズムは平日とは違う状態になります。日曜日の夜になっても気持ちが切り替わらず、月曜日の朝に再び早起きをすると、脳は急な活動を求められます。この切り替えそのものが負担となり、回復よりも調整に力を使うことになるのです。

そして、週末になって活動量が極端に増える場合にも、同じことが起こります。平日は疲れを抱えながら学校に通い、週末には習い事に多くの時間を費やすという過ごし方では回復に向かう時間が入り込みません。平日と週末のどちらにも、しっかりと力を抜けるようなタイミングがなく、結果として疲れはそのまま残り、次の平日へと持ち越されてしまいます。

、成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』より

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楽しい予定が逆に疲れを増やすこともある

また、平日が忙しいほど、「週末にはせめて子どもと一緒に過ごしたい」と考える親御さんは多いです。しかし、週末に予定が詰まり、外出やイベントが続くと、平日の忙しさによって崩れかけていた回復の流れがさらに悪化してしまいます。

もちろん、週末の外出は家族の楽しい時間です。しかし同時に、実は子どもにとっては気を使う時間でもあります。外出そのものが悪いわけではありませんが、予定が続きすぎると平日と同じ忙しい日常が繰り返されてしまいます。周囲に合わせる、指示を聞く、先の予定を意識する。そうした状態が続くと、脳は休まりません。

とはいえ、平日と週末をまったく同じように過ごす必要はありません。ただ、生活リズムの差が大きくなりすぎないように意識しましょう。たとえば、いつも同じくらいの時間に起きる、夜の過ごし方を極端に変えない、何もしない時間を確保する。そうした小さな工夫が、脳に過度な刺激を与えることなく、安定をもたらします。

成田奈緒子

成田奈緒子

  • HP

小児科医・医学博士・公認心理師。子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表。文教大学教育学部教授。1987年に神戸大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書インテリジェンス)、『高学歴親という病』(講談社+α新書)などがある。

子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった

成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)

「子どもはいつでも元気」はもう通用しない!?
不機嫌・だらだら・集中切れは、「子ども脳疲労」が原因だった!


「うちの子、集中力がないのでは?」「すぐにシャットダウンしてしまうのは体力不足?」
そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません。

しかし、その原因は性格でも、やる気の問題でもありません。
実は――子どもの「脳の疲れ」が関係している可能性があります。

かつては「子どもはいつでも元気」という考え方が一般的でした。
けれど現代の子どもたちは、情報量の増加、忙しいスケジュールによる睡眠不足、親の過干渉など、
目に見えない負荷を日常的に受けています。
元気そうに見えても、脳が十分に休めていない――
それが「子ども脳疲労」という状態です。

本書では、子どもの脳と発達を長年研究してきた専門家が、
「なぜ今の子どもは疲れやすいのか」
「脳が疲れると、行動や感情に何が起こるのか」 を、わかりやすく解説します。

さらに、家庭でできる環境の整え方や、
子どもが本来持っている回復力を引き出すための関わり方を紹介。
無理にがんばらせるのではなく、脳を休ませることで、子どもは自分から動き出す――
そのためのヒントが詰まった一冊です。