医学部合格、海外留学、起業…4人の子を育てたシンママが大切にした「読み聞かせ」
吉澤恵理さんはシングルマザーとして一人で4人の子育てに奮闘。成長した子どもたちは、2人の子が医学部、名門大学から海外留学、起業してコンサルタントとして活躍⋯と全員が生き生きと活躍しています。そんな吉澤さんが子育てで重視していたのは「読み聞かせ」だったそうです。0歳の頃から続けていたその「読み聞かせ」がどんなものだったのか、ここに記していただきました。
塾、中学受験もなかった4人の子に共通したこと
塾なし、中学受験なし――。そんなわが家の4人の子どもたちは、それぞれのタイミングで「学ぶ力」を育み、大学受験でもしっかりと結果を出してくれました。
次男は、偏差値55ほどの都立高校に進学。高校時代はスポーツやバンドに熱中し、勉強は後回しでしたが、高3の夏に「医学部に行く」と宣言。その言葉通り、2浪の末に医学部へ進学しました。
三男は、発信力や表現力に優れた子で、中学では生徒会長、高校では放送部に所属し、学校生活を明るくする活動に取り組んでいました。現在は早稲田大学に在学し、海外留学も経験。チューターとして後輩の進学をサポートしています。
長女は、チアリーディングや吹奏楽部などに打ち込み、仲間をひっぱるリーダータイプ。医学部を目指すなかで体調を崩す時期もありましたが、多浪の末に念願の合格を勝ち取りました。
長男は、高校までダンスに打ち込み、大学は経済学部に特待生として進学。在学中に個人事業を立ち上げ、現在は大学を中退し、マーケティングやコンサルティングの分野で活躍しています。
4人に共通するのは、自分を表現する力と、困難を乗り越える力。そして、人の気持ちに寄り添える共感力を持ち、誰とでも自然に仲良くなれることです。
そんな彼らの人間力の土台になったのが、毎晩の「読み聞かせ」でした。
「また読んで」と言われれば何度でも。200冊以上ある絵本の中から、同じ本を選ぶこともありましたが、飽きることなく読み返しました。
そんな毎晩の時間が、言葉だけでなく、親子の絆を深め、心を育てる時間になっていたのです。
0〜1歳 読み聞かせのはじまり
読み聞かせを始めたのは、生後2〜3ヶ月ごろ。
「こんなに小さな赤ちゃんに本?」と不安もありましたが、毎日少しずつ絵本を見せて、声をかけることから始めました。
『いないいないばあ』では「ワンちゃんいないね〜」「いたね〜!」と語りかけながらページをめくると、赤ちゃんが目を合わせて笑うように。
『はらぺこあおむし』では、「りんごむしゃむしゃ」「いちごむしゃむしゃ」と読んでいると、ある日、長男が絵を指で取るフリをして、むしゃむしゃと食べるマネをしました。
「いちご食べたの?むしゃむしゃー!」と声をかけると、ニコッと笑って、また同じ動きを。
そのとき、「伝わっているんだ」と感じました。
そして、「こんなに小さくても、絵本を見て想像できるんだ」と気づき、読み聞かせが大切だと実感した瞬間でした。
不思議そうな顔、うれしそうな顔、びっくりした表情。
そのひとつひとつに、「不思議だね」「楽しいね」「びっくりしたね」と声を添えることで、
さまざまな感情とことばが結びつき、自然と感じる力を育んでいったのだと思います。
1〜3歳 言葉と感情が育つとき
この時期になると、子どもたちは「読んで!」と同じ絵本を持ってくることも多くなりました。
中でも、4人とも夢中になったのが『はじめてのおつかい』。
主人公のみいちゃんが一人で牛乳を買いに行く冒険の途中で転んだり、不安になったりする場面に、子どもたちは「がんばれー!」と全力で応援。
読み終えると、口をそろえて言うのです。
「ぼくも、ひとりでぎゅうにゅうかいにいけるよ!」
「ほんとに?転ばない?」と聞くと、「うん!ちゃんと、ぎゅうにゅうくださいって言えるよ!」と胸を張って答えてくれました。
物語を自分のこととして捉え、想像し、勇気を持つ力が、自然と育っていると感じました。
4〜6歳 想像力を育てる
成長とともに長編の絵本やドラマチックなストーリーを好むようになりました。
わが家で人気だったのが『押入れの冒険』。押入れの奥に広がる異世界に迷い込む少年の冒険に、子どもたちは夢中でした。
読み終える前から、次男がふすまの方をじーっと見つめて、
「うちの押入れから助けにいける?」と聞いてきました。
「どうだろうね?行ってみる?」と返すと、
「うん!ぼく、たたかう準備してるから!」と目を輝かせていました。
「どうする?」「助けに行く?」と声をかけることで、
子どもは物語を自分の冒険として体験していたのです。
『押入れの冒険』には少し怖い場面もありましたが、読み終えたあとには「チカラを合わせること」「譲り合うことの大切さ」を、じんわりと受け止めていたようでした。
もう一つ、記憶に残っている絵本は、『おじいちゃんがおばけになったわけ』。大好きなじいじが亡くなり、夜におばけになって現れる、そんなユーモラスでせつない物語を通して、「死」ということを自然に考え始めていたのを感じました。
ちょうどその頃亡くなった祖父を重ね合わせ、「いつもおじいちゃんが見ていてくれるかな」という話を兄弟間でしていたのを覚えています。
さらに、読み聞かせを通してさまざまな登場人物に共感する経験を重ねる中で、日常生活でも自分の気持ちや考えを、より豊かに表現できるようになっていったと感じます。
「うれしい」「こわい」だけでなく、「ちょっとくやしかった」「ほんとはさびしかった」など、
感情を言葉にする力が、少しずつ育っていたのだと思います。
小学生以降 読み聞かせは終わりではなく深まり
小学生になると、音読や黙読が増えて「もう読み聞かせは卒業?」と思いがちですが、
実はこの時期こそ、第二の読み聞かせ期です。音読をするときにお手本として読んであげることも多くありました。
そうすることで、読み聞かせの習慣はそのまま「音読の習慣」へと自然に移行しました。
特にハマったのが落語絵本シリーズや、谷川俊太郎の詩『朝のリレー』。
落語絵本では、「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ…」とテンポよく言葉を重ねながら、笑い合って何度も声に出していました。
『朝のリレー』は、朝の支度の最中でも、「カムチャツカの若者が…」と口ずさむほど、リズムが体に染み込んでいたようです。
また、この頃から暗誦にも自然と親しむようになりました。
詩やことわざ、百人一首のような作品も、言葉遊びの延長のように楽しみながら覚えることができたのです。
そしてこの声に出す習慣=音読や暗誦は、その後の勉強にも自然と生かされていきました。
理科や社会の用語、英語のフレーズ、漢字の読みなど、覚えるときは決まって声に出して繰り返す姿がありました。
言葉遊びの感覚で楽しくできた暗誦が、「勉強=つまらない」ではなく、「声に出すと面白い」につながったように感じています。
成人した今でも、子どもたちは「落語のオチ」「朝のリレーの一節」「小学生のときに暗誦した詩や一節」を覚えています。
読み聞かせを通して、学びとは、言葉を楽しむことから始まるのかもしれないと感じました。
忙しい現代ではありますが、寝る前の5分でも読み聞かせの時間を持ってみると、親としても発見があると思います。