梅雨に増える乳幼児の体調不良…見逃せない「悪化する前兆」とは?【医師の見解】
湿気と高温が続く梅雨の季節が始まります。大人でも体がだるく感じるこの時期、体の小さな子どもたちはどのような影響を受けているのでしょうか?
竹内内科小児科医院の院長・五藤良将先生に、梅雨時期に気をつける子どもの体調トラブルとその家庭での対策について伺いました。
言葉で上手に伝えられない子どもの変調に注目すべき季節
――梅雨の時期、大人でも体調不良を感じることがありますが、子どもも同じように影響を受けているのでしょうか?
五藤先生:はい、実は子どもの方が影響を受けやすい傾向にあります。梅雨は、湿度・気温差・気圧の変化が複合的に押し寄せる季節です。体温調節や免疫機能、自律神経の働きがまだ未熟な乳幼児にとっては、かなりの負担になります。
ただ、大人のように「だるい」「頭が重い」と言葉で訴えることができないため、不機嫌になったり、夜泣きが増えたり、食欲が落ちたりと、行動や生活の変化に表れやすいのが特徴です。
梅雨の時期に喘息が悪化する理由は?
――梅雨に増える子どもの体調トラブルは?
五藤先生:梅雨の時期は、子どもの体にとっては非常にストレスフルな季節です。
まず目立ってくるのが、咳や鼻水、喘息の悪化などの呼吸器トラブルです。梅雨の湿気によって、室内にカビやダニが繁殖しやすくなります。
これらの微細な粒子が空気中に舞い、それを吸い込むことで、気管支が刺激されて咳が続いたり、ゼーゼーと呼吸が苦しくなったりします。カビやダニが多い環境になることで、アレルギーや喘息を発症することもあります。
喘息をもつお子さんは、この時期に発作を起こしやすく、夜間や運動時の咳には特に注意が必要です。
皮膚のトラブルも増える梅雨
五藤先生:また、皮膚トラブルも非常に増える季節です。子どもは汗っかきで、皮膚のしわやおむつの中など、蒸れやすい場所が多くあります。そこに湿気が加わると皮膚がふやけ、バリア機能が弱まって炎症が起きやすくなります。
あせもやおむつかぶれはもちろん、カンジダというカビの一種が原因となる皮膚炎もよく見られます。赤くジュクジュクとただれ、テカテカした湿疹が広がる場合は、カンジダ性皮膚炎を疑う必要があります。
見落とされがちですが、熱中症もこの季節からすでにリスクが高まっています。梅雨明け前でも気温の高い日が増え、湿度も高いため、子どもの体に熱がこもりやすくなります。
特に室内では、風通しが悪く、締め切った環境で寝ていると就寝中に熱中症になることもあります。
乳幼児は自分で「暑い」と訴えることができないため、顔が赤く体が熱い、唇が乾いている、おしっこの量が少ないなどのサインを見逃さないことが大切です。
そしてこの時期から夏にかけては、さまざまなウイルス感染症も流行しやすくなります。
ヘルパンギーナは高熱と口内炎を、手足口病は手足や口の中の水ぶくれ状の発疹を、プール熱(咽頭結膜熱)はのどの痛みと目の充血を伴うのが特徴です。
さらに、下痢や嘔吐などの消化器症状が出る子も少なくありません。これは、梅雨時の寒暖差や湿度の変化によって自律神経のバランスが崩れ、腸の動きが不安定になるためです。
いずれも乳幼児にとってはつらい症状であり、家庭内感染の予防には手洗いやタオルの使い分けなどが欠かせません。
悪化する前に前兆を見逃さない
――注意すべき体調変化や受診のタイミングはどういったものでしょうか?
五藤先生:基本的には、親が「いつもと違う」と感じれば、受診を検討して良いでしょう。
いつもより元気がない、機嫌が悪く食事や水分をとろうとしない、遊びたがらない、よく泣くといった様子は、注意すべきサインです。特に乳児の場合、食事や授乳の拒否は脱水の兆候でもあるため、早期の対応が求められます。
そして、顔が赤く汗をかいていない、手足が冷たくぐったりしているような場合は、熱中症の初期症状の可能性があります。
咳が続いている場合や、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューと苦しそうな音を立てているときは、喘息や気管支炎の悪化が疑われます。
また、夜間に咳き込んで眠れない、咳で嘔吐するなどの状態が見られた場合には速やかに受診してください。
発熱が長引いたり、いったん下がっても何度も繰り返したりする場合には、感染症やウイルスによる体調不良の可能性があります。
皮膚の赤みが広がり、ただれやジュクジュクとした滲出液が見られるような場合は、市販のスキンケア製品では改善しにくいため、医師の診断と処方が必要です。
適切な室温、水分補給をこころがける
――梅雨の時期の体調トラブルに不安を感じる保護者も多いと思いますが、家庭でできる予防策はありますか?
五藤先生:生活の中でいくつかの基本的なケアを心がけることが大切です。
まず、室内の湿度は50~60%に保つようにし、カビやダニの繁殖を抑える環境づくりを意識しましょう。湿度が高くなりやすいこの時期は、除湿機やエアコンのドライ機能を活用するのも有効です。
また、子どもは汗をかきやすいため、お風呂でしっかりと汗や皮膚の汚れを洗い流し、肌を清潔に保つことが皮膚トラブルの予防につながります。日中は通気性の良い服を選び、汗をかいたらすぐに着替えさせることで、あせもやかぶれを防ぐことができます。
水分補給も非常に重要です。特に乳幼児は脱水症状を起こしやすいため、母乳やお茶、経口補水液などをこまめに与える習慣をつけておきましょう。
さらに、夜間の寝苦しさからくる体調不良や熱中症を防ぐために、寝室の室温は24~28℃を目安に調整し、エアコンを上手に使うことがすすめられます。熱中症予防の観点から、環境省も夏期の室温は28℃を上限とすることを推奨しています。その際は、冷風が子どもの体に直接当たらないよう、風向きにも注意しましょう。
家庭での小さな工夫が、子どもたちの健康を守る第一歩となります。親子でしっかりと対策し、元気に梅雨を乗り越えていきましょう。