ぼーっとする子の脳で何が起きている? 「もっと頑張ってほしい親」が知らない休憩の効果
子どものダラダラした姿や、やる気のなさを目の当たりにすると、親としてはつい焦って声をかけたくなってしまうもの。しかし、脳科学者の成田奈緒子先生によると、「子どもがぼーっとしている時間こそ、脳が次のステップへ進むための大切な“作業“」なのだそう。
子どもの本来の力を引き出すための「休憩の効果」について、成田先生の著書から抜粋してご紹介します。
※本稿は、成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)より一部抜粋、編集したものです。
頑張れる土台づくりから
子どもの様子を見ていると、「もう少し頑張ってほしい」と感じることは少なくありません。集中が続かなかったり、やる気が感じられなかったり、同じ注意を何度も繰り返したりする場面が続くと、どうしても本人の努力や意識の問題のように思えます。日々の生活のなかで、つい大人の基準で判断してしまうのは親なら誰しも経験することです。
しかし、脳は「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」の3層で成り立っています。 とくに土台の「からだの脳」が疲れていると、上層の「おりこうさんの脳」(集中・理解・工夫)がうまく働かず、 「頑張れ!」と負荷をかけても、空回りしやすいのです。
さらに、疲れた脳に追い打ちをかけるような声かけや注意が重なると、子どもは次第に身構え、自由に動けなくなります。 「もっと頑張らせよう」とするほど反応が鈍くなり、うまくいかない場面が増え、悪循環が生まれやすくなる……。 これは、意外と多くの家庭で起きていることです。
「休ませる」だけで、大きく変わる
ここで必要なのは、「どうやって頑張らせるか」ではなく、「どうすれば休める状態をつくれるか」という視点に立つことです。脳は、休める環境が整うことで、自然と本来の働きを取り戻していきます。無理に外から引き出そうとしなくても、回復して力が戻りさえすれば、自ら動きはじめる素質はもともと備わっています。
実際、しっかり休息を取ることができた子どもには、わかりやすい変化があらわれます。表情が豊かになったり、声をかけたときの反応が早くなったり、話しているときに目線が合いやすくなったりするのです。こうした変化は、やる気が入った結果というより、脳がしっかり回復でき、本来の状態に近づいてきたサインと受け取ることができます。
ここでいう「休ませる」とは、何もしなくていいという意味ではありません。子どもが安心して肩の荷を下ろせるような環境を整えることを指しています。評価や急かしから少し距離を取り、力を抜ける時間が確保されることで、脳は回復に向かいやすくなります。休める状態が整えば、無理に促さなくても、自然な動きや反応は少しずつ戻ってくるのです。
何もしていない時間は、脳の大事な作業中
子どもが何もせず、ぼーっとしている姿を見ると、つい声をかけて何かさせたくなってしまうものです。このままで大丈夫だろうか、時間をムダにしているのではないかと、不安になります。
しかし、何もしていないように見えるときにも、脳のなかではしっかりと活動が続いています。これはDMN(デフォルトモードネットワーク)と呼ばれる状態で、休息しながらも脳内ではさまざまな調整が行われているのです。
この時間に、脳内では情報の整理や経験のつなぎ直しが進みます。学校であった出来事や友だちとのやり取り、気になっていることなどが処理され、その過程で新たなアイデアがひらめくこともあります。外から見ると何もしていないように見えても、脳内では回復と準備が同時に進んでいるのです。つまり、次に動くためのエネルギーを少しずつ蓄えている状態ともいえます。
ところが、この時間を「何もしていない」と判断してすぐに次の行動を促すと、回復の流れは途切れてしまいます。「ぼーっとしていないで、早くこれをしなさい」と声をかけられることで、子どもの脳は再び緊張状態に戻り、休める時間が短くなってエネルギーをためる機会が減るのです。
脳を使い続けているだけでは疲労がたまり、パフォーマンスは少しずつ落ちていきます。何かに集中していない時間があるからこそ、脳は休みながら準備を進めることが可能です。ぼーっとする時間は、ただ何もしていないわけではなく、効率よく働くための土台を整えている大切な時間なのです。
もし子どもがぼーっとしていたら、とくに声をかけたりはせず、そってしておきましょう。それが自由な発想を促し、さらなる脳の成長へとつながっていきます。
成田奈緒子著『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)
「子どもはいつでも元気」はもう通用しない!?
不機嫌・だらだら・集中切れは、「子ども脳疲労」が原因だった!
「うちの子、集中力がないのでは?」「すぐにシャットダウンしてしまうのは体力不足?」
そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません。
しかし、その原因は性格でも、やる気の問題でもありません。
実は――子どもの「脳の疲れ」が関係している可能性があります。
かつては「子どもはいつでも元気」という考え方が一般的でした。
けれど現代の子どもたちは、情報量の増加、忙しいスケジュールによる睡眠不足、親の過干渉など、
目に見えない負荷を日常的に受けています。
元気そうに見えても、脳が十分に休めていない――
それが「子ども脳疲労」という状態です。
本書では、子どもの脳と発達を長年研究してきた専門家が、
「なぜ今の子どもは疲れやすいのか」
「脳が疲れると、行動や感情に何が起こるのか」 を、わかりやすく解説します。
さらに、家庭でできる環境の整え方や、
子どもが本来持っている回復力を引き出すための関わり方を紹介。
無理にがんばらせるのではなく、脳を休ませることで、子どもは自分から動き出す――
そのためのヒントが詰まった一冊です。
