「宿題やりなさい!」はなぜ逆効果? 京大教授が解説する“やる気を奪う理由”

親から「宿題をやりなさい」と言われると、なぜか子どもはやる気がなくなるもの。そこには、心理学的な理由があるそうです。では、やる気を失わずに宿題に取り掛かるための方法とは……?
小学生の素朴な疑問に、京大の先生が発達心理学の視点からこたえる『ふしぎなこころの世界』より、親の一言でやる気が消えてしまうメカニズムを紹介します。
※本稿は、森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
Q.だれかからの「宿題やれ」で、やる気が消滅するのはなぜ?
A. 人はだれしも、「自分で決めたい」という気持ちがあるから。
「さーて、宿題でもやろうかな……」なんて、やる気が出かけたしゅんかんに、おうちの人から「宿題やりなさーい!」って大きな声が飛んでくると、急にやる気がなくなったこと、ないかな?
どうして「宿題やりなさい!」って言われると、あんなにやる気が消えちゃうんだろう。
そのカギは、きみの心の中にかくされている「やりたい!」っていう気持ちの、ふしぎなしくみにあるんだ。
まず知ってほしいのが、大切な心の働きについて。
それは「自分のことは、自分で決めたい!」っていう、きみが持っている、とても自然で、力強い気持ちのことなんだ。
考えてみて。今日、公園で何して遊ぶか、友だちと相談して「おにごっこしよう!」「いいね! じゃあ、次はかくれんぼ!」って自分たちで決めたら、すごく楽しいよね。
でも、もし公園に着いたとたんに、「はい、きみはブランコに乗りなさい」「あなたはすべり台を三回すべりなさい」なんて、全部細かく指示されちゃったら、楽しくなくなりそうだよね。
この「自分で決めたい!」っていう気持ちは、子どもも大人も、みんなが持っている、とっても大切な心の栄養なんだ。自分の行動を自分でコントロールしている、自分で選んでいるっていう感覚が、わたしたちを元気にしてくれる。
「宿題をやりなさい」と言われると……

ところが、「宿題やりなさい!」っていう言葉は、この「自分で決めたい!」っていう気持ちをジャマしちゃうことがある。
「よし、そろそろ宿題に取りかかろうかな」って、自分なりの計画を立てようとしていたところで「やりなさい!」って言われちゃうと、まるで「あなたは自分で時間も決められないの?わたしの言う通りにしなさい!」と言われたようで、自分のコントロールする力を取とりあげられたと感じてしまうことがあるんだ。
そうすると、さっきまであったはずの「よし、やるぞ!」っていう前向きな気持ちも、「うーん、なんだかやる気がなくなった……自分でやろうと思ってたのに……」って、しぼんじゃう。
たとえそれが、やらなければいけない大切な宿題だって、頭ではわかっていても、「自分で始めるタイミングを決めたかったのに」「どの教科からやるか、自分で選びたかったのに」っていう気持ちがわいてきて、結果的に「やりたくないな……」ってなってしまう。
どうしたら宿題に前向きに取りくめるかな?

では、どうしたら「宿題やりなさい!」って言われても、自分のやる気を守って、前向きに宿題に取りくめるようになるだろう?
いくつかのヒントを紹介するね。
まずは、言われる前にやること。
「宿題やりなさい!」と言われるから、やる気がなくなるんだ。だから、言われる前にやってしまおう。
もちろん、かんたんなことではないけど、おうちの人に言われる前に始めるのは気分がいいものだよ!
もしできるなら、いつ、どこで、どんなふうに宿題をするか、少しでもいいから自分で決められるように、おうちの人に前もって相談してみてもいいかもしれない。
それで、次の日に学校から帰ってきたら、自分からせんげんしちゃうんだ。「今日は学校から帰ってすぐ、おやつを食べる前に、一時間だけ集中してやる」とか、「静かな図書館で、友だちといっしょにがんばる」とか、「好きな音楽を小さな音でかけながら、リラックスして取りくむ」とか。
自分で計画して、自分で実行するっていうのは、それだけで「やらされてる感」がずいぶんとへって、「自分でコントロールしてるぞ!」っていう気持ちになれるんだ。
もし宿題で、やる気が出なくてどうしようもなくなったりしたら、こういうヒントを、ちょっと思いだしてみてね!
森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)
小学生100人に聞いた 心の「なぜ?」に 京大の先生がこたえる本!!
「やらなければいけないことを、つい後まわしにしてしまうのはなぜ?」
「クレーンゲームを、ついやりたくなるのはなぜ?」
「ついつい動画を観ながらゲーム。二つのことを同時にやりたくなるのはなぜ?」
「おばけはいないはずなのに、おばけがこわい! なぜ?」
「赤ちゃん時代の記憶がないのはなぜ?」
小学生100人へのアンケートで集めたリアルな「心のなぜ?」に、京都大学大学院・森口佑介先生が発達心理学の見地からこたえます。
ふしぎとついやってしまう、わかっているのにやめられない…そんな心のクセを知って、自分の心や気持ちとうまくつきあうためのヒントが満載の一冊です。
語りかけるようなやさしい文章で読みやすいのに、内容は本格的。
第一線で活躍する研究者がおくる、知的好奇心を育てる新しい児童書です。






























