子どもがスマホルールを破る本当の理由は?「親の理想」が招く悪循環

野本一真

子どものスマホ利用が当たり前になった現代。家庭で決めたルールを子どもが守らず、悩む家庭も少なくありません。

そもそも、なぜ子どもはルールを破ってしまうのでしょうか。そこには、ルール作りの際に、親が「子どもはこうあるべき」という理想を反映させることで、子どもの「言い分」を置き去りにしてしまっているという原因が隠されています。

では、子どもが自発的にルールを守り、親子で信頼関係を築くためにはどうすればいいのでしょうか。子育て共育アドバイザーで、学習塾の塾長も務める野本一真先生の著書から、親子でのルール作りの本質について抜粋してご紹介します。

※本稿は、野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)より一部抜粋、編集したものです。

子どもの主張に耳を傾ける姿勢を

多くのご家庭では、親の名義で携帯会社と契約し、機種代や月々の利用料も親が負担するのではないでしょうか。「親が子にスマホを買い与え、子は定められたプランの範囲内で利用する」という関係からか、親としての立場を利用したルールづくりがなされるケースが多く見られます。

よくありがちなのが、親の「子どもはこうあるべき」という理想や思い込みがルールに反映されているものです。これでは子どもは不満を感じるだけ。そのうち、どうにかしてバレないようにルールを破ろうと画策し始めます。

ルールを守って運用するためには、ルールづくりの際に子どもの主張に耳を傾けることが大事です。子どもも、自分の意見が反映されたルールであれば「自分の言ったことは守らなければ」という気持ちが芽生えるものです。

もちろん、子どもの意見をすべて取り入れてしまえば、ルールになりません。親として納得ができないことは、意見したり、却下したりすることもあるでしょう。でもまずは、却下を前提とせず、中立的な立場で子どもの主張を聞いてください。

また、中立的に聞こうと思っていても、家事や仕事などで忙しいときなどは、「それは〇〇でしょ」などと話を遮ったり、命令口調になったり、説得しようとしてしまうこともありがちです。それでは話し合いにはなりません。

繰り返しになりますが、スマホルールで大事なことは、つくったルールを守れるよう親子で話し合って決めること。そして、ルールを破ってしまったり、トラブルに巻き込まれてしまったりしたときに、子どもがすぐに親に相談できるように日頃から信頼関係を築いておくことです。

小学校高学年から高校生にかけて、子どもは反抗期を迎えます。そこに「お母さんに話したって、どうせ聞いてくれない」、「お父さんはすぐに否定するから言いたくない」といったネガティブな感情が加わると、子どもをスマホトラブルから守ることが難しくなってしまいます。それにはどうしたらよいかを、いくつかご紹介します。

子どもの言い分と「あなたのため」に隠れた真意

親は、子どもが歩けず、言葉も話せない赤ん坊の頃から見続けています。そのため、いくつになっても子どもは子ども、という態度をとりがちです。

あなたは、自分の子どもの話を「子どもの言うことだから」とぞんざいに扱ったり、発言を軽んじたりすることはありませんか?

確かに、子どもは大人である親に比べると未熟です。まだ自分の意見をしっかり持っているとは言い切れない部分もあります。しかし、子どもにも自我があり、子どもは子どもなりの考えがあります。

子どもの意見は、親からすると「何を言ってるの? そんなの無理に決まっているでしょう?」と思うほど非現実的で、突拍子もないものであることが多々あります。子どもの意見が未熟なのは当たり前。でも、よくよく聞くと「なるほど、そういう考え方もあるな」と感心する意見や、子どもならではの斬新なアイデアであることも多いものです。大人が常に正しく、子どもが常に誤っているわけではありません。子どもの意見が正しく、的を射ている場合もあるのです。

一例として、卒塾生のセリフの中に、こういったものがありました。

「自分の意見を認めてくれて、さらに適切なアドバイスをしてくれるので、勉強面以外でも塾長と話すと心に余裕を持てた」

私は、生徒の話(言い分)をすべて聞き、それに対してアドバイスをするときは、「選択肢は与えるが、決定権は本人に持たせる」という対応を繰り返し行いました。自分で決めているので、自分事として捉えるようにもなります。

また、子どものことを思い、その意図や理由を伝えることなく「あなたのためだから」と口にしたことはありませんか? この「あなたのため」という言葉で、子どもの行動は変わりましたか? おそらく、ほとんどの子どもはピンとこない顔、表面上はわかったような態度、または反抗的な態度をしていませんでしたか?

大人である私たちは数々の失敗と成功を繰り返してきたため、子どもの言動に対する未来が、ほぼ予見できてしまいます。親自身の経験や後悔などから、自分の大切な子どもに「こうなってほしい(ほしくない)」という切実な思いを込めて「あなたのため」という言葉を伝えても、子どもにはなかなか響かないのが現実です。

なぜなら、子どもは遠い将来のことなど想像できないからです。そして、想像できないことは実行できません。つまり、遠い将来の失敗を見越して先回りして声をかけられたところで、子どもには何の実感もわかないどころか、余計なお世話とすら感じる場合もあるのです。

こうした先を見越した対応は、一見、リスクを回避できそうに思えます。しかし、これこそが大人の価値観の押しつけともいえます。

そもそも、この「あなたのため」という言葉は、本当に「あなたのため」なのか。もちろん、子どもを心配しての言葉であるのは間違いないでしょう。しかし、多くのお母さん・お父さんと話をしていると、「子どもが親の思う理想の状態になっているかどうか」というケースが実に多いものです。

一生懸命勉強している姿に安心する。

疲れて帰ってきたのに、手伝いもせずにゲームをしている姿にイラッとくる。

そして、「勉強したの? あなたのために言っているのよ!」と言ってしまうこともある。

このように、親自身の感情を「あなたのため」という言葉に乗せているケースが少なくありません。

スマホの与え方・使い方の教科書

野本一真著『スマホの与え方・使い方の教科書』(産業能率大学出版部)

<あなたは子どもにスマホを安易に渡していませんか?>

子どものスマホ保有率は、この10年間で急上昇しました。それに伴い、子育ての新たな悩みとなったのが「スマホ問題」です。
小学校高学年、中学生、高校生のお子さんをお持ちの方、こんな悩みはありませんか?

「スマホのルールをつくりたいけれど、どうやって決めればいいのだろう?」
「ルールはつくったけれど、子どもが抜け道を探り、守られていない」

スマホは便利な道具です。しかし、親が正しい知識を持つことなく与えてしまうと、SNSトラブル、ゲーム依存、高額課金、睡眠不足、過剰な推し活・投げ銭など、大切な子どもの安全を脅かすものになってしまいます。
本書では、「子育て共育アドバイザー/学習塾塾長」である著者が、インターネットのしくみ、スマホが与える子どもへの影響、具体的なスマホルールのつくり方、ルールを守るために必須の親子関係構築のための「子育て共育7つの法則」をお届けします。