写真すら本物か分からない時代。デマにだまされない子を育てる「3つの質問」

友村晋
2026.07.01 15:09 2026.07.07 11:50

スマホを持つ手

SNSやネットには、真実と嘘が入り混じった情報があふれています。子どもがそうした情報に振り回されず、自分の頭で判断できるようになるにはどうすればよいのでしょうか。

フューチャリスト・友村晋さんの著書より、フェイクが増えるAI社会に必要な能力「ファクト眼―真実を見抜く力」についてご紹介します。


※本稿は、『わが子に教える AI時代に必要な7つの能力』(友村晋/日経BP)から一部抜粋・編集したものです。

「ファクト眼―真実を見抜く力」の定義

フェイク(嘘)を見破ることはもちろん、目の前の情報や出来事を、感情や先入観に流されず冷静にファクト(事実)だけを見て判断できる能力のこと。さらに、あふれる情報の中から自分にとって価値のある情報を抜き出し、それ以外の情報はノイズとして脳から捨てることができる能力のこと。

AI社会で必要な理由

ヘッドホンをつけてパソコンをさわる男の子

以前から、ネット上では真実か嘘かがよくわからない情報が流れやすかったのですが、記事を大量生産できる生成AIが登場してからは、ますます怪しい情報が流れてくるようになりましたね。この傾向は今後さらに加速しますよ。

そのうち、いったいどれがフェイクなのか簡単には見分けることができなくなり、もしかするとフェイクが紛れ込んでいることすら意識しなくなっていくかもしれません。

この現象は文字の情報だけでなく、画像や音声、映像でも同じです。既に本物と区別がつかない偽の映像も簡単に作れるようになっていて、僕は近い将来、画像や映像が裁判の証拠として使えなくなる社会が到来すると感じています。

だからこそ、人間がしっかりと情報の真偽を判断できるようにならないと、AIを正しく活用することはできません。情報に基づいてより良い意思決定を行うことも難しくなります。そうなると、真実と嘘が入り交じった情報を前に、自分で判断することができなくなってしまったり、判断することが不安になってしまったりするでしょう。

その結果、友人がアレを選んだから自分もアレを選んでおこうとか、有名人やインフルエンサーが薦めるものを無批判に選んでしまうようになっていきます。こうして人任せの意思決定をしてしまう依存型の人間になってしまうんですね。

そんなことにならないように、自分の子どもにはこの真実を見抜く「ファクト眼」の能力が身に付くように育てる必要があるんです。それでは、どうすればそのファクト眼を身に付けさせることができるのでしょうか。

メディアの情報をうのみにしない

「ファクト眼」を身に付けさせるためには、クリティカル・シンキングを鍛えます。

クリティカル・シンキングとは批判的な思考を行うことで、例えばメディアの情報をうのみにせずに疑う姿勢を持つことですね。

ユダヤ人は、世界人口のわずか0.2%でありながら、ノーベル賞の20%を獲得しています。彼・彼女たちの家庭での教育には、まさにクリティカル・シンキングが含まれているんですよ。

日本では多くの親が「お父さん・お母さんや先生の言うこと、大人の言うことをしっかりと聞きなさいね」というふうに教えていますよね? しかしユダヤ人はわが子に対して、「親である私や学校の先生の言うことをそのまま信じてはいけないよ。自分の頭で考えて自分の責任において判断しようね」と教えるんです。

どうですか? 真逆ですよね。

またドイツでは、ヒトラー率いるナチスに政権を与えた苦い経験から、メディアや権力のある人たちの話をうのみにしてはいけないという教育が小学校低学年から取り入れられているんです。

例えばある情報について、それは事実が述べられているのか意見が述べられているのかを質問したり、フェイクニュースやSNS上のデマを見抜く方法を教えたりしています。また、写真や動画を加工する方法なんかも教えているんですね。「ほら、こんなに簡単にウソが作れるんだよ」って、学校の授業で教えているんですよ。

そして何より、政治や社会の問題をタブー視しないことを教えます。

一方、日本では学校や家庭で、トラブル回避型の教育がされています。とりあえず危ない話には近づけさせない、政治や社会の問題など意見の対立を生じるような話題は避けた方が無難だ、と子どもたちに教えます。

しかしユダヤ人やドイツでは、その話はどこが危ないのか、なぜその話を人は信じやすいのか、そしてどうすればそれらの情報の危険性や嘘を見抜くことができるようになるのかを徹底的に教えるんです。

こうしてクリティカル・シンキングを身に付けさせるんですね。

3つの疑問を持たせる

スマホをいじる男の子

それでは家庭教育でクリティカル・シンキングをどうやって教えればいいのでしょうか?

実は、とってもシンプルです。

それは、「情報」に対して常に次の3つの疑問を持つ習慣を身に付けさせるんです。その疑問とは、「誰が作った?(who)」「何のために?(why)」そして「なぜこんな伝え方をしている?(how)」というものです。

この3つの疑問を持たせることこそが、クリティカル・シンキングを身に付けさせる秘訣なんです。その理由は次の通りです。

まずは「誰が作った?(who)」と疑問を持つことで、フェイクニュースの狙いである、誰が作った(発信した)のかを考えさせないようにして、主要メディアや権威ある機関が作った(発信した)と錯覚させようとする、ことを見破れる可能性が高まります。

「何のために?(why)」と疑問を持つことで、フェイクニュースの狙いである、①政治的・宗教的な思想を広めたい、②拡散させて有名になりたい(アクセスを集めて稼ぎたい)、③詐欺でだまして稼ぎたい、などを見破れる可能性が高まります。

「なぜこんな言い方(伝え方)をしている?(how)」と疑問を持つことで、フェイクニュースの狙いである、「今すぐ!」「絶対に知らないと!」「あなただけに教える!」「世間では常識!」などの言い方で人の思考を停止させて、偽の情報を信じ込ませたり焦燥感をあおったりしたい、という思惑を見破れる可能性が高まります。

ですから、まずは親御さん自らが、ニュースを見聞きしたりネット上の情報に触れたりするときには、常にこの3つの疑問を持つようにしてください。

特に、近年流行している切り抜き動画などを、子どもが前後の文脈をチェックせずにうのみにしているような場合は、この3つの疑問を持たせてみてください。もちろん親御さん自身も。

友村晋

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1979年福岡県宗像市生まれ広島県呉市育ち。YouTube「2030年の未来予測チャンネル」主宰。フューチャリスト、DX推進コンサルタント、生成AI活用コンサルタント。星の杜広島中学・高等学校 AI / DXディレクター。米中の自動運転タクシーをはじめ、あらゆる最新テクノロジーを自ら体験。その体験をベースとした独自の未来予測で、ビジネスパーソン、教職員、保護者、学生向けに全国で講演活動中。

わが子に教える AI時代に必要な7つの能力

『わが子に教える AI時代に必要な7つの能力』(友村晋/日経BP)

AIの浸透で、フェイクが増え、技術が答えを教えてくれ、情報も人も個性を失い、分断が進み、先人の知恵が役に立たず、お金を稼ぎにくく、変化が激しい時代がやって来ます。本書はこの現実を直視し、親が家庭で教育できる実践的な方法を提示します。学校が変わるのを待つのではなく、親が扉を開く。そのために必要な視点と手順が、具体な例とともにわかりやすく示します。