子どもの海遊びデビューに必要なものとは? おすすめ絵本3冊と事前に教えておきたいこと

八木澤潮音
2026.07.18 13:27 2026.07.19 19:00

海水浴場と浮き輪

この記事の画像(4枚)
子どもたちの成長に、触覚・視覚・聴覚など五感をフルに使う「水遊び」が大きな役割を果たすことはよく知られています。光に反射してキラキラ輝くさま、自由に形を変えて手の間を流れていく様子…。水に親しむことは、感受性を育み、生きる喜びにつながる素晴らしい体験になります。

まるで本能的にそれらを知っているかのように、家や園などのプールで水遊びを楽しむ2歳ごろの子どもたち。そんな子どもと接しながら、今年こそは、子どもと一緒に「海へおでかけしたい」と考えているご家庭も多いのではないでしょうか。

これから始まる子どもたちの長い人生の中で、初めてとなる海デビューを、素敵な出会いにしてあげたい――。福岡県・芦屋町で小さな子どもたちの海あそび・自然体験プログラムを開催している「海あそび舎」の八木澤潮音さんに、そのためのポイントを伺いました。(取材・文/nobico編集部)

波や砂浜に慣れるためには? 慎重派のモチベーションUPに絵本が効果的

海で遊ぶ親子

水遊びが好きな子どもでも、はじめての海はいつもの暮らしと別世界です。打ち寄せてくる波、ふだん嗅いだことのない潮の香り…。何よりも見たこともない広さにビックリして、中には泣き出しちゃう感受性の強い子も。また、そもそも室内あそびが好きで、外に出て遊ぶことをイヤがる子どもたちもいます。

そんな子どもたちが、ワクワクとはじめての海体験を待ち望めるよう親子で楽しんでほしいのが、海あそびの絵本。

八木澤潮音さん「『なつ』などの概念がまだない小さな子どもたちには、とにかく『暑くなってくると、冷たい水は気持ちいいね』から始めてほしいと思います。『水で遊ぶのは気持ちいい』が、水遊びの原点。 まだ見たこともない『うみ』については、まず絵本などで『こういう場所なんだよ、楽しいね、行ってみたいね』と、子どもと一緒に楽しんでもらうのが良いのではないでしょうか」

たとえば、『うみ ざざざ』(作ひがしなおこ/絵きうちたつろう/くもん出版) は、歌うようなことばで子どもたちがはじめて出会う海を描いた、季節のおでかけ絵本。ことばを覚えてたての子どもたちにおすすめです。

また、もりのこぐまたちが、バスにのってはじめての海にでかけた一日を描いた『こぐまたちのうみのいちにち』(作サクマユウコ/つむぐ舎)も、はじめて海あそびを楽しむ子どもたちにぴったりの絵本。

こぐまたちのうみのいちにち 『こぐまたちのうみのいちにち』(サクマユウコ作、つむぐ舎刊)より。

大きな海をはじめて目にした時のこぐまたちの表情や、近づいてくる波に足をひたして「なんだかくすぐったい」と思うこぐまたちは、まさに海にはじめて出会う子どもたちのよう。

海の中でからだがプカプカとうかぶ感覚や、磯遊びの楽しみ、夕日の美しさによって海や空の色が昼間と違うことなど、子どもたちが体験するワクワクをおうちの中で一緒に楽しむことができます。

さらに、『ねずみのかいすいよく』(作山下明生、絵いわむらかずお、ひさかたチャイルド)では、海あそびの楽しみとともに、海の危険性も描きながら家族の絆を感じることができる作品になっています。

八木澤さん「お出かけする前に、こういった海あそびの絵本に親しんでいると、はじめてのことに慎重な気質のお子さんも、すんなりと楽しんでいける傾向があるようです」

小さな子どもへの「危ないこと」の伝え方は?

海で遊ぶ子ども

また、海のおでかけへのハードルを上げる理由に挙げられるのが、太陽や砂浜の熱さ、波の危険性など、親が気を付けなければならないことが増えること。親が注意すべきこと、また子どもに伝えるべきことには、どのようなことがあるでしょうか。

八木澤さん「最近の夏の熱さは異常ですので、対策としては、できるだけ素肌を出さないようにしてほしいですね。熱中症や転んだ時のケガ対策として帽子、日焼けやクラゲ対策のためにラッシュガードやレギンスなどの着用を。また、岩場を歩くときには、マリンシューズがおすすめです。水分をまめに取るよう、親御さんがしっかり声かけをすることも大切です」

また小さな子どもと海に入る場合は、目を離さないことはもちろん、浮力があるライフジャケットを必ず身に着けることも大切だそう。

八木澤さん「怖がらせすぎるのもよくないですが、海ではボールが流されていく例えを出して、海には流れがあり、流されると助けに行けないこともあることも伝えていただけるといいですね」

砂浜の貝殻探しや、磯での小さな生き物を楽しむことも海遊びの魅力の一つですが、海にはクラゲの仲間やアカエイ、ハオコゼなど鋭いトゲや毒で身を守っている生き物もいます。「さわるとケガをする生き物がいることや、足場の不安定な岩場を走ったりするとケガにつながることも伝えてほしいですね」と八木澤さんは言います。

幼児期ならではのセンス・オブ・ワンダーをこの夏、海で。

それらの注意点をクリアした上で、海での一日には、子どもたちのセンス・オブ・ワンダー(自然に対する神秘さや不思議さを感じ取る感性)を刺激するものがいっぱい。何をすればいいのか難しく考えず、「大人も童心に戻って海を楽しんで」と八木澤さん。

「海あそび」でできることには、例えば、次のようなことがあります。

・砂浜できれいな色や模様、形の貝殻を探す
・砂浜で拾ったものを並べてお店やさんごっこする
・波の音の違いを聞いてみる
・波と追いかけっこする、ジャンプする
・砂浜をよく見て、足あとや穴をさがす
・穴を掘ると…水が出てきた!
・ひろい砂浜に絵を描いてみる
・岩場で石のすきまを見てみる
・海を見ながらごはんやおやつを食べる…

 いつもと違う自然を感じて、親子で心から楽しい一日を過ごせれば、それがきっと未来を生きる力になる。この夏、子どもと一緒に、センス・オブ・ワンダーを育む海の一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

八木澤潮音

  • Instagram

1992年生まれ。沖縄県の琉球大学にて海洋生物や自然環境について学び、東京都のダイビング・マリン用品メーカーで営業として働いた後、福岡移住。全国的に海離れが進んでいることや、福岡に海辺の自然体験を提供する団体が少ないことに危機感を抱き、2023年5月より親子向けの自然体験プログラムなどを開催する「海あそび舎」をはじめる。公益社団法人 日本環境教育フォーラム(JEEF)会員、一般社団法人 日本エコツーリズム協会会員など。

こぐまたちのうみのいちにち

『こぐまたちのうみのいちにち』(サクマユウコ作、つむぐ舎刊)

いつもは、森であそんでいる こぐまたち。 今日は、バスにのって おでかけです。こぐまたちの目の前に広がるのは――。

砂浜が熱いことや、カニが横歩きすること、朝と夕方の空の色が違うことなど、こぐまたちが海で体験する「はじめて」を通して、小さな子どもたちも海に出かけた気分をワクワクと味わえます。

横浜の動物園ポスターなどで人気のサクマユウコさんが描く動物たちがとにかく愛らしく、リズミカルで心地よい文章が読み聞かせにもおすすめ。
はじめての海へのおでかけや、子どもと過ごす夏が楽しくなる絵本です。