長期休みはチャンス! 自宅学習のプロが教える「子どもとのお出かけ」を学びに変えるコツ
夏休みを控え、「今年はどこへ行こうかな」と思案するご家庭も多いのではないでしょうか。子どもにとって、夏の旅行は心に残るイベントのひとつ。でも、せっかく行くなら、家族で思い出を作るだけでなく「学びのきっかけ」にしてみるのはいかがでしょうか。
「ほんの少し工夫するだけで、夏の体験が子どもの”考える力”や”表現する力”を育むきっかけにもなる」と教えてくれるのは『おうち受験コーチング』の著者で、これまで3486人の家庭学習をサポートしてきた、鈴木詩織先生。
自宅学習のプロである詩織先生に「家族旅行を学びのチャンスに変えるコツ」を聞きました。(聞き手・構成/一般社団法人Raise・宮本さおり、文・すえこ)※写真はすべてイメージです
行き先選びから親子で楽しもう
「今年の旅行はどこに行こうか?」
まずは計画段階からお子さんと一緒に考えてみてください。
でも、いきなり「どこに行きたい?」と聞かれると、子どもは戸惑ってしまうことも。そんなときは、「海で遊べるところがいいかな、それともお城がある場所にしてみる?」「この町は○○が名物らしいよ」など、お子さんがイメージしやすいように候補を2~3つに絞って提案してあげるのがおすすめです。
行き先が決まったら、次はその場所について事前に調べます。インターネットや図書館で本を見たりしながら、「この土地には何があるのかな?」と子どもと一緒に調べましょう。
さらに、旅のスケジュールも一緒に立ててみましょう。「この施設は10時開館だから、午前中に行こうか」「この場所とあの場所、どっちが近いかな?地図で調べてみよう」のように、この旅行の行程を考えることは、思考力を養う大切なトレーニングにもなります。
実は、中学受験でも、思考力を問う問題が増えてきて、実際に「行程を考える」問題も出題されています。
たとえば「電車で行くのと車で行くのと、どちらが経済的か」というような問題です。
これは、ある公立中高一貫校で出された実際の問題ですが、「どちらがコスト的に得か」という視点だけでなく、「環境にやさしいのは?」「家族の負担は?」など、複数の観点で考えて、最後に作文で自分の考えを書く、という構成でした。
低学年でもできる、やさしい体験学習
「うちの子はまだ低学年だから…」という親御さんも、心配いりません。低学年でも、「どこに行きたい?」「どう回ろうか?」と一緒に考えることで、十分に思考力が育ちます。
たとえば「美術館は朝から4時までしかやってない」「この施設はここにある」といった情報をもとに、「どういう順番で回れば、たくさん楽しめるか」を親御さんが手助けしながら一緒に考えていくことも十分学びに繋がります。
また、おじいちゃん・おばあちゃんの家が遠い家庭などでは、日本地図を見ながら「何県を通っていくか」を一緒に数えていくのも楽しくできるアイデアです。
サービスエリアに立ち寄ったときに「この県の名物は○○なんだね」と、声をかけるだけでも学びになります。
特に低学年のうちは「体験を通して覚える」ことがとても重要です。特産物や風土、気温の違いなども肌で感じられます。図鑑や教科書だけではわからない、生きた情報が体験を通して自然と入ってきます。
移動も、日帰りも、すべてが”学び”に変わる
移動中も、ちょっとした工夫で学びの時間に変えることができます。車窓から見える花の種類なども土地によって異なるでしょうし、初めて渡る大きな川に驚いたりすることも。そんな”移動そのもの”が学びになる、家族旅行にはそういう可能性がたくさんあります。
最近は、車や新幹線、飛行機の中などでも、ダウンロードしたマンガや動画を観て終わってしまう子も多いです。もちろんずっと外を見続けるのは難しいかもしれませんが、
「ちょっとお外を見てみようか」と声をかけてあげるだけでも、気づきが増えていきますが、なかなか遠出は難しいという場合もあるでしょう。
でも大丈夫。近場でも日帰りでも、ちょっとした工夫で学びの時間に変わります。
たとえば、近くにあるお城に行ってみる、などもおすすめです。図鑑などでそのお城について調べてから実際に訪れることで
「本にはこう書かれていたけど、実際はこうだった」と、体験と知識を結びつけることができます。
低学年の子どもだと、うまく言葉にするのは難しいかもしれませんが、体験や経験を積み重ねることで、本を読んだときの理解も深まっていくと思います。
「この本ではこう書いてあるけど、本当にそうなのかな?」「自分ならどう表現するかな?」といった問いかけができるようになっていきます。
行き先選びに迷ったときは、お子さんがお家でたくさん話すテーマに注目してみてください。「今、学校で川のことを勉強してるんだ」と話していたら、次の休みに川を見に行ってみる、というように子どもの興味と行き先を上手につなげることが出来ます。
学校では理科の実験も、社会科見学も、ある程度決まった流れや結論がありますが、家庭では、自由に仮説を立てて、自由に試せる。子どもにとってはそれがとてもいい経験になるのです。
帰ってきたら、まとめてみよう
旅行のあとは、撮った写真を印刷して、ノートや画用紙にまとめてみる。そんな簡単なことでも、記憶に残りやすくなりますし、整理する力も育ちます。
まとめているうちに「これって何だろう?」と疑問が出てくることもあるでしょうし、そこからさらに調べることで、学びが深まります。
塾などとはまた違った形で、子どもの好奇心や探究心を伸ばすことができます。ぜひ、家族旅行をそのきっかけにしてみてください。家族旅行の中には、実はたくさんの”学びの芽”が隠れています。
ちょっとした声かけや工夫で、「ただの旅行」が「考える」「感じる」「深める」機会に変わっていくのです。
今年の夏は、親子で一緒に「楽しむ」も「学ぶ」も両方叶う、とっておきの思い出をつくってみてはいかがでしょうか。