子どもの集中力が続かないのは朝食に原因が? 医師が指摘する「NG朝ご飯」
「朝ごはん、ちゃんと食べなさい!」そんな声がけを、気がつけば日課のようにしていませんか? どんな朝ごはんを食べるかによって、子どもの集中力や気分、さらにはお腹の調子にまで影響が出ると話す医師の梶尚志さん。そんな梶さんが子どもの元気とやる気を育てる「朝ごはんのチカラ」を教えます。
学力と朝食には密接な関係が? 朝食抜きのリスクとは?
最近、小学生や中学生でも「朝は食欲がなくて、何も食べていない」という声を聞くようになりました。特に当院では、学校に行けない、いわゆる不登校のお子さんたちから、そうした声が多く聞かれます。
夜更かしやスマホの使用による就寝時間の遅れ、さらに、夜にスナック菓子などを食べながら過ごすことで、朝はギリギリまで寝てしまい、起きてもお腹がすかない、そんな生活リズムの子ども達が増えているのです。
実は、朝ごはんを抜くと、体はエネルギー切れの状態で一日をスタートすることになります。脳にもエネルギーが十分に届かず、学校でも午前中、ずっとぼんやりしてしまいがちです。子どもたちの学力低下や集中力の欠如には、朝食の欠食が関係しているという研究報告もあります。
さらに、朝ごはんを食べないことで午前中のエネルギーが不足し、疲労感が増したり、イライラが募ったりしやすくなります。登校後に機嫌が悪かったり、すぐに「疲れた」「だるい」と言ってくる子どもには、朝ごはんの見直しが必要かもしれません。
一方、朝食をとることで内臓のスイッチが入り、代謝も高まります。これは1日の体温維持や免疫力の維持にもつながります。体が温まり、1日を元気に動けるようになるのです。
NG朝ごはん、やっていませんか?
バタバタの朝は、「とりあえず何か口に入れればいい」と、朝ごはんをおざなりにしていませんか?実は、朝ごはんの「中身」が、その日のパフォーマンスや気分に、とても重要なのです。
やりがちなNG朝ごはん
・菓子パン1つと牛乳
・甘いシリアルにジュース
・コンビニのおにぎりだけ
・エネルギードリンクやゼリー飲料だけ
これらは、糖質に偏った典型的な食事の例です。糖質を単体でとると、血糖値が急上昇し、その後急降下することで強い眠気や集中力の低下を引き起こします。結果として午前中に頭が働かず、授業に集中できなかったり、イライラしやすくなったりする原因にもなります。
また、菓子パンや清涼飲料水には「良くない脂質」や「添加物」も多く含まれており、体内の炎症を引き起こす原因となることも。成長期の子どもにとって、体に不要なものを減らすことも大切な食育の一環です。
さらに、バランスを考えずに糖質だけを摂っていると、空腹になるタイミングが早まり、その結果、次の食事の食べすぎにもつながります。これが、将来の肥満リスクにも直結するので、朝からしっかり栄養を意識することが大切です。
朝ごはんのチカラ、侮るなかれ!
朝ごはんには、想像以上の「力」があります。正しい朝食をとることで、子どもの生活リズムや体調、そして心の安定にも良い影響があることがわかっています。
朝食がもたらす3つの代表的な効果をご紹介します。
(1)脳にエネルギーが届いて、学びの効率がアップ!
脳は、寝ている間にもエネルギーを消費しており、朝にはガス欠状態です。そこで起床後に「ブドウ糖」をしっかり補給することで、脳の働きが活性化します。
ただし、吸収の早い砂糖ではなく、ごはんや全粒粉パンといった複合炭水化物を選ぶのがポイントです。そこに卵や納豆、豆腐、魚、チーズといった「良質なたんぱく質」を加えることで、安定したエネルギーの供給が可能になります。
集中力・記憶力のアップだけでなく、授業や勉強への意欲向上にもつながるため、朝食はまさに「学びのための燃料」と言えるでしょう。
(2)血糖値が安定して、気持ちも安定
大人でも血糖値が急激に上下すると、心も不安定になります。これは子どもも同様です。特に空腹状態で学校に行くと、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、落ち着きがなくなったりするケースがよく見られます。
朝食に「たんぱく質」をとることで、血糖値の変動を緩やかにし、心の安定を助けるセロトニンの材料も補うことができます。結果として、教室で落ち着いて話を聞けるようになったり、友達とのトラブルが減ったりと、周囲との関係性も良好になります。自己肯定感や感情のコントロールにも、朝食の質が大きく関わっているのです。
(3)腸が動き出して、「便秘・冷え」も解消へ
朝食をとることで、胃から腸への刺激が伝わり、排便リズムが整いやすくなります。子どもの便秘が慢性化している場合、まずは朝食を見直してみましょう。
発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)や、水溶性食物繊維(海藻、果物など)を意識的に取り入れると、腸内環境が改善されます。腸が整うことで免疫力がアップするのはもちろん、「腸脳相関」といって腸内環境がメンタルにも良い影響を与えることがわかっています。朝ごはんを食べることは、体と心、両方のメンテナンスにつながっているのです。
1日が変わる!「元気スイッチ」が入る朝ごはん
朝は時間との戦い。それでも、ちょっとの工夫と準備で、バランスの良い朝食は実現できます。「たんぱく質2品+野菜1品+炭水化物1品」の基本を意識して、冷蔵庫のストックや常備野菜を活用しましょう。次に簡単な朝ごはんの例をいくつか紹介します。
【和食スタイル】
・ごはん+ふりかけ
・焼き鮭 or 卵焼き
・ほうれん草のおひたし
・豆腐とわかめのみそ汁
・みかんやりんごなど果物
【洋食スタイル】
・全粒粉トースト+ハムやチーズ
・スクランブルエッグ+サラダ
・ヨーグルト+グラノーラ+バナナ
・スープ(ミネストローネなど)
【タイパスタイル】時間がない朝は「組み合わせ」で乗り切る!
・おにぎり+ゆで卵+野菜ジュース
・シリアル+豆乳+ナッツ+果物
・冷凍うどん+卵と野菜で簡単に「朝うどん」
前夜におにぎりを握っておいたり、ゆで卵を作っておくことや、具だくさんのスープを作り置きするのも時短になります。冷凍野菜やレトルト食品をうまく活用して、無理なく「やる気朝ごはん」を続けましょう。ただし、加工食品には添加物が含まれていることに注意、レトルト食品や加工食品は、急な時にという意識も大切です。
「食べること」が、子どもの心の栄養に
朝ごはんを一緒に食べる時間は、親子の心をつなぐ貴重な時間です。テレビを消して、ほんの5分だけでも「今日もがんばろうね」と声をかけるだけで、子どもは安心して一日をスタートすることができます。栄養を届けることだけでなく、「自分は家族に大切に思われている」という実感が、子どもの心を育ててくれるのです。
子育ては、毎日の積み重ねです。忙しい日々の中でも、朝ごはんという時間を「親子関係を育む栄養時間」として活用してみませんか? 朝ごはんには、体をつくり、心を育て、未来を支える力があります。