この字がバツ? 先生で変わる「漢字の採点基準」と親はどう向き合うべき?

「漢字の宿題で、”とめ”や”はね”ができていないと、バツをつけられてしまう…」「そこまで厳しくする必要があるの…?」小学生保護者の間でよく聞かれる声です。
新しいクラスになり「去年は大丈夫だったのに、今年から急に厳しくなった」と、戸惑う家庭もあります。あまりに厳しいチェックに、漢字の勉強を嫌がる子も出てきています。そんな時、親はどのようなサポートをしたらいいのか。
『おうち受験コーチング』著者で、これまで3486人の家庭学習をサポートしてきた、
自宅学習のプロ・鈴木詩織先生に解決策を聞きました。(聞き手・構成/一般社団法人Raise・宮本さおり、文・すえこ)※写真はすべてイメージです
止め、はね、はらい…先生により変わる採点基準

漢字の宿題で、止めやはね、払いのわずかな違いにも、バツがつく。そんな細かい採点に、子どもがやる気をなくしてしまうこともあります。では、そうした採点基準は、どこまで共通しているのでしょうか。実は、文部科学省が細かく決めているわけではありません。
特に、公立小学校では、学校全体として統一されたルールはなく、先生ごとに判断が異なるのが実情です。つまり、「去年はマルだったのに、今年はバツ」ということが、普通に起こりえるのです。
前の先生が優しかった分、今年の先生が厳しいと、子どもにとってはショックです。
子どもは『学校には一定のルールがある』と信じているので、先生によって違うということが、なかなか理解できません。納得できないまま勉強を続けるのは、お子さんにとってはしんどい状況です。だからこそ、子どもが納得できる形で、親が伴走してあげることが大事になります。
それには保護者の方が「なぜこの採点なのか」を知ることが、大切なため、先生に直接相談してみるのも良い方法だと思います。
共働きの家庭が増えて、今では出欠確認も電子化されているため、なかなか担任の先生に直接話す機会が無いと感じている保護者の方もいるようですが、なかなか◯がつかず、漢字練習を嫌がるようになったなど、実際に困りごとがあるのであれば、直接、電話をするのもひとつの方法です。
「漢字のことで、少し相談したいのですがお電話いただけますか?」と、具体的に相談したい意図を明確にした簡単な手紙をお渡ししましょう。先生との電話では
「宿題に毎回30分以上かかってしまう」など、具体的に困っている状況をお伝えし「子どもが先生の考えがよくわかってない」ことを知ってもらいましょう。
そのうえで「どうしてこの基準で指導しているのか」先生の意図を、丁寧に聞いてみましょう。
もしかしたら、先生は採点の理由をちゃんと伝えていたのに、お子さんが聞き逃してしまった、ということもあるかもしれません。その場合も、
「今年の先生はこういう理由で採点しているんだよ」と、親御さんが橋渡ししてあげることで、子どもも少しずつ納得できるようになります。
たとえば、「ここを直したら、お母さんが花まるをつけてあげるね!」。そんなふうに、家庭でも前向きな声かけをしてあげると、やる気はグッと高まります。
先生は、しっかり学ばせたいからこそ厳しくしている。でも、おうちでは少しやさしく、褒めて励ます。そのバランスが、子どもにとっては大きな支えになるのです。
中学受験 漢字の採点で見える学校の方針

中学受験の場合、漢字の採点基準から学校の教育方針が見えてくることもあります。採点基準は学校によって本当に違います。ある男子校の先生は、こんな風に言われていました。
「本当は”とめ”や”はね”までしっかりチェックしたい。でも、そこまで見てしまうと、ほとんどの子がバツになってしまうんです」ということでした。
また、「男子は、細かい部分に最後まで注意を払うというのが、この時期はまだちょっと難しい」と話す先生も。
そんな発達段階の違いを配慮して、採点基準をゆるやかにしている学校があるのです。
もちろん、これは性別だけでなく、学校の方針による違いもあります。男子校であっても、「細部にまで気を配れる子に育てたい」という教育方針の学校ではあえて厳しく採点するという判断をすることもあります。
女子校でも「内容がしっかり理解できていれば、多少の字の乱れは気にしません」という考えで、字の形にはそこまで厳しくない学校もあります。
ですから、もし私立校や中学受験を検討しているのであれば「その学校が、どの視点で子どもを見ているか」「丁寧さをどのくらい重視しているのか」という部分にも、目を向けると学校選びの参考にできることがあるのです。
合同説明会や学校説明会の際に個別ブースに寄り、そこで相談するのも良いですし、場合によっては、電話で聞いてみるのもいいと思います。また、この違いは小学校受験でも言えることです。
公立校では、文字の書き方まで学校として明確に決めているケースは少なく、担任の先生ごとに差が出やすいというのが実情です。それに対して私立の学校では、「文字には心が映る」といった考え方を掲げ、全体として字の丁寧さを重視している学校もあります。
逆に、「伸びやかに育てたい」という学校では、文字の形にはあまりこだわらず、のびのびとした表現を大切にしているところもあります。子どもにとって無理のない環境を選ぶためには、学校ごとの価値観や評価基準に、保護者として関心をもっておくことが大切です。
4年生までの漢字が土台になる

こうして見ていくと、公立の学校では、担任の先生によって採点の厳しさに違いが出やすく、私立の学校では、学校全体としての方針に沿った指導がされることが多いようです。
その違いを知ったうえで、保護者としては学校ともやり取りをしながら、お子さんが与えられた課題にどのように取り組むか、家庭の中でもできるサポートを考えていくことが大切になってきます。
特に、4年生までに学ぶ漢字は、国語の学びの中でも基本となるものが多く、その後に登場する熟語や文章表現のベースにもなっていきます。5年生以降に習う漢字は、4年生までに学んだ漢字の組み合わせや応用が中心になります。
ですので、4年生までの間にいかに前向きに漢字学習に取り組むかがその後の学びにも大きく影響していきます。だからこそ、子どものモチベーションをそがないように気を配ることがとても大切と言えるでしょう。家庭でも声をかけるなど、気持ちを支えてあげられたらいいと思います。






























