防災セットで安心は大違い? 被災後の72時間を生き抜く備えとは

片山誠
2026.08.31 08:29 2026.09.09 08:00
『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
イラスト:しまりすゆきち
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防災では、発災からの「72時間」を、救助を待ちながら命を守るための重要な時間として考えます。

大地震のあとは、救助や支援がすぐに届かないことがあります。しかし、市販の防災セットを用意しても、中身が家族にとって本当に必要なものとは限りません。

避難所にあるもの、72時間を生き抜くために必要なもの、普段から使っているものを見極めながら、わが家に必要な防災バッグを考えてみましょう。

※本稿は、片山誠(著)『こども72時間サバイバル防災』(ライツ社)より一部抜粋、編集したものです。

防災は「おままごと」ではない

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

地震が起こるたびに、よく売れる「防災セット」がある。その中身をキミ見たことがあるだろうか。買って安心、それで終わりになっていないだろうか。
よくある防災セットには、次のようなものが入っている。

ラジオ、ペットボトルの水、かんづめ、パン、非常用トイレ、アルミのシート、水のいらないシャンプー、レジャーシート、エアマット、エアまくら、アイマスク、耳せん、スリッパ、歯ブラシ、マスク、消毒ジェル、レインコート、カイロ、三角巾、電池、懐中電灯、ガムテープ、マルチカッター、給水ぶくろ、防災カード、救急セットなど

実はこの中には、キミが72時間を生きのびるために、役に立つものと役に立たないものがある。
キミにとって全然リアルじゃないものは、どれだろうか。
使わないものだらけの防災セットは、おままごとと同じだ。
それでは「防災ごっこ」しかできない。

だから中身は自分で決める

防災セットの中身は、とにかく一度使ってみてほしい。使ってみれば、本当に必要かどうか、すぐにわかるからだ。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
たとえば「スリッパ」。
セットに入っているのはだいたい、ホテルにあるようなペラペラのスリッパ。本当に、それでだいじょうぶだろうか。寒い日に、避難所の体育館で使うことをイメージしてみよう。きっと、足のうらはキンキンに冷たくなる。
それなら、外でも中でも使えるクロックスタイプのサンダルのほうが役に立つ。冬は足の冷えをふせげるし、夏はムレにくい。外でもそのまま歩けるし、雨の日にも使える。
このように、「どんな場面で使うか」を考えると、本当に必要なものが見えてくる。

セットを買うのは、たしかに楽だ。でも、それは、キミにぴったりのセットではない。だから、だれかが決めたものを買うのではなく、自分で中身を決めることが大切だ。
防災バッグの中身をえらぶとき、大事なポイントは3つ。
避難所にあるものはいらない
72時間生きのびるための最低限
ふだんから使っているもの
これらのことを考えながら、おうちの人と「これは使う?」「これはいらない?」と、話しながら選んでいこう。

避難所にあるものはいらない

1つ目。たとえば、すぐに思いつくラジオや消毒ジェルといったモノは、たいていの避難所に用意されている。これらは、みんなで使うためのもの(団体装備)だ。だから、自分でどうしても持っておきたい理由がなければ、キミのバッグに入れる必要はないかもしれない。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

そもそも、避難所にはなにがあるのか、キミは知っているだろうか。避難所には「防災倉庫」というものがあって、中にはいろんなものが入っている。下記は、防災倉庫に入っていることが多いアイテムだ。


燃料・照明:発電機、ガソリン、灯油ポンプ、投光器、延長コード、電池、ポータブル蓄電池など
生活用品:トイレットペーパー、ティッシュ、タオル、紙オムツ、生理用品、ゴミぶくろ、消毒ジェル、マスク、救急セット、非常用トイレ、カセットコンロなど
食料:飲料水、アルファ化米、かんづめパンなど
その他:ラジオ、メガホン、テント、毛布、ブルーシート、ロープなど

お願いすると中を見せてもらえるところもあるし、市町村のウェブサイトで中身を公開していることもある。一度、自分のまちの防災倉庫を調べてみよう。すると、「これはいらないな」「これは自分で用意したほうがいいな」そんなことが見えてくるはずだ。

72時間生きのびるための最低限

2つ目は、72時間を生きのびるために最低限いるもの、という考えかただ。

たとえば「水のいらないシャンプー」。ふだん使っていないものを災害のときに使うだろうか。そこまでして「頭をあらわなきゃ」と思うだろうか。たとえば「三角巾」。血を止めたり、折れたうでを固定したりするときに使うものだが、タオルやガーゼがあれば十分なのではないか。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
では反対に、ぜったいに必要なもの。それは「水」だ。よく言われる「1日2リットル」は、健康的に過ごすための目安。72時間生きのびるためだけなら、500ミリリットルを2〜3本でも、なんとかなる。むしろ、それ以上は重くて持ち運べなくなってしまう。リュックをせおってみて、歩けるかどうかたしかめてみてほしい。

ふだんから使っているもの

3つ目は、「ふだんから使っているものを入れる」ということ。言いかえると、「なくなったらこまるもの」を入れておこう。
朝起きてから、夜ねむるまで。タイムスケジュールにそって、自分の行動を思い浮かべながら、ふだん使っているアイテムを考えてみるといい。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
メガネやコンタクトレンズを使っている人は、予備のメガネ、アレルギーや持病などがある人はいつもの薬を入れよう。
人によって、必要なものはちがう。家族の中でも、ひとりひとりちがうはずだ。防災バッグは「みんなと同じ」である必要はない。

片山誠

学生時代に日本各地を野宿しながら旅することにハマる。一般企業に就職し8年勤めたのち、アウトドアで自由気ままな生活をしたいと思い、2006年にアウトドアツアーを企画運営する株式会社ココロを創業。その後、東日本大震災のボランティア活動をきっかけにさまざまな社会課題と向き合い、アウトドアを通じて、子どもたちが自分で考えて行動し生き抜く力を身につけることに貢献したいと思い、仲間と一緒に72時間サバイバルプロジェクトを立ち上げる。

こども72時間サバイバル防災

片山 誠 (著)『こども72時間サバイバル防災』(ライツ社)

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