「集中できない」「起伏が激しい」のは脳のせい? 実は身体にも目を向けたほうがいい理由
「集中できない」「ぼーっとしがち」「すぐ泣いたり怒ったりする」「落ち着きがない」など、子どもの様子にどう対応したらいいのか迷ってしまうことはありませんか?
そんなとき、脳や発達特性だけに目を向けるのではなく、筋肉や骨、呼吸、血液、腸、自律神経など、身体全体の状態にも目を向けてみましょう。身体のさまざまなシステムは互いに影響し合っていて、運動はそのよい循環を後押ししてくれます。
身体全体に目を向けることで、子どもの様子を「できないこと」だけで捉えず、今どんな状態なのかを客観的に見やすくなります。親自身も焦らず、その子に合った関わり方を考えるための視点を紹介します。
※本稿は、池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋、編集したものです。
身体のシステムが整うと、より元気にすごしやすくなる
私たちの身体を支えているのは脳や神経だけではありません。筋肉や骨、呼吸、血液、免疫、リンパ、自律神経、内臓の動きなど、多くのシステムが連携しながら、成長や健康を支えてくれています。
これらは常に影響し合い、良い連鎖を生み出します。そして運動は、脳だけでなく全身のシステムに働きかけ、この連鎖を後押ししてくれるのです。
たとえば、走る運動で心肺機能が高まります。そうなると、身体のエネルギー源である酸素が全身に行き届きやすくなり、脳や筋肉なども働きやすくなるのです。
体幹運動で足腰が安定すれば姿勢が整い、内臓も正しい位置に収まって働きやすくなります。すると食事からの栄養吸収もスムーズになり、そのエネルギーが脳や身体に巡りやすくなるでしょう。それが、活力や意欲の高まりにもつながっていきます。
このように一つの変化がほかの部分に連鎖し、それぞれの働きが整うことで、最終的には脳の発育や働きやすさにもつながります。脳の状態が整うと、さらにほかのシステムも良い状態を保ちやすくなり、全身で支え合う循環が生まれやすくなるのです。
身体全体の環境が整って底上げされると、気温や場所の違いといった外的な変化にも左右されにくくなります。また、自分の力をより発揮しやすくなるのです。大人も、体調が良い日のほうが仕事がはかどったり、スポーツで力を出しやすいですよね。
もちろん、誰にでも体調や気持ちの波はあります。
ただ、身体のシステムが整っているほうが、体調を崩しても回復が早く、落ち込んでも立ち直りやすいでしょう。
これは、子どもにとっても同じです。「全身で支え合う循環」が、その子自身の成長を支えてくれる大切な力となります。
身体は離れた場所でもつながっている

身体のつながりは、近くの部分だけでなく、離れた部分でも影響し合っています。
たとえば、脳とおなか(腸)は、神経でつながってリンクしています(これを「脳腸相関」といいます)。おなかの調子が悪いと、気分が落ち込んだり、不安になりやすくなったりするでしょう。反対に、楽しいことや身体を動かすことで気持ちがスッキリすると、おなかまで軽く感じることもありますよね。
つまり、発達障害やグレーゾーンの特性は、脳だけが要因とは言いきれません。ほかのシステムの状態が脳に影響して、気になる言動が強く出てしまう場合もあります。
子どもはシステム全体が発達途中で、大人より環境の影響も受けやすいものです。その分、気になる言動として現れやすいともいえるでしょう。だからこそ、全身のシステムがバランスよく機能してくれる状態へのサポートが、健全な成長の基盤となります。
身体はすべてつながっています。身体からの変化が、気になる言動の改善を引き出してくれるのです。
子どもとの関わりに余裕が生まれる客観的な視点
「どう声をかけたらいいのか」
「何から始めればいいのか」
子どもの気になる言動に向き合うなかで、そんなふうに悩むことは少なくありませんよね。
発達障害やグレーゾーンについては、診断や特性を踏まえた接し方や環境設定の工夫など、すでに多くの方法が紹介されています。それもとても大切なアプローチです。
でも、そこに加えてもう一歩奥にある「身体の状態」に目を向けてみると、その子の言動をより客観的に捉えやすくなります。まずは子どもの状態を客観的に見られるだけでも、大人自身が余裕をもって関わりやすくなれるのです。
池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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