早くお手伝いを始めた子ほど将来成功する? ミネソタ大学の研究が示した家事の力
「お手伝いをしたら、おこづかいを渡すのはよくないのでは?」と思ったことはありませんか。
実は、おこづかいをごほうびではなく、「家庭での約束を守り、家族の一員として役割を果たした証」として渡すことで、責任感や自立心などの非認知能力を育むきっかけになります。
“何も売らないファイナンシャルプランナー” にぐ先生の著書『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』より、今日から家庭で実践できる、おこづかい制度の考え方をご紹介します。
※本稿は、にぐ先生(谷口達也)著『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』(飛鳥新社)より一部抜粋、編集したものです。
「家事の手伝い」は親からの最高のプレゼント
この制度を始めるときにしておきたい大切な約束があります。それは、「家庭のルールを守ることが、おこづかいをもらうための条件」という約束です。
社会人になれば、給料は「仕事を達成したことに対する報酬」となりますよね。
ただ漫然と過ごしていれば、毎月給料が振り込まれる、というわけではありません (そういった企業もあるかもしれませんが……)。そこで、子どものうちから、「家庭での約束事をきちんと守った証」として、おこづかいを渡すように心がけてみてください。
約束のうちで最も大切なのが、子ども自身がおこづかい帳の記入をすることです。
低学年のうちはうまく字が書けなかったり、言葉が出てこないこともあるかもしれませんが、大事な約束として子どもに理解してもらいましょう。
次に大切なことが、「家のお手伝い」です。これは、「食器洗いを手伝ったら1回 100円」といった、臨時収入の約束ではありません。
会社で働いて義務を果たすことが給料をもらうための約束だとしたら、おこづかいは「家庭の運営に貢献した」ことに対する報酬です。
子どもにも、家庭のなかで「お手伝い」の役割を与えて、それが守られたらおこづかいを渡す、というのが僕の大切にしているルールです。
親子で話し合って、子どもが担当する家事を決めてください。
とはいえ、子どもがまだ小さいと、おこづかいと引き換えに家事の手伝いをさせることに、疑問を持つ方もいるかもしれません。
でも、どんなにささいなことでもいいんです。
それに、「子どもが小さいうちから家事の手伝いを始めるほど、大人になったときに成功する可能性が高い」と聞いたらどうでしょうか?
早く始めるほど、お手伝いから非認知能力が身につく
たとえば、ミネソタ大学の家族教育名誉准教授であるマーティ・ロスマン氏の研究を取り上げた論文には、幼い頃から子どもを家事に参加させるほうが、大人になってからの人生によい影響を与えることが示されています(①)。
研究では、対象の子供を3~4歳、9~10歳、15~16歳のタイミングで「家事に参加しているか」を追跡調査しました。
そして、20代半ばになったときに、最終学歴や仕事の成功、IQ、家族や友人と の関係などをインタビューしたところ、早い年齢から家事に関わっていた子どものほうが、良好な結果を得られたのです。
逆に、15~16歳になってから家事の手伝いを始めると、裏目に出て成功しにくいことも明らかになりました。
この研究では、家事手伝いから学べることとして、責任感、共感力、他者貢献、 自己効力感などの非認知能力があげられています。
そういう意味では、子どもの頃から「おこづかいをもらうための約束」として始めたお手伝いは、親から子どもへの最高のプレゼントといえるかもしれません。
でも、親が「使ったおもちゃは自分で片づけなさい」といっても、片づけない子どもはたくさんいますよね。
子どもが面倒くさいと思うような家事を無理に手伝わせると、おこづかいは欲しいとしても、さぼりがちで長くは続かないでしょう。
そういう場合は簡単でもいいので、子どもが毎日できることからお手伝いをさせてみてください。
この「毎日」が大切なポイントです。
毎日ちゃんと自分の担当をこなす習慣から、責任感や自己効力感といった非認知能力が鍛えられていくのです。
そして、家事の分担を決めることは、親があえて口に出さなくても「家族の一員である」と子どもに認識させることにもなります。
そのためには、家事の分担は子どもだけではなく、親も担当を持つことが大切になります。家事が苦手なお父さんもお母さんも、まず親が責任を持って担当した家事を遂行する姿を子どもに見せてください。
家事の分担は、できるだけ担当を明確に分けるほうが、子どもにもわかりやすくておすすめです。
家族みんなが協力して一家を運営していることが伝わり、その対価としておこづかいが払われていると、子ども自身が「何となく」でも認識することを期待しています。
それが、自立心や家族への思いやりなど、非認知能力をいっそう広げることになると思うからです。
家事といっても、何を手伝わせればいいの?
実際に子どもに担当してもらう家事は、年齢や日常生活のスケジュールなどに合わせて話し合い、おこづかい帳に書いておきましょう。その後、子どもの年齢などに応じて、内容を変更してもOKです。
担当する家事の労力や数が効果に影響するわけではありませんから、年齢がまだ低かったり、塾や習い事などが忙しかったりする子どもは、簡単なことをひとつだけでも構いません。
家事の大変さや数をこなすことよりも、大事なのは子どもの今の年齢で「毎日できる、完遂できること」を担当してもらうことです。
小学生の場合、たとえば次のような簡単な家事でもOKです。
●カーテンを夜閉める、朝開ける
●玄関の靴をそろえる
●お皿/カトラリーを並べる
●洗った食器を拭く
●鉢植えの植物に水をやる
●まとまったごみ袋をごみ置き場に運ぶ
●ペットにえさをやる
なるべく「子どもが毎日できること」を親子で考えてみてくださいね。カーテンの開け閉めだけでも意外と手間がかかりますから、面倒くさくない家事なんてないかもしれませんが、子どもの負担を考えてちょうどいい作業を見つけてあげてください。
子どもが家事を続けられるかどうかは、親のサポートや工夫にかかっています。子どものためにぜひ頑張っていきましょう。
【参考文献】
① Rossmann, Marty. (2002). “Involving Children in Household Tasks: Is It Worth the Effort?” University of Minnesota.
にぐ先生 (谷口達也)著『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』(飛鳥新社)
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