クマに出遭ってしまったら?「万が一」に命を守るための正しい対処法

ハイキングやキャンプで気になるのが、クマとの遭遇です。もし目の前にクマが現れたら、どうすればいいのでしょうか? 「一刻も早くその場を去りたい」と思うかもしれませんが、実はクマから逃げるときに、走るのはNG。クマとの距離によっても、とるべき行動は変わります。
子どもにもしっかり伝えておきたい、クマとの距離に応じた対処法について、山中正実先生の解説をご紹介します。
※本稿は、山﨑晃司(編著)『クマに出遭ってしまったら?』(PHP研究所)より一部抜粋、編集したものです。
クマとの距離が離れているとき
クマとの距離が100m前後かそれ以上に離れている場合、クマが気づいていないようなら、ゆっくり静かにその場を離れるべきでしょう。人の存在に気づかないまま、クマが自分の方向に近づいてきているようなら、ゆっくり大きく腕を振るなどしてこちらに人がいることを知らせます。それでも気づかないようなら、静かに優しく声をかけてみましょう。人がいることに気がつけば、ほとんどの場合、クマのほうから逃げていくはずです。
【POINT】
●遠くにクマを見つけたら、ゆっくり静かにその場を離れる。
● クマが近づいてきていたら、大きく腕を振るなどして刺激しないように人の存在を知らせる。
クマとの距離が近いとき
クマとの距離が50m前後かそれ以内と迫っているとき、まずは落ち着いてください。決して大きな声を出してはいけません。急に動いたりしてもいけません。クマを驚かせたり興奮させたりしないように細心の注意をはらいましょう。その場に複数の人がいるときは、バラバラに逃げたりせず必ず集まりましょう。クマのようすをよく見ながらゆっくりとあとずさりして距離をあけます。
絶対にしてはならないのは、走って逃げることです。走って逃げると、クマの追跡行動を誘発し追いかけてくる危険性が高くなります。
クマが立ち上がるのは、攻撃態勢になったわけではありません。高い視点からきょろきょろとあたりを見回したり、鼻を上げてにおいを嗅いで、何者がいるのかと確かめようとしています。ゆっくりと大きく腕を振り、静かに声をかけ、人がいることを知らせましょう。人だと気づけば普通はクマのほうから逃げていきます。
【POINT】
●大きな声を出したり、急に動いたり、走って逃げたりしてはいけない。
●クマのようすを見ながらゆっくりあとずさりして距離をとる。
●複数人いるときは必ずまとまって行動する。
【執筆者】
山中正実(やまなか・まさみ)
北海道大学大学院獣医学研究院野生動物学教室 客員研究員
1959年生まれ。山口県周南市出身。北海道大学でヒグマ研究グループに所属し、知床をはじめ北海道内各地でヒグマや海獣類の生態調査を行なう。1987年以来、知床の自然環境の保全管理にあたる知床財団の設立から関わり、統括研究員・事務局長として同財団の中枢を担った。また、知床世界自然遺産の登録にいたる活動を主導した。2012年から2018年には、知床博物館館長としても勤務。博士(人間科学)。































