「助けて!」と叫ぶだけでは届かない? 地震で閉じ込められたときのSOS

片山誠
2026.08.31 08:27 2026.09.03 08:00
『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
イラスト:しまりすゆきち
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地震でドアがゆがみ、子どもが家やトイレ、エレベーターなどに閉じ込められてしまうことがあります。そんなとき、「助けて!」と叫ぶだけでは、周囲に声が届かないことも。

ホイッスルや防犯ブザー、モノをたたく音、光など、声以外にも居場所を知らせる方法があります。

もしものときに子どもが落ち着いて助けを求められるよう、親が知っておきたいSOSの出し方を紹介します。

※本稿は、片山誠(著)『こども72時間サバイバル防災』(ライツ社)より一部抜粋、編集したものです。

さけぶだけでは助からない

家にいるときに起こりやすいピンチがある。それは、ドアが開かなくなること。地震のせいでドアがゆがんで、おしても引いても動かなくなるのだ。
玄関だけでなく、キミがトイレやおふろにいるときでも、同じことが起こるかもしれない。
ドアが開かない。外に出られない…家にとじこめられてしまったと気づいたとき、どうすればいいだろう。
まず、まどから出られるなら、それも1つの方法だ。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より
まども開かないときは、イスなどでガラスをわることも考えていい。
だいじょうぶ。おこられることはない。おうちの人にとっては、まどよりもキミの命が大事なんだから。

次に思いつくのは、外の人に助けを求めることだ。「助けてください!」と大声でさけぶ。…でも、いざというとき、キミの声はどこまでとどくのだろうか。
ためしに、校庭で友だちと名前をよび合ってみよう。どれくらいの遠さまで聞こえるだろうか。次に、建物のかげに行って、すがたが見えない場所からよび合ってみてほしい。急に聞こえづらくなるはずだ。
「ここにいるよ!」とさけんでも、伝わらない。声だけでキミのいる場所を伝えるのは、とてもむずかしいのだ。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

イメージしてみてほしい。地震のあと、みんながパニックになっているときに、建物の中やガレキの下から助けを求めても、その声はとどくだろうか?
それに、大声を出し続けるのはとても体力を使う。ふだんあまり大声を出さない人は、すぐにのどがいたくなって、声が出なくなってしまう。
では、どうすればいいのか。
答えは、声とは別の方法で音を出すことだ。どんな方法があるか、見ていこう。

「声」以外でSOSを出す方法

ホイッスル(笛)

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

いちばん便利なのは、ホイッスルだ。ピーッと、するどい音が遠くまでひびく。それに、声とちがって何度続けてもつかれにくい。
ただし、聞こえにくいものもあるので、買ったあとにはかならず試しておくこと。

防犯ブザー

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

とはいえ、ホイッスルを用意していない家がほとんどだろう。そんなときは、ランドセルにつけているブザーが代わりになる。使いかたがわかっているので安心だ。

モノをたたく

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

どちらもないときは、とにかく固いものを一定のリズムでたたこう。たとえば、足元に転がってきたフライパンで、ドアやかべをたたく。
人はリズム感のある音に気づきやすい。コン、コン、コン…と同じリズムで続けるといい。

手をたたく

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

運が悪く、近くになにもなかったら、拍手でもいい。不自然な音が聞こえると、人は注意を向けてくれる。
災害のときにパチ! パチ! と聞こえるのはめずらしいので、気づいてもらえるかもしれない。

うら声「フォッ!」

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

手も足も動かせないときの、最後の方法。「フォッ!」という高いうら声は、ふつうの声より遠くまでとどく。コツは、犬の遠ぼえをマネするイメージだ。災害救助犬も気づくかもしれない。

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

音と同時に出したいのは「目」で見えるサイン…つまり、光だ。昼間でも意外と見える。かんたんなのは、スマホやタブレットのライト。鏡や食器を太陽の光に照らすのもいい。「なんか光ったぞ!」と、見つけてもらうことができる。

レスキュー隊は、すぐには来てくれない。だからまずは、近所の人に気づいてもらうことが大切だ。その場では助けてもらえなかったとしても、キミがいることをレスキュー隊に伝えてもらえる。

もしもエレベーターの中にいたら

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

地震が起こると、エレベーターのドアが開かなくなってとじこめられてしまうことがある。だから、地震を感じたらすぐにボタンを全部おそう。
そして、ラッキーなことにドアが開いたら、そこが何階でもかまわない。外に出よう。開かなかったときは、非常ボタンをおして助けを待つしかない。
避難するときにもエレベーターは使わないこと。地震のあとには「余震」が何度もあるからだ。東日本大震災や能登半島地震では、数分ごとに強いゆれがおそった。安心することなく、命を守る行動を続けてほしい。

もしも習いごと先にいたら

『こども72時間サバイバル防災』ライツ社より

大地震が起こったら、電車やバスは止まってしまう。そんなときは、周りの大人をたよろう。たとえば、駅員さんの話を聞く。いったん習いごとの場所まで行く(もどる)。
もし、たよれる人がいなかったら、「子どもを連れて歩いている大人」に勇気を出して、こう言ってみよう。「こわいので、いっしょにいてもいいですか?」子どもといっしょにいる大人なら、キミを助けてくれるだろう。

片山誠

学生時代に日本各地を野宿しながら旅することにハマる。一般企業に就職し8年勤めたのち、アウトドアで自由気ままな生活をしたいと思い、2006年にアウトドアツアーを企画運営する株式会社ココロを創業。その後、東日本大震災のボランティア活動をきっかけにさまざまな社会課題と向き合い、アウトドアを通じて、子どもたちが自分で考えて行動し生き抜く力を身につけることに貢献したいと思い、仲間と一緒に72時間サバイバルプロジェクトを立ち上げる。

こども72時間サバイバル防災

片山 誠 (著)『こども72時間サバイバル防災』(ライツ社)

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