コミュニケーションが苦手なのはなぜ? 実は「身体感覚」が人と関わる力につながる
「人との距離感がつかみにくい」「話すタイミングが分からない」「表情や反応が少ない」など、子どものコミュニケーションに悩むことはありませんか?
人と関わるときには、自分の姿勢や力の入り方、呼吸などを感じ取る「身体感覚」も関係しています。自分の身体の状態を感じられるようになると、相手との距離や話すタイミング、表情などを調整しやすくなり、人との関わりを広げる土台になります。
さらに、安心感や自信が育つことで、「やってみよう」「関わってみよう」という気持ちも引き出されます。
※本稿は、池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋、編集したものです。
身体感覚が社会性の土台になる
お子さんとの「コミュニケーション」において、気になったことはありませんか? 次のような様子に、「どう伝えよう」と悩んだ経験はないでしょうか。
● 興味がないことに極端に反応が薄い
● 表情や言葉の意図が伝わりにくい
● 目を合わせず表情が乏しい
● 集団行動が苦手で、積極的に人との関わりを持たない
● 話し方が単調で、同じ言葉を何回も言う
こうした社会性は、日々の人との関わりや新しい経験の積み重ねで「その子なりのペース」で少しずつ育っていきます。
身近な人の言葉のまねや、学校生活の経験のなかで、おうちでは見られない表情や反応が生まれることもありますよね。
ただ、その関わりや経験を広げる土台として、「自分の身体をどう感じているか」=「身体感覚の成長」があります。
「今どんな姿勢か」「どこに力が入っているか」「呼吸が速くなっているか」など、自分の今の身体を感じられると、話すときの姿勢や表情、相手との距離感が自然に調整できるようになるのです。これが社会性を広げる力にもなります。
反対に、後述の身体の状態によって、この身体感覚がぼんやりしていると、「距離感や話すタイミングがつかみにくい」「表情や反応が薄くなる」といった“ズレ”が生じやすくなるでしょう。
子ども自身も“ズレ”を感じると、関わること自体がストレスになってしまいます。この状態が続くことで、つながりや経験も広がりにくくなってしまうのです。
安心感と自信が「やってみよう」を引き出す
また、関わりや新しい経験を積み重ねるには、安心感や自信も大切です。
大人でも、初めての場所では緊張して身体がこわばり、うまく話せなくなることがありますよね。でも、安心できる相手や、適度にリラックスできる状態なら、自分らしい表情や声を出すことができます。そして、自信があれば、人前でも意見を言えたり、自分から話しかけてみようとも思えるでしょう。
子どもも同じです。
コミュニケーションが苦手なお子さんは、緊張しやすく身体がこわばり、新しい場所や人との関わりに不安を感じやすい傾向があります。なので、周りを気にせず安心して過ごせる1人の時間をより好むことがあります。
けれども、適度に力が抜け、安心感や自信が育ってくると、「やってみよう」「関わってみよう」という気持ちが少しずつ引き出されていくのです。
さらに、自分らしい笑顔や声を日常的に出せることは、脳の「言葉の理解・発話」や「共感」に関わる部分の発達を後押しします。
一方で、不安や身体の緊張が続くと、このような感情を表す機会が減ることで脳の働きが引き出されにくくなり、言葉や文脈を読み取りにくい、共感しにくい、といったかたちで表れることもあります。
だからこそ、「自分の身体を感じながら、安心・自信を持ちやすい」状態であることが、その子らしいコミュニケーションの育ちを後押ししてくれるのです。
池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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