「自制心がないから依存する」 わけではない?親が知っておきたい依存症のよくある誤解
「ゲームばかりしている」「スマホを手放せない」など、子どもの依存が気になると、「本人がだらしないから」と考えてしまうかもしれません。しかし、実は真面目でがんばり屋な子ほど、問題をひとりで抱え込み、依存が悪化してしまうのだそうです。
また、依存している対象を「悪」だと決めつけるのも、よくある誤解なのだそう。
子どもの依存と向き合うために知っておくべき基礎知識を、書籍 『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』よりご紹介します。
※本稿は、松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。
実は普段誰でも「依存」して生きている
■なかでも依存度が高い人は真面目でがんばり屋が多い
「毎日ベロベロに酔っぱらって、生活がままならないアルコール依存症の人」と聞いたら、なんとなく「だらしない」イメージをもちませんか。「健康や家族を顧みればやめられるだろう」「周りの対応が甘い」と思うかもしれません。
しかし、人は皆、普通に生活するだけであっても何かしらのよりどころを必要とします。そして、「真面目」な気質をもち、問題を1人で抱えて乗り越えようとするがんばり屋な人ほど、依存が悪化してしまいやすいのです。子どもも同じ。そうして1人で苦しんでいる状況を無視して「もっと厳しく」や「気合いで直せ」という精神論をぶつけるのは、的はずれと言わざるをえません。本人たちが苦しむ根本の問題が変わらなければ、真の解決はないのです。
依存している対象でよしあしを決めないで
■「なぜ」ハマったのか背景にある理由こそ重要
何かにハマることは悪いことではありません。ゲームは悪者にされがちですが、うまくなるための努力や、情報を集めて調べる力は、この先の学びや仕事にも役立つはずです。逆に勉強であっても寝食を忘れ、精神的に追い込まれていれば「悪い依存」と言えるかもしれません。一面だけを見て依存対象の善悪を判断することはできません。
問題は「なぜ」それにハマったのかということ。依存症の人は必ずなんらかの生きづらさを抱えています。リストカットやオーバードーズ(薬の過剰摂取)など、自分の体を痛めつけるものにさえ依存せずにはいられないことには、何か大きな理由があるのです。
違法薬物に依存する子どもたちの話を病院で聞くとき、薬物をすすめてきた人は悪そうな売人ではなく、頼れる優しい友人や先輩だったりします。「自分の話を聞いてもらえることがうれしかった」と語る子どもたち。この場合、背景にあるのはさびしさなのかもしれません。
依存症の予防や治療方法は日々変化している
■強制的な対応はむしろ悪化を招きかねない
子どもの状態が不健康なものであれば、一刻も早くやめさせたいのが親心でしょう。つい、ゲームや薬を没収したり、子どもの様子を四六時中監視したりしてしまいがちです。首に縄をくくりつけてでも専門病院に引っ張っていきたくなる気持ちもわかります。
でも多くの場合、強硬手段はうまくいきません。本人が心を閉ざしてしまい、根本の問題にアプローチできないからです。例として、薬物乱用防止の標語「ダメ。ゼッタイ。」は有名ですが、このような厳しい否定は、依存症に悩む人にとって自身を否定されるようであり、むしろ回復の道を遠ざけています。
では、どうすればいいのでしょう。まずは家族が依存症や依存対象に関する知識を増やしていくことが必要です。特に、心身が発達途中の子どもは、大人よりはるかに柔軟に変化します。過剰にあせらず、落ち着いて向き合いたいもの。そのためには、親も子も頼れる先をたくさん見つけていくことが大切です。
松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)
今、子どもたちがハマる対象はとても多様化しています。ゲームやスマホにとどまらず、エナジードリンク(カフェイン)、市販薬、推し活、さらには人間関係や美容まで。 わが子を想って注意しても全く響かない。いつの間にか量や頻度が増えている。さらには、隠れてこそこそしているみたい……。そんな姿にストレスを募らせ、ついカッと怒ってしまっていませんか?
本書は、そんな親の不安に寄り添うべく、解決のヒントをまとめた一冊。依存症治療の専門医・松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター)監修のもと、親世代とはまるで違う「イマドキの依存・依存症」のリアルを、豊富なイラスト・図解・漫画でわかりやすく解説します。
