何かに依存するのは普通のこと?子どもの「良い依存・悪い依存」をわけるもの
スマホやゲームに夢中になる子を見ると、「依存症なのでは?」と心配になるもの。しかし、なにかに「依存すること」は、そもそも悪いことではないのだそうです。
私たちは誰でも、趣味や好きなものに支えられながら日々を過ごしています。
では、健全な「良い依存」と、日常生活に支障をきたす「悪い依存」は、何が違うのでしょうか。子どもの依存を考えるうえで知っておきたい基礎知識を、書籍 『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』よりご紹介します。
※本稿は、松本俊彦 (監修)ナカニシヒカル(イラスト) 『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。
Q「依存」と「依存症」は違うの?
Aメリットよりデメリットが大きくなったら「依存症」
大前提として、「依存」と「依存症」の違いを確認しておきましょう。
まず「依存」とは、自分以外の何かを頼りにすること。「これ」があるからがんばれる、「これ」は嫌な気分を忘れさせてくれる、そんな対象の1つや2つは誰にでもあります。よくある例は、大人にとってのアルコール。晩酌が欠かせない人は多いでしょう。ビールや日本酒、ワインを励みに1日をがんばれるなら、それ自体は問題ではありません。
問題は「過剰に」依存してしまうことです。依存対象( 以下、〈対象〉とも呼ぶ)に常に接していないと不安で、日常生活に支障が生じます。 その代表例が「アルコール依存症」です。前後不覚になるまで飲むのをやめられない、朝からお酒を飲まないと出社できない。もはや「おいしいから飲む」のではなくなり「しらふではいられない」のです。よくない自覚はあり、反省もしています。しかし、手にとらずにはいられません。
この状態はデメリット( 日常生活への支障)がメリット(〈対象〉がもたらしてくれる活力や自信)を上回っています。でも、既に脳のコントロールを失い、自分の意志ではやめられない。「依存症」とは、そんな状態のことを指します。
Q「依存」はしてもいいってこと?
A心健やかに生きるため、むしろ「依存」は必要です
「誰にでも身体的・精神的に頼りにしているものがある」とお伝えしました。私たちは日々、大好きなものを食べたり、趣味に没頭したり、友人や家族と過ごしたりして、ストレスフルな毎日を乗り越えているのです。
ある1日を想像してみましょう。朝はコーヒーで眠い目を覚まし、居心地の悪い満員電車をスマホで耐え忍ぶ。ランチには大好物を食べて気持ちを上げ、休憩には甘いお菓子で疲れをリセット。夜はお決まりの晩酌をして、就寝前には「推し」の動画に癒やしをもらって眠りにつきます。こんなふうに、自分を支えてくれる〈対象〉がいくつもあり、それぞれとほどよい距離感を保った「依存」は、健康的で、むしろ誰にでもあってしかるべきです。本書ではわかりやすくするためにこれを「良い依存」と言いかえましょう。そして「依存症」を「悪い依存」と言いかえます。
ちなみに、「良い依存」において、特に重要な〈対象〉は人です。親や兄弟姉妹、友人。子どもの場合には先生など。さまざまなシーンで、ほどほどに頼れる人がいることがとても大切です。
裏を返すと、「依存症」、すなわち「悪い依存」は、「人に安心して依存することができない病気」と言えるかもしれません。
松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)
今、子どもたちがハマる対象はとても多様化しています。ゲームやスマホにとどまらず、エナジードリンク(カフェイン)、市販薬、推し活、さらには人間関係や美容まで。 わが子を想って注意しても全く響かない。いつの間にか量や頻度が増えている。さらには、隠れてこそこそしているみたい……。そんな姿にストレスを募らせ、ついカッと怒ってしまっていませんか?
本書は、そんな親の不安に寄り添うべく、解決のヒントをまとめた一冊。依存症治療の専門医・松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター)監修のもと、親世代とはまるで違う「イマドキの依存・依存症」のリアルを、豊富なイラスト・図解・漫画でわかりやすく解説します。
