「スカートを履きたい」と言い出した息子、親は受け入れるべき?周囲から何か言われたら?
多様性を尊重する流れが広がり、男子のスカート着用を認める学校も増えています。とはいえ、息子から「スカートで学校に行きたい」と言われたら、親としてはいろいろな思いが入り混じるもの。
子どもから予想外のカミングアウトを受けた時、親はどう受け止めたらいいのでしょうか。ジェンダーレス制服が広まりつつある今こそ考えたい、「男の子らしさ」「女の子らしさ」、そして「その子らしさ」について、『思春期の子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』から紹介します。
※本稿は、天野ひかり (著), とげとげ。 (イラスト) 『思春期の子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋、編集したものです。
ジェンダー教育、何からはじめる?息子がスカートを履きたいと言ったらどうする?
「子どものありのままを認められる」、そんな親でありたい、と繰り返しお伝えしてきました。子どもには「自分らしく」生きてほしい、きっとみなさんそう願っているはずです。
今回はジェンダーの視点から、「ありのままを認めること」について考えてみましょう。
「男子なんだから、家族を養える堅実な仕事をさせたい」
「女子なんだから、理系じゃなくて文系がいいのに」
こうしたご相談をよくいただきますが、みなさんはどう感じますか?
差別や悪気はなく、それが当たり前だと思い込んでいるお母さん、お父さんは意外と多いものです。
「男子だから」「女子だから」と性で役割を決めつけず、「あなただから」と伝えていい時代になってきました。
性によって「こうあるべき」と決めつけていることが自分の中にあるのかもしれない―。
まずは、それに気づくこと。これがジェンダー教育の第一歩です。
では、思春期の息子が「スカート履きたい」と言ったとき、みなさんならどうしますか?
まずは、NG会話を見てみましょう。
100人いれば、100通りの「性のあり方」がある
レンくんの突然のカミングアウトに、「気持ちはわかるけど、学校にスカートはダメ」と説得にかかりました。
ジェンダーレス制服が急速に広がっているとはいえ、採用の過渡期。男子用はまだまだです。
最新の調査で、女子生徒用に「スラックス」の採用を許可する学校は8割なのに対して、男子生徒用に「スカート」の採用を許可する学校は3割弱。
そのうち、スカートを着用している男子は1割でした(カンコーホームルームデータ集の調査)。
世界にはスカートで活躍している男性はたくさんいますし、スカートが男性の正装の地域もあります。
でも、学校では制度がまだ追いついていません。これが世間の意識なのでしょう。
スカートを履いた息子が、好奇の目で見られたりいじめられたりしないかと心配する気持ちは、とてもよくわかります。世間体も気になりますね。
では、レンくんの気持ちを考えてみましょう。
「スカートが欲しい」―この一言を言えるまで、何年かかったのでしょうか。
ずっと違和感を感じながら制服を着て、学校生活を送っていたのでしょうか。
誰にも言えず悩み、ようやく今、意を決して家族に打ち明けました。
どんな自分でも、家族は受け入れてくれるはずだと信じたからでしょう。
性は「男」「女」で分けて考えがちですが、いろいろな要素でできています。そのため、100人いれば100通りの性のあり方があります。
性は、次の4つの要素が組み合わさって、自分になります。
1.「からだの性」(生物学的な性):客観的に判断され、出生時に登録
2.「こころの性」(性自認):自分自身の認識
3.「好きになる性」(性的指向):恋愛感情や興味を持つ対象
4.「表現する性」(性の役割):「らしさ」の性 言葉使いや服装、役割など
「からだの性」と「こころの性」が異なっていて、周りから理解されないことで、子どもが自分自身を否定して生きていくとしたら、親としてとても悲しいことです。
子ども自身が抱える悩みも、世間の目と戦うことも含めて、子どもをありのまま認めることで、自己肯定感を育てていくことは、親の務めではないかと思います。
子どもは親にさえ認めてもらえたら、何があっても戦えるのです。
では、OK会話を見てみましょう。
心ない言葉を言われたら? 家族会議で対応を考えよう
レンくんのカミングアウトに、家族が寄り添いました。
もちろん家族は、この後受け入れるまで葛藤はあるでしょう。でもレンくんは、家族に本当の自分を話せて、頭ごなしに否定されず、何よりも安心したと思います。
性的マイノリティの方に取材をすると、「親に認められなかったことが一番つらかった」。逆に、「親にだけは言えなかった」と隠し続ける人もいます。
すぐに受け入れるのは難しいことだと思いますが、わが子の本当の姿を受け入れ、応援できる親になりたいと切に思います。
親でさえ、受け入れるのに時間がかかります。学校の友達の反応もさまざまでしょう。
心ない言葉を言われたとき、子どもを守るために、「作戦会議」ができるといいですね。
たとえば、
・スカートで登校して誰かに何か言われたら?
→「きみがスラックスを選んだように、ぼくはスカートを選んだんだよ」
・ スカートを履くなんて女なのか、とからかわれたら?
→「性には4つの要素があるから、みんな違うんだよ」
・ 「トイレはどうするんだよ?」と言われたら?
→「それはとても大事な視点なんだ。誰でもトイレの設置を求めて、先生と交渉するよ」
丁寧に話すことで理解が広がり、誰もが心地いい学校生活を実現できるといいですね。
親子で、これから起きうる反応を考えながら事前準備することは、社会に出た後のわが子の生き方を支えることにつながります。
「スカートを履いてもいい」「履いてはいけない」と親が決めるのではなく、子ども自身がどうありたいのかを考え、自分らしく生きていくことを全力で応援しましょう。
わが子の問題にとどまらず、まずはお母さん、お父さんが当たり前だと思い込んでいた自分の中の「こうあるべき」という考え(偏見)に気づくことからはじめましょう。
天野ひかり (著), とげとげ。 (イラスト) 『思春期の子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
子どもに話しかけても返事がない、反抗してくる、暴言を吐かれる……とお悩みの方へ。
シリーズ9万部突破『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』に、待望の「思春期編」が登場!
