無理にほめるとバレる!実は子どもを傷つける「ほめる子育て」の落とし穴
「褒めて育てる」ことが、すっかり子育てのスタンダードになった現代。 日々、我が子にたくさんの言葉をかけている親御さんは多いのではないでしょうか。
しかし実は、「何でもかんでも褒める」かかわり方には、大人が気づかない意外な落とし穴が潜んでいます。
多くの親が知らない「ほめる育児」の盲点について、小学校教諭・沼田晶弘先生の著書から抜粋してご紹介します。
※本稿は沼田晶弘 (著) Masaki (イラスト) 『子どものやる気を引き出す「ほめる」よりすごい方法39』(高橋書店)より一部抜粋、編集したものです。
無理にほめない
形だけのほめ言葉は逆に子どもを傷つけるおそれも。まずは現実を受け止めることが大切。
何でもかんでもほめればいい、わけがない
「子どもはほめて伸ばそう」とよく聞かれます。たしかに、子どもを否定するのは、よくありません。でも、今はこれが幅を利かせすぎて、デメリットのほうが大きくなっているのではないかと感じます。
たとえば、あなたが料理を作ったけれど、自分ではイマイチおいしくできなかったと思っていたとしましょう。そんなときにパートナーが「今日もおいしいね」と言ったら? そんなことが何回も続いたとしたら? だんだん信頼がなくなっていくと思いませんか。
じつは子どもも同じです。思ってもいないのに口だけでほめていたら、子どもだって形だけの言葉だといずれ気づくでしょう。無理にほめ言葉をひねり出していませんか?
人はできなかったことをちゃんと認め、挑戦して、できたときに伸びるのです。できなかったときまでほめられていたら、悪い点を改善するチャンスがないのですから、伸びるわけがありません。
だから大事なのは「とにかくほめる」ではなく、いいものはいい、悪いものは悪いと認識させてあげること。できたときは、ただ「できたね」と言えばOKです。そのうえで、自分の力で成果を取りに行く、ということなのです。
子どももほめられれば必ずうれしい、わけではない
高学年を受け持ったとき、子どもたちに聞いたことがあります。100点満点のテストで70点だったとき、「いいじゃない、がんばったわよ」と言う親と「何やってるの、もうちょっとがんばれるでしょう」と言う親、どちらが優しいと思うか、と。すると、なんと後者のほうが優しいと答えた子が大半でした。
70点が微妙な点数だということは、彼らだってわかっているのです。それをほめられたら逆に混乱しますよね。ダメなものをいいと言われ続けたら自分が成長しない、なんてことを言う子までいました。子どもだって、微妙な結果に対してほめられてもうれしくはないのです。
もし、70点でほめられたら、子どもが「次は100点を目指そう!」という気持ちを抱いていたとしても、「これでいいのか」と考え、その気持ちが削がれてしまうでしょう。親は、自分のことを「こんなもんだ」と思っているんだなと感じ、プライドが傷つくこともあるかもしれません。また、子ども自身も自分のことを「こんなもんだ」と考えるようになってしまうかもしれません。むやみやたらに発するほめ言葉には、そんなデメリットもあるのです。
「ホンモノの自己肯定感」と「自己効力感」をつけるには
ほめないと自己肯定感が下がると考えている人も多いのですが、それは大きな間違いです。自己肯定感とは本来、ダメな自分や微妙な自分も含めて、今の自分を受け入れる力です。すべてを肯定しようということではありません。
じつは、人間には「ほめる力」が標準装備されています。本当にすごいと思ったら自然にほめてしまうもの。むやみにほめるのではなく、そういうときだけほめればいいのです。
もう一つ、子どもに身につけさせたい感覚として、「自己効力感」があります。こちらは簡単に言うと「やったらできる!」と思える感覚のこと。終電間際、「もう間に合わないだろう」と諦めるか、「多分間に合う」と走れるか。後者、つまり実際の結果にかかわらずとりあえず挑戦できる人が、自己効力感が高い人です。
幼い子どもは自分より大きなソファに上がろうとしたり階段を上ろうとしたりと、自己効力感に満ちています。しかし成長すると、できないことも増えていきます。だからこそ、子どもが何かに挑戦して成功したときは、ほめるよりも「自分の力でよくがんばったね!」とその挑戦自体に「価値がある」と認識させてあげることが大切です。自己肯定感も自己効力感も、そうやって、本人が「やれば、できた」と実感することで伸びていきます。
心地のいい「ぬるま湯」にい続けても人は成長できない
ビジネスの世界で、人の成長に必要な環境を説明する言葉として、「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」というものがあります。
「コンフォートゾーン」とは心地いいゾーン、つまり慣れ親しんだ場で、今持っているスキルだけですべての業務をこなせるような環境です。つまり、基本的に失敗も挫折もない「ぬるま湯」の環境です。ここにいたら楽だけど、いつまで経っても成長できません。
その次の「ラーニングゾーン」は「学びのゾーン」。今のままでは解決できない課題があり、やり方を工夫する必要があるような環境で、自然と成長が促されるゾーンです。
その先の「パニックゾーン」は、今のスキルではまったく通用せず、正しい判断や状況把握ができないような環境で、ストレスが強すぎて不調をきたしかねないゾーンです。
人が成長していくためにはコンフォートゾーンを出て、ほどよく難しいラーニングゾーンに上手に移行していくことが大切だといわれています。でも、現在の教育は一言でいうと、コンフォートゾーンから少しも出ないようなものになってしまっています。それは、家庭での子育てにおいても同じことがいえます。子どもが自分を広げるラーニングゾーンに飛び込めるかどうかは、大人の関わり方次第です。ぜひ子どもに挑戦させましょう。
沼田晶弘 (著) Masaki (イラスト) 『子どものやる気を引き出す「ほめる」よりすごい方法39』(高橋書店)
最近の子育ては「ほめて伸ばす」のが当たり前。子どもの自己肯定感を損ねないように、傷つけないように失敗させないように、すごいね上手だねを連呼する。
でも、本当にこれでいいのかな……。
そんな悩める保護者のみなさんに、MC型教師ぬまっちの痛快育児メソッドをお届けします。じつはよく言われている「自己肯定感」には勘違いが多くあったのです。
●「ほめられ方」を伸ばす
●ゴールやペナルティを勝手に変えない
●「だけ」の使い方をマスターする
●子どもは他人だと思え
子どものやる気を引き出す39のメソッドを、マンガと図解で徹底解説!
