敏感肌用は「子ども向け」じゃない! 薬剤師に聞く「子ども用日焼け止め」の選び方

吉澤恵理

もうすぐ夏本番。子どもが元気に外遊びする姿はほほえましいものですが、親として気になるのが「紫外線対策」。「大人用の敏感肌タイプなら子どもにも使える?」「日焼け止めを塗ったのに赤くなった…効果がないの?」そんな悩みや疑問に、薬剤師の視点からしっかりお答えします。

正しい日焼け対策を知るために、まずは紫外線についてお話します。(写真はすべてイメージです)

紫外線には3種類!特に注意すべきはUVAとUVB

紫外線には UVA・UVB・UVC の3種類がありますが、地上まで届くのは主に UVAとUVB の2つです。

UVA(シミ・たるみの原因)

肌の奥の真皮層まで届き、コラーゲンやエラスチンを破壊して光老化を進めます。長時間浴びることで肌のハリが失われ、将来的なシワやたるみの原因になると言われます。

UVB(炎症・赤みの原因)

エネルギーが強く、肌表面に急激なダメージを与えます。ヒリヒリする日焼けや赤みは、UVBによるものです。子どもの薄い肌では、短時間の外出でも炎症が起こりやすくなります。

UVC(本来は地上に届かない)

UVCは、オゾン層によって遮断されるため地上には届きません。

SPF・PAって何? 表示の意味、きちんと知っていますか?

日焼け止めのパッケージに必ず書いてある「SPF」「PA」という表示、なんとなく数字が大きいほど良いと思っていませんか? 実は、それぞれ防ぐ紫外線の種類が違っていて、目的に応じて選ぶことがとても大切です。

SPFは「日焼けするまでの時間をどれだけ延ばせるか」

SPFは、UVB(紫外線B波)を防ぐ効果を表しています。

UVBというのは、肌の表面に強く作用して、赤くなったりヒリヒリしたり、水ぶくれができたりする、いわゆる日焼けの原因になる紫外線です。

このSPFの数字は、「日焼けするまでの時間をどれだけ延ばせるか」を示しているもので、たとえばSPF30であれば、なにも塗らない状態に比べて約30倍長くUVBを防げる、という意味です。

普段使いでは?

お買い物や公園遊び、登園・通学などの普段使いにはSPF20〜30くらいで十分です。

屋外活動では?

炎天下でのレジャーやプール・海など、長時間屋外にいるときはSPF50+のような高めのものを選びましょう。

ただし、SPFが高い=肌にやさしいというわけではありません。必要以上に強いものを選ぶと、かえって肌に負担がかかることもありますので、使うシーンに合わせて選ぶのが大切です。

PAは「紫外線を防ぐ強さ」

PAは、UVA(紫外線A波)を防ぐ強さを表しています。

UVAは、すぐに赤くなるような目立つ影響はないのですが、肌の奥の“真皮層”という部分までじわじわと入り込んで、シミやたるみ、しわといった“光老化”の原因になる紫外線です。

このUVAを防ぐ力は「+」の数で表されていて、

表記/効果の目安
PA+/ある程度防げる
PA++/けっこう防げる
PA+++/しっかり防げる
PA++++/とても強く防げる

というふうに、「+」が多いほどしっかり防ぐことができるという意味になります。

外で元気に遊ぶことが多いお子さんには、PA+++ 以上のものを選んであげるのが安心です。

子どもには「ノンケミカル」が基本

日焼け止めに使われている紫外線カット成分には、大きく2種類あるのをご存じですか?
それぞれの特徴を知っておくと、子どもに合ったものを選びやすくなります。

① 紫外線吸収剤(ケミカル)

こちらは、紫外線をいったん肌で吸収し、それを熱エネルギーに変えて外に逃がすタイプです。
伸びがよく白浮きしにくいので、使い心地は良いのですが、デメリットとしては、肌の中で化学反応が起きるため、人によっては刺激を感じたり、炎症が起きることがある点です。

特にお子さんのようなデリケートな肌には、赤み・かゆみ・かぶれなどのトラブルにつながることがあります。

② 紫外線散乱剤(ノンケミカル)

こちらは紫外線を肌の表面で反射・散乱させてブロックするタイプ。
成分としては、酸化チタンや酸化亜鉛がよく使われていて、刺激が少なく、敏感肌でも使いやすいとされています。

白っぽくなりやすいというデメリットはありますが、肌に優しいことを最優先に考えるなら、子どもにはこちらのタイプが安心です。

ただし、汗や水で落ちやすいため、数時間おきの塗り直しは忘れずに行いましょう。

「敏感肌用=子どもにも安心」ではありません

お母さんが使用する敏感肌用の日焼け止めを子どもと一緒に使っているケースがあります。

しかし、敏感肌向けといっても、大人用の製品はあくまで成人の肌を基準に設計されているため、次のような成分が含まれていることが少なくありません。

・香料
・着色料
・アルコール(エタノール)
・パラベンなどの防腐剤

こういった成分は、子どもの薄くてデリケートな肌には刺激になりやすく、赤みや湿疹を引き起こす原因になることもあります。

薬剤師が考える「子ども向け日焼け止め」の選び方

「肌にやさしいものを選びたい」と思ったら、まずは次の4つをチェックするのがおすすめです。

・紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
・無香料・無着色・アルコールフリー
・石けんで落とせるタイプ(クレンジング不要)
・「ベビー用」「キッズ用」と表示されている製品

「塗ったのに赤くなった…」その原因は?

お子さんに日焼け止めを塗ったのに、「頬が赤くなってきた」「かゆがっている」といったご相談を受けることがあります。

実はこれには、2つの全く違う原因が考えられます。

① 紫外線による炎症(=普通の日焼け)

「ちゃんと塗ったのに赤くなった」という場合、量が足りなかった・塗りムラがあった・汗や水で流れてしまったなどが原因のことがあります。

対策としては、「塗り直し」と「塗る量」がポイントです。

・目安は2〜3時間おきの塗り直し
・汗をかいた後や、水遊び・プールの後は必ず塗り直す

耳の後ろや首の後ろなど、見落としがちな場所にもきちんと塗ることも大切です。

② 日焼け止めによる肌トラブル(かぶれ・接触性皮膚炎)

日焼け止めに含まれる添加物や紫外線吸収剤が肌に合わず、かぶれてしまうこともあります。

これは「塗った直後」や「数時間後」に赤くなったり、ブツブツが出たり、かゆみが出るのが特徴です。 特に肌の弱いお子さんでは注意が必要です。

対策としては、使用前に腕の内側などで少量テスト(パッチテスト)を行うことがお勧めです。赤みやかゆみが出た場合はすぐに使用をやめ、必要に応じて皮膚科に相談してください。

やさしい紫外線対策で子どもの肌を守りましょう

日焼け止めは、肌を守る大切なアイテムです。ですが、守るつもりが刺激になっていたということにならないよう、ぜひお子さんの肌に合ったものを選んであげてください。

迷った時は、薬局の薬剤師さんに相談すると安心ですね。
肌にやさしい毎日のケアで、夏を安心して乗り越えましょう!