子どもに市販薬を使う際に注意点とは? 親が知っておくべき成分の意味

吉澤恵理
2026.05.31 16:41 2026.05.31 16:45

水を飲む男の子

2025年5月14日、医薬品医療機器法の改正法が参院本会議で可決・成立しました。この改正により、薬剤師のオンライン説明を受ければ、市販薬をコンビニでも購入できるようになり、セルフメディケーション(自分で健康管理する習慣)の広がりが期待されています。

セルフメディケーションとは、病気の予防や軽い不調に対して、自分で体調を管理・対処すること。ただし、「何でも自己判断で薬を使って済ませる」ことではありません。

とくに子どもに対しては、「市販薬を上手に使う」ことよりも、使うべきタイミングや避けるべき成分を知っておくことが何より重要になります。

今回はその一歩として、子どもの風邪薬を選ぶときに気をつけたいポイントをわかりやすくまとめました。(文・吉澤恵理)

自己判断が難しいときは、まず受診を

腹痛と吐き気に苦しむ子ども

体調を正しく見極め、必要なときには医療機関を受診することも、セルフメディケーションの大切な一部です。

以下のような場合は、市販薬を使わず、まず病院を受診することが大原則です。

・3か月未満の乳児
・アレルギーの有無がわからない
・基礎疾患がある
・ぐったりしている、顔色が悪いなど症状が重い

また、1歳未満の乳児についても基本的には小児科の受診が推奨されます。自己判断せず、症状に合った薬を処方してもらいましょう。

子どもは小さな大人ではない

すわる女の子

子どもは、大人に比べて内臓機能や神経系が未発達です。大人用の薬を「半分にすれば大丈夫」という使い方は、効果が不十分なだけでなく、副作用のリスクが高まる危険な行為です。

また、「親子で使える薬」や「兄弟で共通の薬」があっても、年齢や体重によって用量は異なります。必ずパッケージや説明書を読み直し、その子の年齢に適した量かどうかを確認する習慣を持ちましょう。

子どもの服用に注意が必要な成分

子ども用の市販薬でも、リスクの高い成分が含まれていることがあります。とくに以下のような成分には注意が必要です。

 NSAIDSの神経系へのリスク

下記のような非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に分類される解熱鎮痛剤には、15歳未満では使用が推奨されていません。

・ロキソプロフェン
・イブプロフェン
・アスピリン(アセチルサリチル酸)
・イソプロピルアンチピリン

15歳未満の小児が、インフルエンザや水ぼうそうのときにNSAIDS 使うと、次のような重篤な症状を引き起こすおそれがあります。

インフルエンザ脳症
インフルエンザ感染に伴い、急速に意識障害やけいれん、異常行動などが進行する急性脳障害。高熱が出たときにNSAIDsを使用した場合、重症化のリスクが高まると報告されています。

ライ症候群
インフルエンザや水ぼうそうなウイルス性疾患にNSAIDSを服用すると、激しい嘔吐・意識障害・痙攣(急性脳浮腫)などが短期間で進行することがあります。

 咳止め薬に含まれるコデイン類

・コデインリン酸塩
・ジヒドロコデインリン酸塩

これらは咳を鎮める目的で使われますが、12歳未満の使用は禁止されています。

中枢神経に作用し、呼吸抑制や意識障害といった重篤な副作用が報告されており、現在では多くの市販薬で年齢制限が設けられています。

アレルギー薬に含まれる抗ヒスタミン薬とけいれんのリスク

・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ジフェンヒドラミン塩酸塩
・クレマスチンフマル酸塩など

これらの成分は、くしゃみや鼻水、じんましんなどに対して使われる抗ヒスタミン薬に含まれます。

「熱性けいれん」の既往歴があるお子さんでは、発熱時に熱性痙攣を誘発する可能性があり、使用を控えることが望ましい成分です。

熱性けいれんとは?

生後6か月~5歳頃の子どもに多く見られ、高熱時にけいれんを起こす症状です。

ほとんどは良性ですが、再発するリスクもあり、抗ヒスタミン薬が神経を刺激して誘発因子になることもあるとされています。

安全性が高い成分とされるアセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、発熱や軽い痛みを抑える作用があり、NSAIDsに比べて胃腸への負担や副作用が少なく、インフルエンザなど感染症による発熱時にも服用可能です。

医療現場でも小児用の解熱剤として広く使われており、正しい用量を守れば乳児期から使用可能な、安全性の高い成分とされています。

ただし、「アセトアミノフェンだから安心」と思い込まず、年齢や体重に応じた製品を選び、毎回添付文書を確認することが大切です。

市販薬を使うときの「3つの基本ルール」

市販薬を選ぶ際には、以下のポイントを必ず守ってください。

1 パッケージや説明書をしっかり読み、対象年齢と成分を確認する
2 用法・用量を必ず守る
3 3日使用しても症状が改善しない場合は、必ず受診する

とくに「鼻水止め」や「かぜ薬」など、ひとつの薬に複数の成分が含まれている製品が多いため、含有成分の欄を丁寧に読む習慣をつけておくと安心です。

薬選びは、安全を優先に

遊んでいる3人の子ども

子どもの市販薬選びで大切なのは、「早く効くもの」より「安全に使えるもの」を選ぶ視点です。

正しい情報をもとに薬を選ぶことで、子どもの体を守るだけでなく、親としての不安もぐっと減ります。

・市販薬は自己判断で軽症時に使うものであり、状態に不安があればまず受診を
・使用年齢・用量・成分を毎回確認する習慣を
・子ども特有のリスク(熱性けいれん、アレルギー、ウイルス感染)を理解して選択する

市販薬で様子を見る場合には、服用後の経過を十分に観察し、症状が回復しない場合や悪化が見られる場合には速やかに受診することも大切です。

吉澤恵理

吉澤恵理

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1969年生まれ、1992年東北薬科大学卒業。薬剤師として長年医療に携わった経験から医療領域、また教育領域を得意とするジャーナリスト。メディアでの執筆、連載やTV出演など多数。プライベートでは、結婚、妊娠、出産、離婚、介護と様々な経験を経て、現在4人の子を育てるシングルマザー。