人の気持ちを読むのが苦手な子に。運動遊びで伸ばす「人と関わる力」

池上悠
2026.08.31 15:35 2026.09.16 11:50

走る子どもたち

この記事の画像(3枚)

「相手の表情や言葉の意図を読み取るのが苦手」「会話の流れをつかみにくい」といった様子が気になるときは、言葉だけで理解を促すのではなく、身体を使ったやりとりを取り入れてみましょう。

まねっこ運動やキャッチボールなど、相手と向き合って身体を動かすことで、目で相手の動きを捉え、タイミングや距離感を感じながら、自分の動きを調整する経験ができます。

さらに、一緒に楽しみながら成功体験を重ねることで、安心感や自信も育まれます。ここでは、言葉や文脈の理解、相手の気持ちや動きを予測する力につながる3つの運動を紹介します。

※本稿は、池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋、編集したものです。

表情や言葉の意図、文脈を読み取ることが苦手

サポートポイント
● 対面で会話しながら運動することで、距離感・共感・言葉の理解が深まる
● ボールを使うことやまねっこ運動で、全身の連携や身体感覚を育てる
● ゲーム性のある運動で、ルールの意味や流れを理解しながら、大人と共有することの安心感と自信を高める

運動メニュー
①身体の感覚運動:言葉と動きのまねっこポーズ
②全身の協調・対面運動:対面キャッチボール
③走る運動:エリア・タイムトライアル鬼ごっこ

運動1 言葉と動きのまねっこポーズ

『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より

全身や末端の感覚を使い、身体感覚や動きのイメージ力を育てる。言葉と動作を結びつけ、順番の変化や動きの反応を通して、言葉や文脈の理解・相手の気持ちや動きの予測力を養う。目を合わせて一緒に行うことで、共感や安心感を育み、スムーズな交流につなげる。


内容
身体の感覚を使った手足の運動。単語を言いながら対面の大人の動きをまねする

回数
5種目ほどを連続で切り替えておこなう。
セット間は単語の順番を入れ替える

セット数
2~3セット

レベル
1: 順番を変えても、言葉と動きを合わせて、身体の部位をまねして触れた(5回連続)
2: 指の細かい動きだけ(例:手がチョキ)、足を使った動きだけ(例:足がパー)のポーズをまねできた(5回連続)
3: 指の細かい動きと足の動きが合わさったポーズ(例:手がチョキで足がパー)をまねできた(5回連続)

運動1 言葉と動きのまねっこポーズのポイント

やり方
● 大人と子どもが正面で向かい合う
大人が身体の部位を言いながら、実際に両手でそこをタッチしていく
(例:「頭!」→頭に手を置く、「腰!」→腰に手を置く、など5種類ほど)
子どもは言葉を復唱しながらまねして動く
● 慣れてきたら難易度アップする
(例:身体の部位の順番を入れ替える、片手だけで触る動きを見せる)
● 最終的には、身体をタッチせずに手先の動き(グー・チョキ・パー、キツネやピストルポーズなど)や、立って全身を使う動き(足でグー・チョキ・パー、かかしポーズ、その場ジャンプなど)にも発展させる。その際も、動きの言葉を復唱し合いながらおこなう
● 向き合ってやろうとしている気持ちや動きのスムーズさなどをほめる

声かけやほめ方の例
●「今の頭タッチ、すごく素早かったね!」
●「順番が変わってもちゃんとできたね!」
●「ちゃんと見て、同じ動きができたね!」

運動のコツ
①しっかり目を合わせ、お互い楽しみながら行う
②順番やテンポを変えると、飽きずに集中力も続きやすい
③動きがぎこちないときは、最初に一緒に身体の部位を触ったり指差ししてヒントを出す。また、お手本をしっかり見せると理解しやすい

運動2 対面キャッチボール

『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より

両手・両足・目の連動を使い、全身の協調性や身体感覚を育てる。ボールを取る・投げる動きで距離感・タイミングの予測力を養う。目を合わせて一緒に行うことで共感や安心感を育み、スムーズな交流につなげる。回数の達成を重ねることで達成感や自信を高める。


内容
全身を使った対面運動。対面で距離やスピードを上げながらキャッチボールをする

回数
5~10回

距離
キャッチできるかできないかの距離を離す(最初は1m未満からでOK)

セット数
2~3セット

レベル
1: 正面を向いたままキャッチ&リリースを3回連続できた
2: 目をつぶらず、正面を向いたままキャッチ&リリースを5回連続できた
3: 距離をのばして、ドッジボールのような投げ方でキャッチ&リリースができた

運動2 対面キャッチボールのポイント

やり方
大人は子どもの目線の高さに合わせてしゃがんで向かい合う(子どもは立つ)
● お互いの位置にコーンを置いて目印にする
● 柔らかいボールを使って、最初は「キャッチできる、またはあと少しでキャッチできそう」な距離(1メートル以内の近い距離)から始める
● キャッチできたら、ボールを両手で頭の上に上げてバンザイのポーズをつくる。その姿勢から大人の胸をめがけて投げることで、バランスを保ちながら全身を協調させる練習になる
● 慣れてきたら難易度アップ
 └ ドッジボールのように片手で投げるかたちにしてみる(大人は立ってOK)
 └ 距離をのばす、大人の投げるスピードを変化させてみる
● 最初は「○回までやってみよう」と回数を決め、1回でもキャッチできたらOKという目標を設定して達成感を味わえるようにする
うまくいかなくても「やろうとした姿勢」や「おしかった点」を必ずほめる

声かけやほめ方の例
●「キャッチのとき、しっかり目を開けてできたね!」
●「まっすぐ投げられてすごい!」
●「できなくても大丈夫! チャレンジがすごいよ!!」

運動のコツ
①最初は、子どもがキャッチしやすい高さとスピードで投げる
②最初は成功体験を重ねられる距離と難易度で行っていく
③時々スピードや距離を変えて難易度を上げ、その変化に気づかせることで身体感覚と自己肯定感を高める(難易度がアップしていることをしっかり伝える)

池上悠

北里大学卒業後、都内の整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。現在は、発達が気になるお子さんや発達障害の診断があるお子さん、スポーツに励む学生にもパーソナルレッスンをおこなっている。

子どもの気になる言動が改善する からだの使い方

池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「発達特性は治らない」を覆す!
子どもの気になる言動を改善する、まったく新しい「身体の使い方」の本!