サピックス講師が教える!ゲームに夢中な5年生の集中力を伸ばすコツ

「ゲームばかりで勉強しない…」と焦っていませんか?実は、好きなことに没頭できる子ほど、5年生から一気に伸びる力を秘めています。大手進学塾サピックスの竹浪先生のアドバイスから、焦る親の心を軽やかにし、子どもの力を引き出す関わり方を紐解きます。
※本稿は、佐野倫子著『中学受験伴走力』(講談社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
焦りすぎは逆効果!5年生から伸びる子の切り替え術
──5年生は重要単元が集中する学年ですが、夏ごろだとまだ受験への意識が低い子もいます。そこに親とのギャップを感じます。
竹浪先生 そもそも子どもは大人と時間の感覚が違います。6年生でさえも、夏のころは「まだ、入試なんて先の話だよね〜」と言っている子がいるくらいですから(笑)。
──でも親はやきもきしてしまいますよね。サピックスの先生方はどうやってそんな生徒たちを引っ張っているのでしょうか?
竹浪先生 「受験生だからやりなさい」みたいな話はあまりしないですね。それよりも、5年生は問題が少しずつ難しくなってくるので、それを楽しく感じさせるようにしています。子どもは本来、難しいことは面白いなって思うものなんです。それに、「答えを知ることが楽しい子」よりも、「考える過程を楽しめる子」のほうが、強い。後者の方が成績も6年生になって伸びる子が多いですよ。
5年生/切羽詰まりすぎの親が続出。まずは落ち着いて
──最近SNSなどでは、「できるだけ早い段階で上位コースに上がっておかないと」「5年生のときには、αコース(サピックスの上位コースの名称)に必ずいないと御三家は厳しい」という話が、中学受験生の親の間で交わされます。この段階で、すでにピリピリした雰囲気がありますが、それについてはどうお考えでしょうか?
竹浪先生:はい、切羽詰まりすぎだと思っています。「6年生になったらみんなが本気になって、コースを上げることはできないだろうから、5年生でこのクラスだと、志望校合格は難しいですよね?」などもよく訊かれます。でもそんなことはもちろんないです。
私が責任者をしていた校舎を例にとると、6年生になってからも何コースも変わることはざらにあります。6年生の前期は平均よりも下だったけれど、最後はαコースになった子どもも多数見ています。だから、早々に決めつけて焦る必要は決してありません。
──それは希望が持てるお話です!ちなみに伸びる子に共通する点はありますか?
竹浪先生:「嫌なことから逃げないこと」でしょうか。やるべきこと、面倒なことを先送りにしてサボらない。それから、「さあ、勉強を始めよう」と言ったときに、パッと始められることですね。
私は授業で、最初にテキストを配っているときは、楽しい話をして盛り上げています。配
り終わった瞬間がいちばん面白いようにして、子どもたちが爆笑しているときに、「じゃあ用意、はじめ!」と言っているのですが、そのときバシッと切り替わる子は、後で本当に伸びますね。切り替えは大事な要素。だから毎回、授業で練習させています。
なかには、「先生ふざけてないで早く始めてよ」という視線を送ってくる子もいます。で
もそういう緩急をつける、みたいな意識が苦手な子は、壁にぶつかったとき、苦しむ子が多い。がんばったからといって、明日すぐに結果が出るとは限らないのが中学受験です。「楽しい」と「がんばる」の切り替えをすることが、5年生の子どもたちには大事です。
──真面目一辺倒だけが正しいとも限らないんですね。授業のなにげない雑談タイムひと
つとっても計算されている、ということに驚きました。
竹浪先生:「うちの子、基礎トレ(サピックスで配られている1日ごとに10問を10〜
20分程度で解く算数の教材)をやらないんです」という相談もよく受けます。
そういうときは、「では朝3問やってください。そして帰宅後すぐに3問、残りは寝る前
というように、違うタイミングで取り組んでください」と答えています。分割して取り組んで、ハードルを下げ、少しずつでも面倒なことにサッと取り組めるように、ご家庭でも積み重ねていってみてください。
【中学受験】ゲームに夢中な子ほど一気に伸びる?
──重要な単元が多い5年生の夏、勉強に対する姿勢についてはどうでしょうか?
竹浪先生:5年生ぐらいから、自分で作業して解くことが増えます。文章を自分なりに置き換えたり、作図をしたり。そういうときに保護者の方が「効率よく解きなさい」と言うのは絶対にやめてください。無駄に見えても、手を動かす習慣は大切なこと。面倒くさいことをきちんとやっている子は強いです。
逆に、頭の中でパパッとできていた子が、6年生になって急激に苦しむケースもよくあり
ます。
──ダラダラとゲームをして勉強を始めない子にはどう対応すればいいでしょうか?
竹浪先生:個人的には、無理に止めるよりも、「一度好きなようにやってみたら?」と言う
のもいいと思うんです。「3時間やりたいなら、とことんやりな。好きなことぐらいがんばれなくてどうするの」などと言ってみる。これは6年生で試すのは難しいので、今だからできる作戦ですね。
──それはなかなか言えないですが、確かにただ「ゲームをやめて!」と言うのも不毛で
す。
竹浪先生:勉強に対する集中力は、好きなことでがんばれる時間よりかなり短いと思っています。好きなことをがんばれる子は、その元になる集中力の絶対値も高い傾向がある。4〜5年生で「放っておくと丸一日、本を読んでいます」「サッカーの試合が終わって帰ってきたあともボールを蹴っています」という子は、6年生になったときの勉強に対する集中力が高いですね。好きなことを通して、粘り強さや、悔しいからがんばる、というマインドが培われることが期待できます。そういう子は、受験も最後までがんばれますね
──そこまで好きなことがない子はどうすればいいですか。
竹浪先生:受け身じゃないことだったらなんでもいいと思うんです。動画をただただずっと見ている、とかは違うかと思いますが、主体性があることならなんでもよいと思いますね。それこそゲームでも、本気で取り組むならアリかもしれません。やりたいと言ったことを止めなければ、自然に見つかると思いますよ。
佐野 倫子 (著)『中学受験伴走力 親がすべきこと、知るべきこと』(講談社)
中学受験で必要な「親の伴走力」の方法を分かりやすく解説。令和の中学受験最前線情報、カリスマ講師の学年・教科別学習方法徹底取材、直前期の伴走方法、出願スケジュールのポイント、当日の持ち物チェックリスト、伴走済保護者の体験談などで構成。






























