なぜ「真面目で優しい子」ほど依存しやすいのか?自制心とは関係ない“本当の理由”
子どもがゲームやスマホなどに没頭し続けていると、「自制心がないのでは」「だらしないのでは」と心配になるかもしれません。でも、依存症になりやすいのは、決して自制心のない子ばかりではありません。むしろ、真面目で繊細な子どもほど、つらさを抱えていても周囲にSOSを出せず、何かに依存することで自分の心を支えていることがあるのだそうです。
「自分でなんとかしなければ」と頑張る子どもの心の中で、いったい何が起きているのでしょうか。依存の背景にある「回避」の意味や、子どもが抱えているかもしれない生きづらさについて、書籍 『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』より紹介します。
※本稿は、松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。
Q「悪い依存」は家庭環境や育て方が原因?
Aそうとは限らない。ただ、背景を考えることは大事
「子どもが『悪い依存』に陥っているのは、親である自分の育て方が悪かったのだ」と嘆いているかたもいるかもしれません。
確かに依存症と家庭の問題は、切っても切り離せない関係にあります。いちばん大きな影響を与えるものは虐待です。親に虐待された子どもは「自分には価値がない」ととらえてしまい、それが自傷や自己破壊的な行動につながるとされています。虐待には、親の過干渉、親に認められなかった体験なども含まれます。また、両親の不仲が背景にあるケースもあります。
一方で、愛情深い家庭ですくすく育った子どもでも依存症になる場合があります。学校でのいじめや人間関係、恋愛などによって深く傷ついたり、発達障害などの特性によって人とうまくかかわれずに悩んだりして、〈対象〉のおかげで心のバランスを保っているケースです。
子どもの様子が心配になったなら、まずはその子が心の奥に抱えている問題に目を向けてみましょう。原因は一つとは限りません。わが子に寄り添い、また俯瞰しながら、「この子は〈対象〉によってどんなつらさを乗り越えようとしているんだろうか」と考えることが回復のスタート地点になります。
Q「悪い依存」になりやすいタイプの子どもって?
A心に苦しみを抱えていてもSOSが出せない子
依存症になりやすい人と聞いて、どんな性格をイメージするでしょう。「快楽におぼれやすい」「自制心がない」「だらしない」といった印象をもつ人も多いと思いますが、実際はそうではありません。最初こそ快楽を感じて何かにハマるものの、それが快楽というプラスの効果だけであれば、どんなに魅力的なものでも、人は必ず飽きてしまいます。ものすごくゲームが楽しくても、毎日、寝食を犠牲にしてまで長時間続けるのは難しいはずです。
ところが、そうした状態に陥る子どもたちが実際にいます。そういう子どもの多くは、現実世界に不安を抱えているのです。たとえば、ゲームの世界が唯一の居場所のように感じていると、ゲームをしていないと安心できなくなり、その恐れからの回避がゲームをする目的になります。
依存症の子どもは、自分からSOSを出すのがとても苦手です。忙しい親に頼ってはいけない、周囲に迷惑をかけてはいけない、自分で解決しなくては。そう思っていることが多くあります。真面目で繊細な気質をもち、悩みへの対処として、依存対象に解決の糸口を見いだすのです。たとえその効果が一時的だとしても、自分でどうにかする方法を選んでしまうことがあります。
松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)
今、子どもたちがハマる対象はとても多様化しています。ゲームやスマホにとどまらず、エナジードリンク(カフェイン)、市販薬、推し活、さらには人間関係や美容まで。 わが子を想って注意しても全く響かない。いつの間にか量や頻度が増えている。さらには、隠れてこそこそしているみたい……。そんな姿にストレスを募らせ、ついカッと怒ってしまっていませんか?
本書は、そんな親の不安に寄り添うべく、解決のヒントをまとめた一冊。依存症治療の専門医・松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター)監修のもと、親世代とはまるで違う「イマドキの依存・依存症」のリアルを、豊富なイラスト・図解・漫画でわかりやすく解説します。
