「やめられない」のは意思の弱さじゃない?ADHDやASDの子が“依存の沼”にハマりやすい理由

松本俊彦 

スマホやゲームなど、何かに強く依存してしまう背景には、実は発達特性が関係していることがあります。
ADHDやASDの特性をもつ子どもが、なぜ依存しやすくなるのでしょうか。

やみくもに「やめなさい」と叱るだけでは解決しない、子どもの依存と発達特性のメカニズムについて、書籍『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』より紹介します。

※本稿は、松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。

ADHDには刺激と報酬を求める脳のクセがある

■ADHDの子どもはゲーム行動症のハイリスク群

発達障害の一つであるADHD( 注意欠如多動症)は、ゲーム行動症になるリスクを高めることが、さまざまな研究であきらかになっています。原因として考えられているのが、脳の神経伝達物質であるドーパミンの働きです。ドーパミンは、何かを達成したときやほめられたときなどに分泌され、脳の報酬系を刺激します。快感をもたらし、「もっとがんばろう!」というやる気の源になるため、スキル習得に大きく作用します。

しかし、ADHDの人の脳には、ドーパミンが作用しにくいという特性があります。多少ほめられたくらいでは報酬系が反応せず、エンジンがかかりません。一方、ゲームやギャンブル、薬物などの行動や物質は、大量のドーパミンを分泌するため、普段は快感を得づらいADHDの人でも喜びや達成感を味わうことができます。そのため、とりこになってしまうのです。

普段から「ぼーっとしている」「落ち着きがない」ように見えて、叱られることも多いADHDの人たち。自己肯定感が低くなるため、強い刺激で得られる自信や達成感がなおさら手放せなくなります。海外のデータには、医療機関を受診するギャンブル依存症患者のうち、25%がADHDという報告もあります。

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ASDはコミュニケーションが大きなストレスに

■「みんなと仲よくしよう」がASD傾向の子どもを追い詰める

発達障害の一つであるASD( 自閉スペクトラム症)の人も、依存症に陥るリスクが比較的高くなっています。特性として、コミュニケーションが苦手であることが多い、集団行動にストレスを感じる、空気を読んで動くことが苦手などがあり、「みんな仲よく」と同調を求められる学校生活の中では「自分勝手なやつ」や「変な子」と見られがちです。なかには自分を押し殺して周囲に合わせようと過剰適応する中で、大きなストレスを抱える子どももいます。ADHDを併発している場合もあり、ドーパミンの働きにムラが生じている可能性もあります。

また、発達障害とは少し異なりますが、「境界知能( グレーゾーン)」の子どもたちも依存症のリスクが高いとされています。境界知能とは、IQ( 知能指数)が70~84の範囲にある状態のこと。知的障害の診断基準(IQ70未満)を満たさないため、通常学級に通うことが多いですが、「授業内容が理解できない」「友だちの会話についていけない」「指示が理解できない」などの困難を抱えがちです。

発達障害・知的障害のどちらのサポートも受けづらいために、学校生活や社会生活を送るうえで苦労し、結果として依存症に陥る子どもは少なくありません。

 

「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本  

松本俊彦 (監修) ナカニシヒカル(イラスト)『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)

今、子どもたちがハマる対象はとても多様化しています。ゲームやスマホにとどまらず、エナジードリンク(カフェイン)、市販薬、推し活、さらには人間関係や美容まで。 わが子を想って注意しても全く響かない。いつの間にか量や頻度が増えている。さらには、隠れてこそこそしているみたい……。そんな姿にストレスを募らせ、ついカッと怒ってしまっていませんか?

本書は、そんな親の不安に寄り添うべく、解決のヒントをまとめた一冊。依存症治療の専門医・松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター)監修のもと、親世代とはまるで違う「イマドキの依存・依存症」のリアルを、豊富なイラスト・図解・漫画でわかりやすく解説します。