越えられなかった魔の妊娠9週目。初期流産で感じた心の揺れ

izumi

36歳で赤ちゃんをさずかったライターのizumiさん。
幸せを感じる日々の中、妊娠9週目で医師から突然告げられたのが、「心拍が確認できません」の一言でした。
当時のこと、そして今思うことを語ります。

妊娠9週で初期流産を経験。「今」思うこととは

初めての妊娠で喜びに包まれていた矢先、妊娠9週で初期流産を経験しました。流産という言葉は重く、最初は受け止めきれない気持ちもありましたが、同時に現実から目を逸らし、どこか他人事のように思ってしまう瞬間もありました。

妊娠初期の流産は誰にでも起こり得ることだと知った今、当時の私が感じた心の揺れや稽留流産までの実体験をお伝えしていきたいと思います。

初めての妊娠で母としての喜びを知る

2017年の年末、36歳で待望の赤ちゃんを授かりました。入籍後も穏やかな日々を過ごし、「そろそろ子どもを…」と思っていた私にとって、本当にベストなタイミングでした。妊娠検査で陽性反応を確認し、母子手帳を手にした時の気持ちは今でも鮮明に覚えています。

仕事も体調も順調で、妊婦生活は心から楽しめるものに思えていました。私たち夫婦にとって初めての妊娠は、すべてが新鮮で、ただただ幸せに包まれていたのです。

妊娠9週目で告げられた現実

最初の妊婦健診では「赤ちゃんの心拍も動いてるね」と先生に言われ、安心していました。しかし2回目の健診、ちょうど妊娠9週に入ったころ、超音波をのぞき込む先生の顔が笑顔じゃない。「心拍が確認できません」そう伝えられた瞬間、頭の中が真っ白になりました。お腹の張りや出血などの自覚症状はなく、むしろ普段と変わらず元気だったので、信じられない気持ちと冷静な気持ちが入り混じった状態でした。

妊娠9週は赤ちゃんにとって重要な臓器が形づくられる大切な時期。「魔の9週」と呼ばれていることを後から知り、私もその壁を乗り越えることができませんでした。

手術の日を迎えるまで

診断は「稽留流産」。自然に排出されることを2週間ほど待ちましたが、何も起こらず、最終的に妊娠検査で通っていた参院からの紹介で大きな病院へ行き、日帰りの子宮内容除去術を受けることになりました。

手術当日は麻酔をかけられ、気づいた時にはすべてが終わっていました。術後は数時間の安静ののち、夫と一緒に帰宅。手術から1週間後に検査を受け、その後は約半年間の経過観察が続きました。「また妊娠するまで少し休もう」と思いつつも、手術直後はぽっかり穴が空いたような気持ちでした。

誰にでも起こり得る初期流産。自分なりの向き合い方

初期流産を経験すると「何か悪いことをしたからでは」と自分を責める方も多いと聞きます。私もすぐには「自分の出来事」として受け止められなかったし、寂しい気持ちはありました。あまりに突然で、どうか遠くの誰かの話を聞いているような感覚でしたが、時間が経つにつれて「赤ちゃんがいてくれた時間が確かにあった」そのことに感謝しようと心に落ちていったのを覚えています。

この体験を通して感じたのは、妊娠初期の流産は誰にでも起こり得るということ。そして、立ち直り方や向き合い方は人それぞれということです。早く気持ちを切り替える人、長い時間かけて少しずつ受け入れていく人、どんな歩み方でも、その人にとって自然な形であれば、それで十分なのだと思います。

そうした中で私が前向きになれたのは、やはり家族や友人の力が大きかったのかなと。友人や知人に話をしたら「私もそうだったよ」という人が予想以上に多く、「自分だけが」というより「知らないだけで経験している人は多いんだ」ということを知りました。夫も「2人での人生も楽しいよ」と優しい言葉をかけてくれ、心が軽くなったことを覚えています。今振り返ると、誰にも言わず一人で悲しんでいたら、そんな風に考えなかったのかもしれないと思う自分もいます。

そして稽留流産から約5年後、41歳で再び赤ちゃんを授かりました。いわゆる高齢出産でしたが、妊娠中にスノーボードで転んでも、へこたれることなく元気いっぱいに成長し、約3500グラムで出産。「お空に帰ったあの子が、また会いに来てくれたのかな」と心の奥で思うとともに、流産という経験があったからこそ命を授かることの奇跡を大切に思うし、日常の小さな瞬間にも感謝しようと意識するようになりました。

子育てをしていると、ついイライラしたり、思わず強い言葉をかけてしまう瞬間があります。でも、あの経験を思い出すと「今ここにいてくれることが、どれだけありがたいことか」と問いかける自分がいます。元気に成長する息子と向き合う日々の中で、あの時のお空に帰った子をふと思い出すこともあります。だからこそ、笑顔で過ごせるよう、自分らしい歩み方で日々を重ねていけたらと思います。