人はなぜ不安な時に「おばけを見てしまう」のか? 京大教授が子どもの疑問に真剣回答

なぜ人は、「おばけがこわい」と感じてしまうのでしょうか。
そこには、危険をすばやく察知しようとする脳の働きや、「顔らしいもの」を見つけてしまう人間の性質が関係しているそうです。
小学生の素朴な疑問に、京大の先生が発達心理学の視点からこたえる『ふしぎなこころの世界』より、一部を抜粋して紹介します。
※本稿は、森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
Q.おばけはいないはずなのにおばけがこわい!なぜ?
A. 脳の警報ベルの誤作動です。
「おばけなんていないと頭ではわかっているのに、なんだかこわい……」そんなふうに感じることって、あるよね。だいじょうぶ。それはとても自然なことなんだ。でも、なぜそんな気持ちになるんだろう?
わたしたちの脳の中には「扁桃体」という小さな部分があって、これはまるで警報ベルのような役割をしているんだ。
あぶないことが起こりそうだと感じると、考えるより先にパッと反応して「にげろ!」と体に知らせてくれる。
たとえば、暗い部屋で急にカーテンが動いたりすると、「そこに何かいるのかな?」と思う前に、ドキッとしてしまうよね。それは扁桃体が「もしかしてきけんかも!」と、すばやく教えてくれるからなんだ。こうしたしくみのおかげで、人間はあぶない目にあいそうなときに、すぐ身を守れるんだよ。
実際には何もいないことが多いから、警報ベルの誤作動ってことになる。
でも、一回でも自分にとってきけんな生き物がそこにいたら、死んじゃうかもしれない。
だから、誤作動が多くてこまることもあるけど、警報ベルがあることは大事なことなんだ。
顔を見つけてしまう

誤作動といえば、ほかにもわたしたちの脳は、ときどき誤作動することがあるんだ。
たとえば、かべに3つのしみがあるだけで、わたしたちはそこに顔らしいものがあるように思ってしまう。
昔、心霊写真というのが流行ったことがあるんだ。おばけが写っているように見える写真のこと。
これは実際には、写真にたまたま写ったしみやよごれ、けむりとかがゆうれいに見えるだけなんだけど、「これはゆうれいじゃないか!?」なんて、テレビでも取りあげられていた。ぼくも子どものころはこわかったけど、きみは写真の加工にもなれているだろうから、こわくないかもしれないね。
実は生まれたばかりの赤ちゃんだって脳の働きによって、顔ににたものを見つけるんだ。
つまり、わたしたちの脳が誤作動して、おばけらしいものを見つけてしまうのは、しかたがないかもしれないね。
想像と現実の区別ってむずかしい!

小さい子どもでも、ふつうは頭の中で考えている想像と、実際に起こる現実の区別はできる。でも、少し不安なとき、たとえば一人になってしまうと、想像と現実の区別がむずかしいときがあるんだ。
たとえば夜に暗いかべを見て、想像で「おばけがいる!」と思ってしまうと、本当におばけがいるような気がしてしまうことがある。大人なら「ただのかげだよ」ってすぐにわかるけど、こわがっている子どもにとっては、そのちがいを見分けるのはとてもむずかしいんだ。
こわい気持ちになってしまったときは、少し工夫すれば楽になるかもしれない。たとえば、部屋を少し明るくしたり、おうちの人や先生に話したり、「大丈夫だよ」と声をかけてもらえたりすると、ふしぎとホッとするよね。お気に入りのぬいぐるみをだいてねむるのも、安心できる方法だよ!
森口佑介 (著)『ふしぎなこころの世界』(Gakken)
小学生100人に聞いた 心の「なぜ?」に 京大の先生がこたえる本!!
「やらなければいけないことを、つい後まわしにしてしまうのはなぜ?」
「クレーンゲームを、ついやりたくなるのはなぜ?」
「ついつい動画を観ながらゲーム。二つのことを同時にやりたくなるのはなぜ?」
「おばけはいないはずなのに、おばけがこわい! なぜ?」
「赤ちゃん時代の記憶がないのはなぜ?」
小学生100人へのアンケートで集めたリアルな「心のなぜ?」に、京都大学大学院・森口佑介先生が発達心理学の見地からこたえます。
ふしぎとついやってしまう、わかっているのにやめられない…そんな心のクセを知って、自分の心や気持ちとうまくつきあうためのヒントが満載の一冊です。
語りかけるようなやさしい文章で読みやすいのに、内容は本格的。
第一線で活躍する研究者がおくる、知的好奇心を育てる新しい児童書です。






























