PTA役員を6年間断り続けた母親…「役員を避ける人」から「別の形で貢献する人」に変わった日

熱海康太

元公立学校教員として多くの子どもたちと向き合い、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事を務める熱海康太氏は、「PTA役員をやらないことと、貢献していないことはイコールではない」と語ります。6年間一度も役員を引き受けられなかった母親が、罪悪感を手放せたのは「役員をやらない人」から「別の形で貢献する人」へと自分を定義し直した日からでした。(写真はすべてイメージです)

役員決めの季節がやってくるたびに

PTAの役員決めの季節が巡ってくるたびに、多くの保護者の胃はキリキリと痛み出します。保護者会のお知らせに「役員選出」の文字を見つけるだけで、カレンダーをめくる手が重くなる。できることなら、透明人間になってその場をやり過ごしたい。それが本音ではないでしょうか。

しかし、その「やりたくない」という切実な願いの裏側には、常にべったりとした「罪悪感」が張り付いています。「誰かが犠牲にならなければ、この組織は回らない」という理屈は痛いほどわかっている。だからこそ、頑なに断り続ける自分に対して「私はずるい人間なのではないか」という問いが、自分自身を責め立てるのです。

由香さんの6年間:うつむき続けた春の放課後

母親の由香さん(仮名)は、長女が小学校に入学してから卒業するまでの6年間、一度もPTA役員を引き受けませんでした。毎年、教室の後ろで行われる役員決めの場面では、ただ曖昧に視線を落とし、誰かが沈黙を破って手を挙げてくれるのを待つばかりでした。

その場が収まり、誰かが「やります」と言ってくれた瞬間の、あの解放感。しかし、その安堵は長くは続きません。