「学校から電話が…」焦って子どもを問い詰める前に。トラブル対応で親がやりがちなNG行動

キャリー・A・フロー幸島守

学校からの突然の電話に、心臓がギュッとなったことはありませんか?「うちの子が何かした?」「もしかしていじめ?」と頭の中が真っ白になり、つい子どもを質問攻めにしてしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、こういったトラブルが起きた時に大切なのは、「子どもの話を最後まで聞いてあげること」なのだそう。トラブルを冷静に対処するための親のサポートについて、教育系YouTuber「キャリー先生」の著書よりご紹介します。

本稿は、キャリー・A・フロー幸島守(著)『子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言』(KADOKAWA)より一部抜粋、編集したものです。

子どもの「トラブル」はほとんどが「もめごと」

子どもが抱えるストレスの主な発生源は、家を出て、帰ってくるまでの間に生じています。「現場は小学校」なのです。

子どもが小学校で過ごす時間を、親はほぼ知ることができません。ここでは、親からすれば、突然、降ってくる「お友だちとのトラブル」への対応を見ていきます。「お友だちとのトラブル」の“発覚“は、学校からの連絡もあれば、子どもの様子から聞き出してわかることもあります。いずれにせよ、親には状況が読めませんし、そもそも情報もありません。驚き、慌てるのもわかりますが、まずは落ち着きましょう。

なお、ここでの「トラブル」とは、「ケンカ」「言い争い」のレベルのことです。

学校側の認識や説明もそうしたもので、「当人への注意、子ども同士での解決」が可能とされている事柄とお考えください。

暴力、イジメ、危険行為などは、次元が異なる話です。

大前提として、ママやパパにご理解いただきたいのは、子どもにとって小学校における「トラブル」は、ストレスや不安など、自分でも訳のわからない「悩み」ではないという点です。ですから、ギュッとして解決するものではありません。

「お友だちとのトラブル」とは、基本的に「もめごと」です。子どもはその当事者ですから、何が起きたのかはわかっています。細かく整理はできていなくても、「なにか悪いことを起こしてしまった」と認識しています。ただ、相手があることでもあり、状況の半分も子どもは理解していません。

そのため、その状況を単に注意による反省や、同情に基づく自己肯定で終わらせると、また、同じことをくり返し、徐々にイジメや暴力の芽を生みかねません。「手早く解決しよう」などとは思わずに、子どもの理解を促すためにも、子どもに向き合った親による言語化が必要なのです。

子どもの「わからない」を言語化する親のサポート

何があったのかがわからなければ、「イジメではないのか?」「いや、うちの子が加害者ではないのか?」と親も不安です。「背中を押された」「消しゴムを隠された」だけの状況説明だけでは判断はできません。

そのため、「当事者であるうちの子はどう思っているのか」の確認が必要です。ここは、親が、子どもの話を最後まで聞いてあげることがとても大事になります。まず次の点に注意しましょう。

・親は何も見ていない。「子どもに非がある」「相手が悪い」などの先入観や思い込みをもたない。
・「喧嘩両成敗」「まず反省から」など、「型」を押しつけて同意を迫らない。
・自分で考え、自分の言葉で話させる。

その上で、子どもにはこれからのルールを説明します。

「私が知りたいのは事実だけ。あなたが見たものと同じことが見たい。だから、あなたが見たこと、その時に思ったことを話してください」

そして、「質問はしても意見を挟まない」「気持ちは確認しても、親の判断は挟まない」ことも自覚してください。

当事者は、子どもと誰なのか。その子と何があったのか。自分はその子に何をしたのか─子どもにも慌てさせずに、ゆっくり、話せるまで待って、聞いてあげてください。

・「こういうことが実際にあったんだね。話してくれてありがとう。そして、あなたはどうしたのかな?」と少しずつ、時系列に「事実」のみを追いましょう。
・「相手の子はこうした。あなたはこうした。その時、あなたはどう思ったのかな? どんな気持ちだったのかな?」と、自分の気持ちを言葉にしていくための「考える」を促します。

子どもは、何かを起こす時も起こした後も、感情でしか動いていません。だから混乱します。「マズイ!」「イヤだ!」だけで気持ちはいっぱいになっているのです。「そういうことを言われて、ムカッとした」と言葉にするだけで、当時の自分の言動や行動を客観視できるようになってきます。

この状況整理は親子で客観的に行うことに意味があります。それにより「公正公平」な説明や確認が可能になるからです。カタイ言葉ですが、親子であっても親の「誠実な対応」がとても大切です。

「そうか。あなたがそういうことをしたんだね。だから相手もそういうことをしたのか。じゃあ、相手の気持ちも、自分がなぜそうしたのかも、わかったかな?」

親が理性的に誠実な対応を見せることで、親の心に子どもも学びます。自分の行動を考え、言葉にすることで、状況を理解し、自分が「してはいけないこと」をしたのなら反省し、納得します。ここは子どもを信じてください。

一方で、親が誘導せずに、事実ベースの出来事を整理した上で、「自分はイヤなことをされたんだ」と再確認する場合もあるでしょう。この場合は、家庭内で解決せずに、また、相手の親と直接交渉せずに学校の先生に相談をしてください。

今回の説明は、小学校の教師として40人のクラス対応をしてきた僕なりの「すべきこと」も多分に入っています。全部を家庭で実践しようとしなくてもかまいません。

ポイントは2つです。

・子どもは、自分の感情の動きしか覚えていない。
・子どもは、状況も気持ちも言語化できない。

この足りない部分を親が言語化の手伝いをしながら補うことで、子ども自身にふり返らせ、考えさせることが大切です。考えた結果、納得や反省にたどり着けば、同じことはくり返しません。

親の言語化のサポートによって、子どもは成長のチャンスをつかむことができたのです。

子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言

キャリー・A・フロー幸島守(著)『子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言』(KADOKAWA)

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子どもの心を育てる“安心・安全マイホーム”

子どもたちの「心」は、我慢や根性によって鍛えられるものではありません。
安心できる関係性と、「大丈夫」と思える自己肯定感の積み重ねによって育まれます。
その土台となるのが、日々、家庭で交わされる親の何気ない“ひと言”です。

本書では、親の言葉が子どもの心にどのような影響を与えるのかをわかりやすく解説するとともに、子どもの気持ちを支える具体的な声かけや会話の工夫を豊富に紹介していきます。

著者のキャリー・A・フロー氏は、20年にわたり公立小学校で教鞭を執ってきた教育現場のプロフェッショナルであり、二児の父でもあります。学校で見てきた子どもたちのリアルな悩みをもとに、教師と保護者それぞれの視点から、子どもに寄り添う関わり方を丁寧に解説していきます。