スポーツで伸びる子の共通点は? プロバレーコーチが教える“一番大切な才能”

スポーツが上達する子と、なかなか成長につながらない子…その違いは、身体能力や技術だけで決まるものではありません。
U16~U23世代の女子日本代表監督やコーチを歴任したプロバレーボールコーチの三枝大地さんは、選手として成長するためには、能力以上に大切なものがあると話します。チームに入団したばかりの小学3年生の息子を持つ父親も、三枝さんの言葉から、子どもの可能性を伸ばすために必要な関わり方を学びます。
本当に成長する子に共通する「一番大切な才能」とは何なのでしょうか。休日は小学生男子バレーの指導を行うライターの山城稔さんによるインタビューを、書籍『子どもがバレーボールを始めたら読む本』より抜粋してお届けします。
※本稿は、『子どもがバレーボールを始めたら読む本<11人の賢者に聞いた100の習慣>』(川合俊一(監修), 山城稔(著)/ベースボール・マガジン社)から一部抜粋・編集したものです。
重要な練習の振り返りで、親にできること
筆者:練習で、一つのメニューが終わるたびに選手が輪になって話しをしていました。誰かの発言が終わると、全員が拍手をする。あれは何をしていたんですか?
三枝:振り返りです。「どんな狙いを持ってプレーした」とか、「もっとこうしたらよかった」「こんなことに気づいた」とか。考えや感覚、課題はそれぞれ違うんですが、それを共有しておくことは大事です。実際に成長も早まります。
筆者:拍手されると自分を認めてもらえたように思えて、人のことも認めたくなる。
三枝:話すことは、アウトプットの練習にもなるんです。インプットのミスはわかりにくいんです。だけどアウトプットは「私は○○と伝えたつもりなのに、相手は△△と受け取ってしまった」と、ミスがわかりやすい。伝達はコミュニケーションの基本ですし、コミュニケーションはバレーの基本です。なので、アウトプットの練習は、子どものときからやっておいたほうがいいと思いますね。
父親:我が家は私と妻が先回りして「こうだよね」と息子のアウトプットを奪っているのかも……。反省だらけです。
家でのアウトプットも大事

筆者:小学生の場合、家でのアウトプットは大事ですよね?
三枝:重要ですね。例えば、友人が教えてくれたんですけど「今日の練習、何“が”良かった?」と聞くのと「今日の練習、何“か”良かった?」と聞くのでは大違いだと。「何が良かった?」と聞くと、いいことを探しますよね。反対に「何か良かった?」と聞くと、いいことも悪いことも探します。「あれはダメだったけど、ここは良かった。どう良かったんかな?」と考える範囲が広くなるわけです。
父親:「か」と「が」の違いで、大違いなんですね。
三枝:言葉一つで、気づくことや、見えてくるものが全く変わる。親御さんがどんな言葉を投げるかで、お子さんの成長も変わってくると思います。
筆者:コツとかはありますか?
三枝:親御さんが聞きたいことではなく「気づいてもらいたい」とか「考えてもらいたい」「感じてもらいたい」ことを聞く。「何か気づいた?」とか「どんなふうに感じた?」という聞き方でもいいと思うんですけど。
筆者:バレーノートみたいなのはどうなんでしょう?
三枝:それもアウトプットですね。私は独自の日誌を作って、選手に書き込んでもらっています。いろんな項目があります。「体、技術、メンタル、生活面での気づき」とか「どんな意図で臨んだか」とか。「スタッフに質問したいこと」「もっと成長したいこと」「自分が監督だったらしてみたいこと」という項目もあります。「もう1回やり直せるならやってみたいこと」という項目もある。要は「失敗したことは?」という質問なんだけど「やり直せるなら?」と聞くと答えやすい(笑)。
能力がある子ではなく、チャレンジする子が伸びる
筆者:実際、どんな選手が上の代表になっていくんですか?
三枝:じつはシンプルなんです。能力のある子たちよりも、チャレンジを続けられる子、誰よりも頑張り続けられる子が、やはり伸びていきます。単に「負けず嫌い」ではなく「素直な負けず嫌い。自分の才能を伸ばす能力を持っている子」が伸びるんです。日本代表のエース石川祐希選手がそうです。能力もあるけど、それを最大限に引き出せる力が、本人の中にあるかどうか。これはある意味、一番大切な才能かもしれません。能力はあるのに、そこに満足してしまう選手もいます。
筆者:この前聞いた「ノミの話」が印象的です。もう一度話してもらえますか?
三枝:あれは私も聞いた話なんですけど。ノミって40㎝くらいジャンプするんです。あんなに小さい体でね。そのノミを、20㎝ぐらいの箱に閉じ込めるとどうなるか? 20㎝しか飛べなくなるんだそうです。箱から出しても20㎝しか飛ばない。そのノミをまた40㎝飛べるようにするには、すぐ横に40㎝飛べるノミを置く。それだけでまた40㎝飛ぶようになるんだそうです。
筆者:なるほど。そばにいる存在が大事ってことですね。人間も同じかも。
三枝:ですね。「あれしちゃダメ、これしちゃダメ」とか言う大人がそばにいたら、子どもは挑戦しなくなる。反対に「さあやってみよう」「君はできるぞ」と励ましてくれる大人がそばにいたら、挑戦すると思うんです。言葉だけでなく、実際に大きな夢を語ったり、真剣な姿を見せたりすることも大事です。保護者やバレーの指導者は子どもの身近な存在です。人間の能力は本当に計り知れません。私は、それを信じてあげられる大人でいたいと思います。
『子どもがバレーボールを始めたら読む本<11人の賢者に聞いた100の習慣>』(川合俊一(監修), 山城稔(著)/ベースボール・マガジン社)
バレーボールを始めた小学生、中学生の親御さんが、子どもたちを支えるにあたり知りたいこと、疑問に思っていることを、「賢者」たちに尋ねていく一冊。
体のこと、食事のこと、用具のことなどテーマ別に、その道のプロフェッショナルから深い知識を得ていく本です。
ライターの山城稔さんが川合俊一さん監修の下、11人の「賢者」のところへ行き、親御さんの迷いや悩みを解決するヒントを探ります。
親しみやすい会話文で、大事なことがしっかり理解できます。






























