「発達障害だからできない」と決めつけないで。子どもが力を発揮する親のかかわり方
「ADHDかもしれない」「ASDの特性がある」と分かると、子どもの行動を理解する手がかりになります。でも、診断名や「苦手なこと」だけに目を向けていると、その子が持っている力や、できることや、難しかったことが得意になる可能性を見落としてしまう場合があります。
大切なのは、「何が苦手か」だけでなく、「どんなときに力を発揮できるのか」「何ならできるのか」を見つけること。できることが増えたり、身体を動かすことで「できた!」と実感できたりすると、それは自信にもつながっていきます。
ここでは、ADHD・ASDの主な特性を知りながら、診断名だけで子どもを捉えず、その子の今の状態やできることに目を向けるための視点を紹介します。
※本稿は、池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋、編集したものです。
ADHD? ASD? 発達障害の症状とは
具体的な運動を始める前に、発達障害についてお伝えします。お子さんをサポートするにあたり、一般的な特性だけでなく「客観的な視点」も知っておくと、運動の効果を高めることができます。
発達障害といっても、診断名はいくつかあります。そのなかでもよく耳にするのが、「ADHD(注意欠如・多動症)」と「ASD(自閉スペクトラム症)」の2つでしょう。
ここではADHDとASDの主な特徴を説明しますが、当てはまる症状は人それぞれです。お子さんを客観的に見て、最適なサポートをしていきましょう。
ADHDの子は「多動性・不注意・衝動性」といった特性があるとされます。次のような行動が目立つことがあります。
ADHDの子の特性(一部)
● 集中力が続きにくく、気になるものに飛びついてしまう
● 同時にいくつかのことへ注意を向けにくく、準備に時間がかかる
● 忘れ物が多い、忘れっぽい
● ちょっとしたことで泣いたり、怒ったりしてしまう
● 思いついたことをすぐに口にしたり、きつい言葉を言ってしまう
● 周囲を見ずに動いてしまい、ぶつかったり転んでしまう(ケガが多い)
ASDの子の多くは「コミュニケーションの苦手さ」や「興味の範囲の限られやすさ」の特性があるとされます。
ASDの子の特性(一部)
● 言葉の理解や表現の発育がゆっくり
● 表情が薄く、目が合いにくい
● 引っ込み思案で一人でこもりがちになる
● 興味のあることには熱中する一方で、興味がないものには極端に反応が薄い
● 変化に不安を感じやすく、新しいことには関わろうとしない
ただし、言動の現れ方や強さはその子によって、本当にさまざまです。先ほど挙げた項目のすべてが当てはまっていたとしても、同じ診断名の子であっても、症状は千差万別。
個人差が非常に大きいのです。
ADHD、ASDの両方の特性が見られたり、ある部分だけ強く出てほかの部分はそうでもなかったり、おうちや学校などの環境の違い、興味の有無などによって変わったりすることはありませんか? こうしたことは珍しくありません。
診断も、数値的な脳検査よりも、行動観察や保護者への聞き取りを中心におこなわれます。そのため、「一部の特性が見られる」として”グレーゾーン“と言われる子もいるのです。
診断は一つの目安として大切ですが、それだけでお子さんを捉えてしまうと、「今の子どもの状態」や「本来の個性」が見えにくくなってしまいかねません。
子どもの状態や個性を客観的に見てみると…
たとえば、「集中が続きにくく、注意散漫さがある」ことが気になっているADHDの子の場合でも、実際には一時的にでも集中している場面や、おうちで好きなことに夢中になっている姿が見えたりします。日常生活では注意散漫であっても、絵を描いているときは、まわりの声も聞こえないぐらい集中力を発揮できる、といった子もいますよね。
つまり、まったく「集中力がない」のではなく、「集中できる力自体は持っている」ともいえるのです。力自体はあるので「今よりも環境に左右されにくく、より力を発揮できるようになる可能性」も視野に入れてサポートしていくことが有効です。
大切なのは、今の状態だけでなく、可能性まで含めて客観的に見ていくことです。それが、子どもの成長を後押しするサポートにつながっていきます。
広い視点で捉えることが気になる言動改善の効果を高める
身体にはさまざまなシステムがあり、それぞれが影響し合いながら働いていることはお伝えしました。気になる言動も、一つの要因だけで生まれるのではなく、複数の状態が連鎖し合って現れています。
池上悠(著)『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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